国保連請求の「返戻」はなぜ起きる?給付費が振り込まれない時のチェックリスト

「今月、振り込まれるはずの給付費が入っていない…!」 「国保連から『返戻(へんれい)』の通知が来たけれど、エラーコードの意味がわからない」
障害福祉サービス事業所を運営していて、もっとも冷や汗をかく瞬間の一つが「請求エラー」ではないでしょうか。給付費がストップすることは、そのまま事業所のキャッシュフロー(資金繰り)の悪化を意味します。
「返戻には必ず明確な原因があり、その9割はケアレスミスである」があります。
今回は、「なぜ返戻が起きるのか」と、「給付費が振り込まれない時に即座に確認すべきチェックリスト」を紹介します。
この記事を読んで分かること
- 「返戻(へんれい)」と「保留」の決定的な違いと対処法
- 給付費が振り込まれない「5つの共通原因」(チェックリスト付)
- 元・審査担当が語る「なぜ役所は修正してくれないのか?」の裏事情
- 来月の入金を確実にするための「3つの防止策」
「返戻(へんれい)」とは何か?「保留」との違い

まず、言葉の定義をはっきりさせましょう。給付費が支払われないパターンには、大きく分けて「返戻」と「保留」の2つがあります。
- 返戻(へんれい): 請求データに誤りがあり、国保連(国民健康保険団体連合会)や自治体から「突き返された」状態。
⇒ 【対策】事業所がデータを修正し、再請求しない限り、未来永劫お金は入ってきません。 - 保留(ほりゅう): 自治体側が「審査中」で止めている状態。
⇒ 【対策】自治体の確認が終われば支払われる可能性がありますが、問い合わせが必要です。
多くの事業所が恐れるべきは、圧倒的に「返戻」です。これを放置すると、数ヶ月分の売上が消えることになります。
返戻・査定のチェックリスト6選

返戻になる代表的なエラーをリスト化しました。返戻通知が来たら、まずはここを疑ってください。
1. 受給者証の「有効期間」と「支給量」切れ
これが最も多い原因です。
- 有効期間切れ: 受給者証の更新時期を見逃していませんか?
- 例:3月31日で切れている受給者証の番号で、4月分の請求をしている。
- 支給量オーバー: 月の日数や支給量を超えてサービス提供していませんか?
- 例:支給量が「月20日」なのに、「22日」分の請求をしている。
- ※この場合、エラーではなく「上限までカット」されて支払われることもあります(査定)。
2. 「上限額管理」の結果不一致(要注意!)
放課後等デイサービスや就労継続支援などで、利用者が複数の事業所を利用している場合に多発します。
- エラーの仕組み: 「上限管理事業所」が国保連に送った金額と、あなたの事業所が送った金額が1円でもズレていると、関わった全ての事業所の請求が返戻になります。
- 原因: 他事業所との連絡ミス、入力ミスが大半です。「相手が間違えていたせいで、ウチの入金も止まった」というケースが後を絶ちません。
3. 「サービス提供月」と「請求月」のズレ
初歩的ですが、請求ソフトの設定ミスで意外と起こります。
間違いの例: 5月にサービス提供した分は、本来「6月10日」までに請求します。これをソフト上で「5月請求分」という扱いにしてしまっていませんか?
4. 加算の算定要件(届出)の不一致
処遇改善加算や、人員配置体制加算など、「事前に届け出が必要な加算」を勝手に請求していませんか?
- よくあるケース:
- 4月から新しい加算を取りたいのに、役所への届出(体制届)が4月15日(期限切れ)になっていた。
- この場合、4月分は算定できず、5月分からの適用になります。無理に4月分で請求すると、全額返戻になる可能性があります。
5. 計画相談(サービス等利用計画案)の未作成
これは「保留」の原因になりやすい項目です。
相談支援専門員が作成する「サービス等利用計画案」が役所に提出され、支給決定がされていない状態でサービスを提供していませんか? 特に「セルフプラン」から「計画相談」への切り替えタイミングで連携ミスが起き、請求が通らないケースが多発しています。
6. 入力ミス(単純なタイプミス)
- 受給者番号の桁間違い
- サービスコードの間違い(身体介護なのに家事援助のコードを入れている、等)
- 事業所番号の入力ミス
「返戻」を防ぎ、確実に給付費を受け取るために

返戻を防ぐための対策は、以下の3点に集約されます。
- 受給者証原本の毎月確認
コピーではなく、必ず利用者の手元にある原本(または最新のコピー)を確認してください。更新時期は特に注意です。 - 上限管理事業所との密な連携
毎月1日〜3日の間に、必ず金額のすり合わせを行ってください。ここをFAX一枚で済ませていると、事故が起きます。 - 送信は「10日ギリギリ」を避ける
可能であれば毎月7日〜8日には送信を完了させてください。そうすれば、国保連の「到達確認」や「事前チェック」で簡易的なエラーに気づき、10日の締め切りまでに修正できるチャンスが生まれます。
よくある質問 (FAQ)

まとめ:請求業務に不安がある経営者様へ

国保連請求は、障害福祉事業における「心臓」です。どんなに素晴らしい支援を利用者に提供していても、ここが止まれば血液(資金)が回らなくなり、事業所は倒産してしまいます。
しかし、多くの経営者様がこう仰います。 「毎月、国保連の送信ボタンを押すときの手が震える」 「返戻の通知書が届くと、意味不明な暗号を解読している気分で絶望する」
そのお気持ちは痛いほど分かります。現場の皆様にとって、複雑怪奇な制度やエラーコードとの戦いは、本来やりたかった「利用者支援」の時間を奪うだけのストレスでしかないからです。
もし、「毎月返戻の通知を見るのが怖い」「事務員が辞めてしまって請求がわからない」という状態であれば、一度専門家の目を入れることをお勧めします。




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