子供の権利条約について解説〜子供の権利をどう守るのか〜

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子どもの権利条約とは、世界中、全ての子どもが持つ基本的人権を定めた条約です。1989年11月20日の国連総会で採択されました。子どもの権利条約は、すべての国の18歳以下の子どもを対象としています。

実は日本は1994年4月に批准し、今年で31年になります。今回は子どもの人権を守る、「子どもの権利条約」について解説します。

この記事を読んでわかること

・子どもの権利条約の概要がわかる
・子どもの権利を阻害する具体例がわかる

目次

子どもの権利条約とは

子どもの権利条約には、人生の中でとても大切な時期である「子ども」の時期だからこそ大切にされる4つの原則があります。4つの原則は、日本の子どもに関する法律である「こども基本法」にも取り入れられています。

  • 子どもの意見の尊重
  • 差別の禁止
  • 子どもの最善の利益
  • 生命、生存及び発達に対する権利

子どもの意見の尊重

子どもには自分に関わる事について自由に発言し、正当に評価してもらう権利があります。さらに大人は子どもを管理するのではなく、その意見を尊重しなければいけません。

差別の禁止

子どもは本人や親の人種、国籍、性、政治的意見、障がい、宗教、経済状況など、どんな理由でも差別されてはいけません

子どもの最善の利益

子ども自身に関わることを社会福祉施設、裁判所、行政・立法機関などで決める際、その子にとって最善の利益を考えなければいけません

生命、生存及び発達に対する権利

子どもの命は守られると共に、持って生まれた能力を伸ばして発達・成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されています。

子どもの4つの権利

子どもの権利条約は、各条項で規定されている内容ごとに大きく4種類に分類することができます。下記は、各権利の概要をまとめました。

生きる権利

子どもの命が守られ、健康かつ人間らしい生活を送ることができる権利です。

育つ権利

子どもが自分たちの持つ才能を伸ばし、心身共に健康に成長できる環境が整備され、保証される権利です。

守られる権利

子どもがあらゆる暴力・虐待・搾取から守られ、幸福に生きられる権利です。

参加する権利

子どもの意思が尊重され、他人の権利を侵害しない範囲で自由に発言や活動ができる権利です。

子どもの権利条約の主な内容

この条約は18歳未満のすべての者を対象とし、子どもを「保護の対象」としてだけでなく、あくまで「権利の主体」としてとらえているところがポイントと言えます。

<第1条>
条約では、18歳未満のすべての人を子どもと見なします。ただし、法律などによって18歳未満でも成人と見なされている人を除きます。

<第2条>
国は、人種、肌の色、性別、言葉、宗教、政治的意見、社会的出身、財産、障害などを理由に子どもや保護者を差別せず、あらゆる方法で子どもの権利を守ります。

<第3条>
国が子どもに関係する措置を実行する際は、子どもの利益を最優先します。子どもをきちんと保護・養護できるようにするため、父母や法定保護者の権利と義務も考慮します。

<第4条>
国は立法・行政をはじめとするあらゆる分野において、子どもの権利の実現に向けて行動します。国が子どもの権利を守ることが難しい場合は、必要に応じて国際協力を得ます。

<第5条>
国は、子どもが自らの権利を行使するときに、父母や法定保護者などが適切に指導する責任・義務・権利を尊重します。

<第6条>
すべての子どもは、生きる権利と成長する権利を持ちます。国は、子どもの生きる権利と成長する権利を最大限守ります。

<第7条>
子どもが誕生したら、すぐに出生届を出します。子どもは生まれたときから名前と国籍を持つ権利、そしてできる限り自分の父母を知り、父母に養育される権利を持ちます。

<第8条>
国は、子どもが国籍・氏名・身元などについてむやみに干渉されないよう守ります。もし子どもが身元などを不法に奪われた場合、国は子どもの身元などをすみやかに回復させるよう努めます。

<第9条>
国は、子どもが父母と引き離されないよう守ります。父母の別居や父母による虐待・放置などがある場合はこの限りではないものの、国は子どもと父母が定期的に会ったり関係を維持したりする権利を尊重します。

<第10条>
父母と異なる国に住んでいる子どもは、定期的に父母と会ったり関係を維持したりする権利を持ちます。国は、子どもと父母が会うことを目的として自由に出入国する権利を尊重します。

<第11条>
国は、子どもがむやみに国外へ連れ去られたり、自国へ戻れない状況になったりしないよう努めます。

<第13条>
子どもは、あらゆる情報や考えをさまざまな方法で知ったり伝えたりする権利を持ちます。ただし、人々の安全・健康・道徳などを守る目的でこの権利に一定の制限をかけることができます。

<第14条>
国は、子どもの思想・良心・宗教の自由に関する権利を守ります。人々の安全・健康・道徳などを守るため、宗教や信念を表現する自由については法律に従って制限をかけることができます。

<第16条>
すべての子どもは私生活・家族関係・住居・通信に対してむやみに干渉されたり、名誉や信用を傷つけられたりするべきではありません。

<第18条>
子どもの養育・発達についてはまず父母が共同で責任者となり、国はこれを守るために最大限努力します。また、国は父母および法定保護者のための子育て支援をします。

<第20条>
家庭環境を奪われた子どもやその家庭環境にとどまるべきでないと判断された子どもは、国から特別な保護や援助を受けることができます。その際、国は子どもの種族・宗教・文化的背景などについて十分配慮します。

<第21条>
国や公的機関が子どもの養子縁組を認める際、子どもの最善の利益について最大限考慮します。その際は父母や親族などの状況と照らし合わせて養子縁組が適切かどうかを確認し、国内養子縁組が難しい場合は国際養子縁組も考慮します。

<第22条>
国は、難民として国外から自国へ逃れてきた子どもに対して適切な保護や援助をします。その際、子どもが父母などに付き添われているかどうかは問いません。

<第25条>
国は子どもの収容施設における子どもへの処遇や施設の状況などを把握するため、施設に対して定期的に審査を行います。

<第26条>
すべての子どもは、社会保険およびその他の社会保障から給付を受けることができます。この給付は、父母や法定保護者の経済状況などに応じて決定されます。

<第29条>
子どもに対する教育指導の目的は、子ども自身の才能や能力を最大限伸ばすこと、人権・自由・環境を尊重すること、自国や他国の文化・言語・価値観を尊重することなどです。

<第30条>
少数民族・原住民ならびに宗教的・文化的な少数者グループに属する子どもは、自らの文化・宗教・言語などを保持する権利を持ちます。

<第33条>
国は、麻薬・覚せい剤・向精神薬などの不正利用や生産・取引から子どもを守るためにあらゆる手を尽くします。

<第34条>
国は、売買春や不法な性的行為の強制などの性的搾取、ならびに性的虐待から子どもを守るためにあらゆる手を尽くします。

<第35条>
国は、あらゆる目的および手段の誘拐・人身売買から子どもを守ります。

<第37条>
子どもに拷問をしたり、死刑・終身刑などの非人道的な刑罰を科したりすることを禁止します。犯罪を行った子どもの身柄を拘束する際は拘束期間をできる限り短くし、子どもの尊厳や年齢を考慮して人道的に扱います。

<第39条>
虐待・拷問などの非人道的な扱いや武力紛争などの被害者となった子どもは、心身の回復や社会復帰のための支援を受けることができます。

<第40条>
犯罪を行った子どもは、他人の人権・自由を尊重できるようになること、将来社会参加して建設的な役割を担えるようになることを目指して扱われる権利を持ちます。

<第41条>
条約が定めるすべての規定は各国の国内法または国際法に含まれるものであり、子どもの権利を実現するための物事に影響を及ぼしません。

全文はセーブ・ザ・チルドレンのホームページをご覧ください:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(子どもの権利条約全文)

日本の取り組み

子どもの人権を守る取り組みとして、日本ではこども基本法を制定しています。

こども基本法とは、すべてのこどもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、2023年4月に施行された法律です。子どもたち自身にもさまざまな権利があるということを保障しています。

国だけでなく、子どもの権利条約を参考にした条例を制定している自治体もあります。

出典:こども基本法 こども家庭庁

子どもの権利条約が守られていない例

日本で子どもの人権侵害は起きているとされる身近なものは以下の項目が考えられます。

児童虐待

 虐待は、子供の心身の成長と人格の形成に深刻な影響を与える重大な権利侵害です。また、激しい体罰は、感情や思考をつかさどる脳の前頭前野を萎縮させ、言葉の暴力は、声や音声を知覚する聴覚野を肥大させることが近年の研究で明らかになっています。(友田明美・福井大学教授、ハーバード大学・マーチン・タイチャー氏による研究成果。)
児童虐待防止法は、保護者による身体的虐待、性的虐待、養育の放棄・怠慢、心理的虐待について、その予防及び早期発見、子供の保護などを定めています。子供自身が虐待を外部に訴えることは難しいため、虐待の疑いをもったときは、速やかに児童相談所などに通告する必要があります。

児童買春等

 児童買春、児童ポルノなどは、子供の人権を侵害する犯罪です。その多くはスマートフォン等のインターネット接続機器等の普及に伴うSNS等の利用が関係しており、国は児童買春・児童ポルノ禁止法、出会い系サイト規制法などに基づき対策を講じています。

よくある質問

子どもの権利条約についてよくある質問をまとめました。

締約国が、やらなければいけないことって?

「子どもの権利条約」を批准(ひじゅん)などして締約した国や地域は、国内で子どもの権利が守られているかどうかを、定期的に「子どもの権利委員会」に報告書を提出しなければいけません。この報告書は条約を締約した2年後に最初の報告書を提出します。その後は5年ごとに提出することになっています。

子どもの権利条約ってどんな内容?

世界中の全ての子ども(18歳未満)が、子ども時代を自分らしく健康的に安心してゆたかにすごせるよう54の条文が書かれています。

まとめ

ぜひ一度条文を読んでみてください。子どもの権利条約は、子どもの人権を守るための条約です。子どもの権利条約に込められた理念を実現したいですね。

くまくまさん
この記事を書いた人

大阪の福祉系地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・福祉系の資格あり
・行政書士試験合格
【略歴】
・大阪在住
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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