【公正証書遺言ってどうやってするの??】~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
前回は相続人に遺言書で相続執行人に選ばれた時にどうしたらいいのかについて解説しました。前回までの記事は自筆遺言についての流れの記事でしたが、遺言には公正証書遺言といった種類もあります。今回はその公正証書遺言について、詳しく解説していけたらと思います。
この記事を読むことで公正証書遺言の手続き手順や費用について知ることができます。

公正証書遺言とは

証人2人以上の立ち合いのもと、遺言者が遺言の内容を公証人に口授(口頭で伝える)し、これを公証人が筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせた上、遺言者、証人が各自、署名押印する方式です。
公証人が関与するため信用性が高く、偽造、変造されるおそれはありません。また、遺言の原本が公証人役場で保管されます。問題点は利害関係人の請求でいつでも閲覧できるため秘密の保持にはなりません。

公証証書遺言は遺言者が直接公証役場に依頼する方法と、専門家に代理で行う方法があります。

遺言内容をメモする

自分で相続人の名前、主な相続財産、具体的な財産の遺し方をメモに書きます。

相談日時の予約

公証役場に電話し相談日時を予約する。予約当日は、公証人と相談ができるので、メモをもとにご希望を伝えます。公証人から戸籍謄本等の必要書類が伝えられるので用意します。

公証人との相談

相談は、公証人や具体的事例に応じ、1回で終わる場合もあれば、複数回になることもあります。相談料は無料です。

証人の依頼

署名・押印をして公正証書遺言を完成させる際の証人をあらかじめ決めておかなければなりません。自分の知人に頼むことも可能です。公証役場で依頼する場合は謝礼が必要になります。1人につき約6000円~1万円が目安です。

作成日の予約、必要書類の郵送または持参

遺言書の内容に納得できた場合、公証人、遺言者、証人の予定を聞き、都合の良い日時を予約します。公証人から必要書類を伝えられるので、郵送で送るか直接持参します。

作成日当日

当日の持ち物は、実印(実印を登録していない場合は、認印と運転免許証などの身分証明書)と、公証役場の手数料が必要です。手数料の金額は、事前に公証人から伝えられます。
証人の持ち物は、認印と運転免許証などの身分証明書になります。
公証人、遺言者、証人2人がそろったら、すぐに遺言書の内容を確認するため、公証人が遺言書を読み上げます。公証人が原本を、遺言者が正本を、証人が謄本をそれぞれ見ることになります。
公正証書遺言は、公証役場で保管される原本、遺言者に交付される正本、謄本の3種類が作成されることになります。内容はどれも同じです。遺言者が内容を確認して問題がなければ、出席した全員が署名・押印をします。違うところがあれば、その場で公証人に申し出て修正してもらいます。

正本と謄本の保管

署名・押印が終われば遺言書が完成し、公証役場手数料や証人の謝礼を支払って終わりです。正本と謄本をもらえるので大切に保管してください。

公正証書遺言は、全国どこの公証役場でも作れます。ただ、病気などで外出が難しく、公証人に出張してもらう場合は、住んでいる都道府県内の公証役場にしか依頼できません。
公証役場で公正証書遺言を作成する際に必要な書類や入手方法は、以下の通りです。

  • 発行から3か月以内の印鑑登録証明書……市区町村役場の窓口(印鑑登録をしていない場合は運転免許証やパスポート)
  • 遺言者の戸籍謄本……市区町村役場の窓口
  • 遺言者と財産を譲る相続人の続柄が分かる戸籍謄本……市区町村役場の窓口
  • 財産を相続人以外の人に譲る場合は、その人の住民票の写し……市区町村役場の窓口
  • 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)……法務局
  • 固定資産税納税通知書(または固定資産評価証明書)……毎年、春に市区町村役場から郵送(評価証明書の入手は市区町村役場の窓口。)
  • 預貯金の通帳のコピー
  • 証人を知人に依頼する際には、その人の名前、住所、生年月日、職業のメモ
  • 遺言執行者を指定する場合は、その方の名前、住所、生年月日、職業のメモ

公証役場によっては、必要書類が異なることもあります。依頼する前に公証役場で確認してください。また、公正証書遺言の作成日には、遺言者の実印(印鑑登録していない場合は、認印)、証人の認印が必要です。

公証人に支払う公正証書遺言作成の手数料は、遺言に記載する財産の価格によって異なります。費用は、相続を受ける人ごとにかかる手数料を合算して算出します。

手数料は下記のような流れで算出します。

  1. 【相続する人ごとの手数料を合算】財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価格を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価格に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言書全体の手数料を算出します。
  2. 【財産1億円以上は加算】遺言加算といって、全体の財産が1億円以下のときは、上記1によって算出された手数料額に、11000円が加算されます。
  3. 【遺言書の枚数に応じて加算】遺言書は、通常、原本。正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本については、その枚数が法務省令で定める計算方法によって、4枚(法務省令で定める横書きの証書では3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
  4. 【公証役場外で作成する際の加算】遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、病院・自宅・老人ホーム等に足を運んで公正証書を作成する場合には、上記1の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。

なお、具体的に手数料の算定をする際には、上記以外の点が問題となる場合もあります。公証役場で確認してください

まとめ

公正証書遺言は専門家が行うため費用はかかりますが、無効になるといった心配がなく安心して任せることができます。相続財産がきになる場合は事前相談も無料でできるため、一度電話で予約し相談してみるのもいいかもしれませんね。

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