【無料Excel付】就労B・GHの「常勤換算」合っていますか?人員欠如を防ぐ計算の極意

常勤換算という言葉を聞くと、現場の管理者様からはこんな悲鳴が聞こえてきそうです。
「わざと減らしているわけじゃない!計算が複雑すぎて、合っているか自信がないんだ!」
その気持ち、痛いほどわかります。 行政職員時代、私も指定申請の審査で電卓を叩きながら、「あ、ここ0.1足りてない…」と気づき、事業所様に再計算をお願いすることが何度もありました。 特に「就労継続支援B型」や「グループホーム」は、利用者数によって必要人数が変わるため、計算ミスが非常に起こりやすいのです。
今回は、福祉業界の鬼門、「常勤換算(じょうきんかんさん)」についてわかりやすく解説します。
記事の最後には、「職種別・自動計算エクセルシート」のプレゼントもありますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事を読んででわかること
・「人数は足りているはずなのに減算?」を防ぐ、常勤換算の正しいルール
・就労継続支援B型・グループホームの具体的な計算事例(NG例・OK例)
・入力するだけで0.1の不足も即座に判定!「自動計算エクセル」の無料配布
そもそも「常勤換算」とは?なぜ「人数」じゃダメなのか

配置基準には「常勤で○人」という書き方と、「常勤換算で○人」という書き方があります。
- 常勤(頭数): 「週40時間(就業規則上のフルタイム)」働く人が何人いるか。
- 常勤換算: パートやアルバイトを含めた、常勤職員の勤務すべき時間数(通常週40時間)」で割る。
例えば、常勤(週40時間)が1.0人の場合。 週20時間のパートさんは、0.5人(20÷40)としてカウントします。
行政がなぜここを細かく見るかというと、「利用者さんに対して、十分なケアができる時間数が確保されているか」を客観的に判断するためです。
ここで間違える!恐怖の「落とし穴」3選

私が監査や審査をしていて、特によく見かける「計算ミスのパターン」を3つ紹介します。これに当てはまっていたら、今すぐシフト表を見直してください。
1. 「休憩時間」を含めて計算している
【間違い度:★★★★★】 これが一番多いミスです。
NG例: 9:00〜18:00(休憩1時間)のパートさんを、「拘束時間が9時間だから、8時間勤務」として計算する。
正しいルール: 常勤換算に含められるのは「実労働時間」のみです。 もし、利用者が帰った後に休憩を取っていて、実は実働7.5時間だった…という場合、その0.5時間分のズレが積み重なって「人員欠如」になります。
2. 「有給休暇」を計算に入れていない(逆もまた然り)
【間違い度:★★★★☆】 有給の扱いは非常にややこしいですが、ここを知っていると経営が楽になります。
原則: 「常勤の職員」や「配置基準上必要な職員」が有給休暇を取った場合、その時間は「勤務した」とみなして常勤換算に含めることができます(※1ヶ月まるまる休む場合などを除く)。
落とし穴: 逆に、人員基準を上回って配置されている「加配職員(パートなど)」が有給を取った場合は、換算に含められないケースがあります。
行政の視点: 監査では「有給消化日」と「出勤簿の印字(休み)」を照らし合わせ、「この日は換算に入れてOK」「これはNG」と細かくチェックします。
3. 「サービス管理責任者」との兼務時間を分けていない
【間違い度:★★★★☆】 小規模な事業所では、管理者がサビ管を兼務したり、サビ管が直接処遇職員を兼務したりすることがあります。
ルール: 兼務する場合、それぞれの業務を行った時間を明確に切り分けて記録し、計算する必要があります。
NG例: 「サビ管兼生活支援員」として週40時間働いているから、サビ管1.0、生活支援員1.0としてダブルカウントする。
結果: もちろんNGです。身体は一つしかありません。サビ管業務に20時間使ったら、生活支援員としては残り20時間(0.5)しかカウントできません。
【実践編】就B・障害者GHの計算事例を公開

口で説明するより、実際に数字を見たほうが早いですよね。 ここでは、多くの事業所様がつまずきやすい「就労継続支援B型」と「グループホーム」のモデルケースを使って、正しい計算の流れを見ていきましょう。
※ここでは計算をわかりやすくするため、単純化したモデルを使用します。実際は利用者の平均障害支援区分等により変動します。
事例1:就労継続支援B型(定員20名)の場合
まずは、ポピュラーな就労B型のケースです。
| 職種 | 配置数 | 常勤要件 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 管理者 | 1名以上 | なし | |
| サービス管理責任者 | 1名以上 | あり | 60:1 |
| 生活支援員 | 1名以上 | どちらかが常勤 | 10:1 7.5:1 6:1 |
| 職業指導員 | 1名以上 |
- 前提条件
- 前年度の平均利用者数:20.0人
- 配置基準:10:1(利用者10人につき職員1人)
- 必要な職員数(目標値)
- 20.0人 ÷ 10 = 2.0人(常勤換算)
- ※職業指導員と生活支援員の合計で「2.0」以上が必要です。
- ※サービス管理責任者(1名)はこれとは別に必要です。
| 職種 | 勤務形態 | 勤務時間(4週) | 常勤換算数 | 判定 |
| Aさん | 常勤(正社員) | 160時間 | 1.0 | |
| Bさん | 非常勤(パート) | 80時間 | 0.5 | |
| Cさん | 非常勤(パート) | 64時間 | 0.4 | |
| 合計 | 1.9 | ❌ 0.1不足! |
<解説> Aさん(1.0)とBさん(0.5)だけでは1.5しかありません。Cさんの勤務時間が64時間(0.4)だと、合計1.9となり基準違反です。 Cさんにあと16時間(週4時間程度)多く入ってもらうか、もう一人0.1分のスタッフを採用しなければ、この月減算(報酬カット)となります。
常勤計算の参考に指定申請時に作成する勤務形態一覧表を載せておきます。必要項目を入れることで、常勤計算が自動でされます。
事例2:グループホーム(共同生活援助・定員10名)の場合
次は、計算が複雑になりがちなグループホーム(外部サービス利用型以外)の「世話人」のケースです。
| 職種 | 配置数 | 常勤要件 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 管理者 | 1名以上 | あり | 常勤 |
| サービス管理責任者 | 1名以上 | なし | 管理者と兼務でなければ生活支援員、世話人と兼務可 利用者30人までは1人 |
| 生活支援員 | 1名以上 | なし日中活動支援型は生活支援員、世話人のうち一人は常勤の必要性あり | 常勤換算で、次の①から④までに掲げる数の合計以上 ① 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数 ② 障害支援区分4に該当する利用者の数を6で除した数 ③ 障害支援区分5に該当する利用者の数を4で除した数 ④ 障害支援区分6に該当する利用者の数を2.5で除した数 |
| 世話人 | 1名以上 | なし日中活動支援型は生活支援員、世話人のうち一人は常勤の必要性あり | 6:1(包括型の基本単位)5:1(日中支援型) |
- 前提条件
- 利用者数:10.0人
- 配置基準:6:1(利用者6人につき世話人1人)
- 必要な職員数(目標値)
- 10.0人 ÷ 6 = 1.666…
- 小数第2位切り上げにより ⇒ 1.7人(常勤換算)
- ※グループホームは端数処理で数字が繰り上がることがあるため注意が必要です!
【シフト実績と計算結果】
| 職種 | 勤務形態 | 勤務時間(月170h基準) | 常勤換算数 | 判定 |
| Dさん | 常勤(管理者兼務) | 世話人として85h | 0.5 | |
| Eさん | 非常勤(朝夕) | 102時間 | 0.6 | |
| Fさん | 非常勤(土日) | 102時間 | 0.6 | |
| 合計 | 1.7 | ⭕️ ギリギリ達成 |
<解説> 管理者が世話人業務を兼務する場合、時間を明確に切り分ける(Dさんの例)ことで換算に含められます。 このケースは合計1.7で基準ピッタリですが、誰かが急に早退したり、有給休暇の条件を満たさない休み方をしたりすると、即座に1.6になってアウトになる危険な状態です。 経営的には、あと0.1〜0.2程度の余裕を持たせるのが鉄則です。
常勤計算の参考に指定申請時に作成する勤務形態一覧表を載せておきます。必要項目を入れることで、常勤計算が自動でされます。
正しい計算と管理のための3ステップ

行政職員時代、完璧な書類を出してくる事業所が行っていた管理方法をご紹介します。
月初のシフト表(予定)だけで安心せず、月末にタイムカード(実績)を元にした「実績版常勤換算表」を毎月必ず作成する。
手計算・電卓はミスの元です。厚労省や自治体が配布している「常勤換算シミュレーションシート(Excel)」を活用し、自動計算させる体制を作ってください。
常勤換算の分母となる「常勤職員の勤務時間」は、多くの事業所で「週40時間」ですが、変形労働時間制を採用している場合は「4週160時間」などで計算する必要があります。就業規則を確認しましょう。
よくある質問

障害福祉の常勤換算についてよくある質問をまとめました。
まとめ

常勤換算の計算は、福祉事業の経営における「心臓部」です。
- 休憩時間は引く(実働のみ)
- 有給休暇は条件付きでカウントOK(味方につける)
- 兼務は時間を切り分ける
- 毎月「実績」で再計算して、0.1の不足も見逃さない
「計算が苦手だ」「毎月のチェックが負担だ」という方は、ぜひ専門家を頼ってください。 行政書士として開業後は、毎月のシフト表チェックや常勤換算の代行、そして「ギリギリにならないための安全な人員配置プラン」の提案も行う予定です。
たかが数字、されど数字。事業所を守るために、今一度電卓を叩き直してみませんか?




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