【Wordひな形あり】虐待防止委員会の議事録の書き方と運営手順|未実施減算を防ぐ対策

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令和4年の義務化に続き、令和6年度からはついに「虐待防止措置未実施減算」が開始されました。

「委員会を定期的に開く余裕なんてない」 「議事録に何を書けばいいかわからず、実地指導が怖い」

このようにお悩みの障害福祉サービスの事業所様も多いのではないでしょうか?

形式だけの委員会運営は、職員の負担になるだけでなく、実地指導で「運営基準違反」として指摘されるリスクがあります。

この記事では、大阪で障害福祉現場で活動する私が、小規模事業所でも負担なく、かつ適法に運営するためのノウハウを解説します。

記事の冒頭では、【そのまま使える虐待防止の指針・議事録のひな形(Word)】も無料配布しています。ダウンロードして活用いただければ、今日から迷わず委員会運営をスタートできます。確実に減算を防ぐためのポイントを、今すぐ確認していきましょう。

この記事を読んで分かること

・虐待防止未実施減算について分かる
・虐待防止委員会のポイントについて分かる
・虐待防止委員会の実施方法について分かる

目次

【無料ダウンロード】虐待防止委員会:指針・議事録のひな形

虐待防止措置未実施減算を防ぐためには、委員会を設置し、その記録を適切に残すことが必須です。しかし、ゼロから書類を作成するのは大変な労力がかかります。

そこで、大阪の障害福祉事業所様向けに、**編集してそのまま使えるひな形(テンプレート)**をご用意しました。登録不要でダウンロードできますので、貴社の実情に合わせて書き換えてご活用ください。

虐待防止のための指針(Word)

委員会の設置目的、構成メンバー、開催頻度などを定めた規程です。運営規程の別添として整備しておくことをおすすめします。

※本ひな形は一般的なモデルケースです。必ず貴事業所の実情に合わせて修正してご使用ください

委員会議事録フォーマット(Word)

実地指導で最もチェックされるのがこの「議事録」です。「いつ」「誰が」「何を話し合ったか」を漏れなく記載するためのフォーマットです。

※本ひな形は一般的なモデルケースです。必ず貴事業所の実情に合わせて修正してご使用ください

虐待防止チェックリスト(Excel)

職員が定期的に行うセルフチェックリストです。

※本ひな形は一般的なモデルケースです。必ず貴事業所の実情に合わせて修正してご使用ください

【ご利用上の注意】 本データは一例ですので、各自治体(指定権者)の判断により異なる場合があります。 本データを使用し結果生じた損害(実地指導での指摘等)について、当事務所では責任を負いかねます。必ず管轄行政庁のルールに従って最終確認を行ってください。

「虐待防止措置未実施減算」とは?(1分で解説)

令和4年度から義務化されていた「虐待防止への取り組み」ですが、猶予期間が終了し、令和6年(2024年)4月より「やっていない事業所は報酬を減らす(減算)」という厳しいルールが適用開始されました。

「忙しくて手が回らなかった」では済まされず、経営に直結するペナルティとなります。

減算される金額(報酬の1%+返還リスク)

減算幅は「所定単位数の1%」です。数字だけ見ると少なく感じるかもしれませんが、事業所の利益率を考えると無視できない金額になります。

【月商300万円の放課後等デイサービスの場合】
月間の損失:約3万円から差し引かれます。
年間の損失:約36万円
※利用者全員分の基本報酬から差し引かれます。

さらに恐ろしいのは「実地指導での返還命令」です。 もし数年後に実地指導が入り、「2年前から要件を満たしていなかった」と判断された場合、過去2年分の減算額(上記例なら約72万円)を一括で返還なければなりません。

減算を回避するための「3つの必須要件」

この減算・返還を避けるためには、以下の3つをすべて実施している必要があります。1つでも欠けると減算対象となります。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催し、従業員に周知する
    • 虐待防止委員会は1年に1回以上の開催が必要です
      1年度に1回以上ではなく、直近1年以内に1回以上実施する。
      対応状況は適切に記録し、5年間保存する。
      虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)のメンバーには、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者なども加えるよう努めることが望ましいです。
    • 事業所単位ではなく、法人単位で設置・開催できます
    • 身体拘束適正化検討委員会と一体的に設置・運営できます
    • 従業員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
  2. 虐待防止のための研修を定期的に実施する
    • こちらも年1回以上が必要です(採用時研修も含む)。
    • 「研修をやった」という記録が必要です。
  3. 虐待防止委員会の組織体制図をつくる
    • 委員会の委員長と虐待防止責任者を決めます。虐待防止責任者にはサービス管理責任者などを配置する必要があります。担当者と管理者は、都道府県や市町村が実施する虐待防止研修を受講することが望ましいでしょう。

特に不備が出やすいのが、1つ目の「委員会の開催と議事録の作成」です。次の章では、小規模な事業所でも負担なくこの要件をクリアする方法を解説します。

人手不足でも大丈夫!小規模事業所が委員会を回す3つのコツ

「スタッフは数名しかいないし、日中は現場で手一杯……」 そんな小規模事業所にとって、全員が集まって会議をするのは至難の業です。

しかし、委員会は必ずしも「全職員が大会議室に集まって行う」必要はありません。法律の要件を満たしつつ、負担を最小限に抑える現実的な運営方法をご紹介します。

1. メンバーは誰にする?

法律上、委員会の人数に決まりはありません。小規模な事業所であれば、以下の最小構成でスタートすることをお勧めします。

  • 委員長: 管理者
  • 担当者: サービス管理責任者(児発管)
  • その他職員: 生活支援員など

ポイント】 まずは所内の主要メンバー2〜3名で開催し、実績を作ることが最優先です。 ※ただし、外部の目を入れることは透明性の確保に役立つため、可能であれば年1回だけでも外部委員を招くのが理想的です。

2. 「身体拘束適正化検討委員会」と同時開催して時短する

多くの事業所で行われているのが、「虐待防止委員会」と「身体拘束適正化検討委員会」の同時開催です。

両委員会はメンバーや議論の内容が重なることが多いため、まとめて開催しても差し支えありません。

  • メリット: 会議の準備や招集が1回で済む。
  • 注意点: 議事録は「虐待防止」と「身体拘束」で明確に区分して作成してください。

実地指導の際、担当官によっては「それぞれの委員会として機能しているか」を厳しくチェックする場合があるため、タイトルを「虐待防止・身体拘束適正化 合同委員会 議事録」とし、議題の中で項目をハッキリ分けるのが無難です。

3. 全員集まれない時は「回覧」や「申し送り」を活用する

シフト制の障害福祉現場では、全職員が同じ時間に集まるのは現実的ではありません。 委員会自体はコアメンバー(管理者・サビ管など)で実施し、その決定事項を職員にどう周知するかが重要です。

全員を集めて報告会を開く必要はありません。以下のような方法でも「周知徹底」として認められます。

  • 朝礼・終礼での伝達: 数日に分けて全スタッフに伝える。
  • 回覧板・掲示: 休憩室に議事録を掲示し、閲覧確認のサイン(押印)をもらう。

「委員会をやった」だけで終わらせず、「職員に伝えた証拠」を残すこと。 ここまでやって初めて、減算回避の要件クリアとなります。

実地指導で指摘されない「議事録」の書き方【NG例・OK例】

実地指導で最もよくある指摘の一つが、「議事録の内容が薄すぎる(形骸化している)」というものです。

「虐待の発生はありませんでした。以上。」 これだけしか書かれていない議事録は、委員会を開催していないのと同じとみなされる危険性があります。

行政の担当者が納得する議事録にするために、以下の3つのポイントを必ず押さえてください。

1. 「特になし」は危険! 議題がなくても書くべき内容

虐待事案が発生していないこと自体は素晴らしいことですが、議事録に書くことがないと悩むかもしれません。 しかし、委員会は「起きたことを報告する場」ではなく、「未然に防ぐための場」です。

虐待がなかった時こそ、以下のような内容を記載してください。

  • 指針やマニュアルの読み合わせ: 「マニュアルの〇ページを全員で確認した」。
  • 虐待防止チェックリストの結果報告:日常の支援から虐待の芽がないか確認。
  • ストレスチェックの結果報告: 職員のメンタルヘルス状況の確認。

【比較】これで安心! NG例とOK例

NG例(指摘される書き方)
議題: 虐待発生状況について
内容: 今月は特に報告はありませんでした。
これでは「何も活動していない」と判断されます。

OK例(推奨する書き方)
議題: 虐待発生状況および予防策について
内容:虐待の通報・発生事案はなし。ただし、送迎時に利用者を急かす場面が見られたため、ヒヤリハットとして共有。
【決定事項】 次回の朝礼で「ゆとりを持った送迎計画」についてサビ管から周知を行う。

2. 結果を職員に「周知」した証拠を残す

減算要件には「委員会の結果を従業者に周知徹底すること」とあります。 議事録の最後には、必ず「どうやって周知するか」を記載してください。

  • 記載例:
    • 「本日の決定事項は、〇月〇日の全体会議にて周知する。」
    • 「議事録を休憩室の掲示板に張り出し、全職員の閲覧確認印を求める。」

実地指導では、「議事録はあるけど、現場のスタッフは誰も内容を知らない」という状態は運営が適切に行われていないと判断されます。

「配布しているひな形には、これらの項目があらかじめセットされています」

3. 「PDCA」を回している形跡を見せる

行政が最も評価するのは「改善のプロセス(PDCA)」です。

  1. Plan(計画): 研修をしよう
  2. Do(実行): 研修をした
  3. Check(評価): アンケートを取ったら理解度が低かった
  4. Action(改善): 次回はもっと簡単な動画を使おう

このように、前回の振り返り」や「次回の目標」が議事録に含まれていると、運営体制として非常に高く評価されます。

委員会とセットで必須!「虐待防止研修」の効率的な進め方

虐待防止委員会と並んで必須要件となっているのが、年1回以上の「虐待防止研修」の実施です。 (※新規採用職員への研修実施も義務付けられています)

「講師を呼ぶ予算がない」「資料を作る時間がない」という場合でも、以下の方法ならコストをかけずに実施可能です。

1. 外部研修に行けない場合の「内部研修」のやり方

外部のセミナーに参加するだけが研修ではありません。事業所内で管理者が講師となり、職員に向けて話をする「内部研修」でも要件は満たせます。

重要なのは研修を行ったという記録です。以下の書類を必ず残してください。

  1. 研修実施計画書: 「いつ」「誰を対象に」「何をやるか」の計画。
  2. 研修報告書: 参加者名簿、使用した資料など。
  3. 研修後、簡単な感想文(レポート)や理解度チェックテストを提出してもらう。
  4. レポートを「研修受講の証拠」として保管する。

【ネタに困ったら?】 行政庁(厚生労働省や都道府県)が公開しているパンフレットやマニュアルを読み合わせるだけでも、立派な研修になります。
参考:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」

2. 動画研修を活用して記録に残すテクニック

最も効率的なのは、YouTubeなどの「動画研修」を活用することです。 行政や業界団体が、質の高い研修動画を無料で公開しています。

【おすすめの実施フロー】

  1. タブレットやPCで、職員に指定のYouTube動画を見てもらう。
  2. 視聴後、簡単な感想文(レポート)や理解度チェックテストを提出してもらう。
  3. レポートを「研修受講の証拠」として保管する。

これなら、全員が同じ時間に集まらなくても、各自の空き時間で研修を完了できます。

【注意点】 動画を見せるだけ(流しっぱなし)では、実地指導で「本当に見たのか?」と疑われる可能性があります。必ず「感想文」や「サイン」などのアウトプットを残しましょう。

よくある質問

障害者虐待防止未実施減算・虐待防止委員会についてよくある質問をまとめました。

委員会は「年1回」だけの開催でも減算されませんか?

はい、最低基準としては年1回以上の開催で要件を満たします。 虐待防止措置未実施減算の要件は「委員会を定期的に開催すること(年1回以上)」と定められています。

虐待防止委員会の参加人数に決まりはありますか?

参加人数に決まりはありません。ただ事業所の管理者や虐待防止担当者の参加は必須です。

「虐待防止委員会」と「身体拘束等適正化検討委員会」は共催できますか?

可能です。しかし、別々に議事録は作成しましょう。

小規模な事業所や、利用者が少ない場合でも設置義務はありますか?

はい、事業所の規模に関わらず設置は義務です。 就労継続支援B型、放課後等デイサービス、グループホームなど、すべての指定障害福祉サービス事業者が対象です。 職員数が少なく会議形式が難しい場合は、朝礼や終礼の時間を活用して管理者と担当者が協議し、その内容を記録(議事録)に残す形でも運営可能です。重要なのは「話し合いの記録があること」と「職員全員が内容を知っていること」です。

外部の「第三者委員」は必ず参加しなければなりませんか?

いいえ、第三者委員の参加は「努力義務」であり、必須ではありません。 外部委員がいなくても、委員会を開催し記録を残していれば減算対象にはなりません。 ただし、虐待防止の透明性を高めるために、外部の専門家(弁護士、社会保険労務士、行政書士など)や地域住民の参加が「望ましい」とされています。まずは内部職員のみでスタートし、余裕が出てきたら外部委員の招聘を検討してください。

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まとめ

今回は虐待防止にかかる虐待防止未実施減算と減算を防ぐための虐待防止委員会についてご紹介しました。障害者虐待という言葉は重く感じる事業所が多いですが、実際は支援の質を向上・見直すための機会として行政が関わっています。実際に虐待と判断する多くは軽度の心理的なものが多くを占めいていますので、通報があったからといって気を負うことなく、積極的に取り組んでいきましょう。

くまくまさん
この記事を書いた人

大阪の福祉系地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・福祉系の資格あり
・行政書士試験合格
【略歴】
・大阪在住
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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