【就労B型】暴言・暴力の利用者解約は可能?職員を守る正しい手順

こんにちは。 大阪で、障害福祉サービス専門の行政書士事務所開業に向けて準備中の「くまくま相談事務所」です。
就労継続支援B型の現場において、経営者・管理者が最も頭を抱える問題。 それは、売上でも加算でもなく、「問題行動のある利用者への対応」ではないでしょうか?
- スタッフへの日常的な暴言・恫喝
- 他の利用者へのセクハラ行為
- 感情のコントロールができず、備品を破壊する
「もう限界だ。辞めてもらいたい」 そう思っても、頭をよぎるのは「応諾義務(正当な理由なく断ってはいけない)」という福祉の鉄則と、役所からの指導への恐怖。
しかし、断言します。 事業所の秩序を乱し、職員や他の利用者の安全を脅かす場合、適切な手順を踏めば「契約解除」は可能です。
むしろ、一人の問題行動を見過ごし続けることは、「職員の安全配慮義務違反」や「他の利用者へのサービス提供義務違反」になりかねません。 今回は、感情論ではなく「法的に正しい手順」で、事業所を守る方法を解説します。
この記事を読んでわかること
・【結論】「応諾義務」があっても、信頼関係が破綻していれば解約は可能
・【手順】**いきなり「来るな」はNG。法的に正しい「4つのステップ」とは
・【防衛】**あなたの事業所の「重要事項説明書」は身を守れる内容ですか?
1. 「利用拒否」と「契約解除」は全く別物

まず、大前提として言葉を整理しましょう。
- 利用拒否(入り口): 契約前の段階で「あなたは受け入れられません」と断ること。 ➡︎ これは「応諾義務」により、定員超過など正当な理由がない限り原則NGです。
- 契約解除(出口): 既に利用している人との契約を終了させること。 ➡︎ こちらは、民法上の「信頼関係の破壊」が認められれば可能です。
福祉サービスといえど、利用者と事業所の間には「契約」が存在します。 一方が契約内容(ルール)を守らず、信頼関係を著しく損なう行為を繰り返した場合、契約の継続を強制されることはありません。
2. 法的に認められる「解約理由」3つのライン

では、具体的にどのようなケースなら解約が認められるのでしょうか? 単に「スタッフと相性が悪い」程度では認められません。以下の「レッドライン」を超えているかが判断基準になります。
① 生命・身体・財産への侵害(暴力・破壊)
- 職員を殴る、蹴る、噛み付く。
- ハサミやカッターを振り回す。
- 事業所のガラスを割る、備品を壊す。
- 他の利用者の体を触る(セクハラ)。 ※これらは犯罪行為であり、即座に警察介入も検討すべきレベルです。
② 著しい迷惑行為
- 大声で威嚇し続け、作業を中断させる。
- 特定の職員に執拗につきまとう。
- 正当な理由なく、支援員の指示に一切従わない状態が続く。
③ 契約違反
- 利用料(食事代など)を長期間滞納している。
- 無断欠席が続き、連絡が取れない。
3. 【保存版】トラブルにならない「解約までの4ステップ」

「明日から来ないでください」 これは絶対にやってはいけません。実地指導で「権利侵害」または「虐待」と指摘され指導対象になります。
解約を正当化するためには、「事業所として、できる限りの支援(合理的配慮)は尽くした」という証拠(プロセス)が必要です。
全ての基本です。「怖かった」「暴れた」という主観ではなく、客観的な事実をケース記録に残してください。
- いつ: 〇月〇日 10:30頃
- どこで: 作業室Aにて
- 誰が: 利用者A氏が
- 何を: 職員Bに対し「殺すぞ」と発言し、机を蹴り上げた
- 対応: クールダウンのため別室へ誘導したが応じず
一度のミスで解約はできません。 口頭注意だけでなく、面談を行い、「警告書」や「指導記録」といった書面で注意を与え、「改善するチャンス」を与えてください。
ここが最重要です。事業所だけで抱え込まないでください。 担当の相談支援専門員を呼び、ケース会議を開きます。 「このままでは当事業所での支援継続が難しい。他の事業所を探すか、医療機関へ繋ぐ必要がある」 とSOSを出し、「事業所単独のわがままではない」という合意形成を作ります。
上記ステップを踏んでも改善が見られない場合、最終手段として**「契約解除通知書」**を(できれば内容証明郵便で)送付します。 この際、契約書のどの条項に基づく解除かを明記します。
4. 専門家の視点:あなたの事業所の「契約書」は大丈夫?

いざトラブルになった時、あなたを守ってくれるのは「重要事項説明書(契約書)」です。 しかし、多くの事業所がネットのひな形をそのまま使い、肝心の部分が曖昧になっています。
【危険な契約書の例】
「その他、事業所が不適切と判断したとき」
これでは理由が曖昧すぎて、不当解約と言われるリスクがあります。
【強い契約書の例】
「利用者またはその家族等が、職員や他の利用者に対し、暴力、暴言、威嚇、セクハラ等の迷惑行為を行い、円滑な運営を妨げたとき」
このように、具体的な禁止事項を列挙しておくことが、最大のリスク管理になります。
5.よくある質問(Q &A)

利用者トラブルのよくある質問をまとめました。
6. まとめ:職員と他の利用者を守る決断を

問題行動のある利用者を解約することは、決して冷たい対応ではありません。 その一人の対応に職員がかかりきりになれば、真面目に通っている他の20人の利用者への支援がおろそかになります。
「多数の利用者の権利」と「職員の安全」を守るために、経営者は毅然とした判断が必要です。
もし、「今の契約書で大丈夫かな?」「具体的な通知書の書き方がわからない」とお悩みであれば、お早めにご相談ください。 トラブルが起きてからでは遅いです。「起きる前の備え」こそが、安定経営の鍵です。




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