【エンディングノートを書いてみよう!!】~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回も被相続人が亡くなる前に出来る対策について紹介したいと思います。皆さんは『エンディングノート』と言った言葉を聞いたことはありますか??エンディングノートとは、自分に万が一のことがあった時のために家族が困らないように伝えておきたいことなどをまとめておくノートのことを言います。日本でのこの言葉の登場は、1991年です。セキセーの創業者石原氏が「マイ・エンディング 私の準備ノート」という本を出版して世に広がったと言われています。
この記事を読むことでエンディングノートの書き方について知ることができます。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、もしもの時に備え、自分自身や家族のために、自分の情報を一冊にまとめておけるノートのことです。複数の出版社から多種多様なエンディングノートが販売されています。
エンディングノートと遺言状は、しばしば混同されますが、大きな違いとして「法的拘束力の有無」があげられます。エンディングノートは、法的拘束力がないぶん、形式や内容に決まりがありません

エンディングノートを書くメリット

遺言書のような法的拘束力はありませんが、自分の思いを自由に書くことが出来るのがエンディングノートの特徴です。

自分の思いを託す、最後のメッセージ

自分史を書くことで、家族も知らなかったことや思い出を共有することができ、遺された家族への愛情を示すこともできます。家族や友人それぞれへのメッセージや形見分けリストなどで、自分の思いを伝えられます。

家族の負担を減らせる

介護の希望や延命措置のこと、葬儀や費用の捻出方法などが明記されていれば、本人の判断力が衰えたり意思表示ができなくなったりした時も、家族が迷うことなく様々な選択をすることができます。それにより家族の辛い気持ちも和らげることができます。

自分の経済状況がわかる

自分の資産を正確に記入することはエンディングノートの大切な作業です。エンディングノートに記すことで、現在の経済状況を把握できるので、人生の終末期をどのように過ごすのかを考え、準備するのに便利です。また資産を明確にすることは相続にも関わる大事なことです。

今後の人生と向き合える

エンディングノートを書くことは、遺された家族のためだけでなく終活をする上でも役に立ちます。
残りの人生を充実したものにするために、自分の人生を見つめ直し考えるきっかけとなるからです。

エンディングノートの書くポイント

必携項目は特にありませんが、遺された家族のためのノートである以上、終末期医療や葬儀・お葬式などの希望や連絡先、財産などの情報を記しておくのがオススメです。

自分の基本情報について

個人情報を一通り記しておくと、残された家族が医療や行政の手続きをスムーズに進められます。また自分史や経歴、思い出など、内面的な情報を書き留めておくのもオススメです。

  • 生年月日
  • 本籍地
  • 血液型
  • 家族
  • 家系図
  • 学歴、職歴、資格
  • マイナンバー
  • 運転免許証番号、健康保険証番号
  • 自分史
  • 性格、信念
  • 親しい友人
  • よくいくお店
  • 趣味・特技
  • 好きな食べ物

2.財産・資産について

年金証書や保険の証書、介護保険証や健康保険証、通帳・印鑑、貴重品などの保管場所は家族であっても知らないケースがほとんどです。保管場所などを書いておけば家族が対応しやすくなります。

  • 預貯金
  • 保険
  • 年金
  • 不動産
  • 有価証券(株式・債券・手形・小切手)
  • 負債(借入金)
  • タンス貯金
  • 貴金属
  • 骨董品
  • その他、価値のあるコレクション

3.身の回りのこと

SNSなどのデジタル情報はIDやパスワードがわからないと永久に残ってしまいます。
アドレスやパスワード、退会手続きなどの操作方法をノートに記しておきましょう。

4.家族・親族について

家族や親族との思い出や感謝の気持ちなどを残しておきましょう。形見分けリストを作っておくのもオススメです。誰に渡そうかと考えるのも思い出を振り返るいいきっかけとなります。

5.親しい友人・知人について

友人や知人、お世話になった方々への感謝の言葉を綴って、日頃言えなかった「ありがとう」の気持ちを残しておきましょう。写真を一緒に貼っておくのもいいかもしれません。

6.医療・介護について

末期の状態になった時、家族は延命措置などの決断を迫られます。精神的負担を減らすためにも自己判断ができなくなった時の対応方法を決めておくことは大切です。また認知症などで意思疎通ができなくなった場合も考えて、介護のことや費用捻出方法、アレルギーや持病、常備薬についても記入しておきましょう。

  • 希望する介護スタイル
  • 入居予定の介護施設
  • 終末医療・延命治療の希望
  • 臓器提供の有無
  • かかりつけ医と病院
  • アレルギーや持病、常備薬

7.葬儀・お墓について

密葬や家族葬など葬儀の形態が変化しています。家族と死について話しづらいなら、自分がどのような葬儀をしたいかやお墓のこと、宗教についてもしたためておきましょう。

  • 信仰する宗教
  • 葬儀の方法(密葬・家族葬など)
  • 納骨の方法・場所
  • お墓について
  • 遺影に使う写真

8.相続・遺言書について

エンディングノートには法的拘束力がないため、相続に関する確実な遺言を残せません。遺言を残したい場合は、別途遺言書を作成し、エンディングノートに遺言書の有無を記載してください。あわせて遺言書の保管場所や種類なども書き残しておけば、遺族の手間を省けます。

  • 遺言書の有無
  • 遺言書の保管場所
  • 遺言書の種類
  • 形見わけ

9.連絡先

自分の親族や親しい友人の連絡先を記入しましょう。亡くなったことを連絡してほしい人がいる場合には、その旨記載しておくことをオススメします。

10.家族・親族へのメッセージ

家族や親族へのメッセージを、ぜひエンディングノートに残してみてください。自分が死ぬ直前は、家族や親族とゆっくり話をできないかもしれません。また、面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは恥ずかしいと感じる人もいるでしょう。

エンディングノートを書いた後は…

パスワードや通帳の保管場所などエンディングノートには重要な情報が書かれています。自己責任のもと簡単に見つからない場所に厳重に保管しましょう。
ただし見つけるのに苦労する場所だといざという時に誰にも見つからない恐れがありますので、信頼できる親族に存在を教えておくのもいいかもしれません。

まとめ

今回は終活として使われるエンディングノートについてご紹介しました。ノートに記すことで自分を振り返り整理することができます。エンディングノートの様式は決まっていないため、自由にノートに書くことでも問題ありません。一度、自分の状況を整理するために書いてみるのもいいかもしれませんね。

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