【令和6年改定】日中支援加算は初日から算定可能!ⅠとⅡの違いや記録の書き方を解説

障害者グループホームは本来、夜間において利用者の支援を行う生活の場ですが、居宅生活の住まいの場としての機能を果たしてきました。
基本的には障害者グループホームに入所した利用者は近くの就労継続支援や生活介護などに通所して日中は出かけていることがほとんどですが、利用者は障害があることが前提であるため、状態によっては日中の支援が必要になる場合もあります。
また、令和6年度の報酬改定により、これまで3日目からしか算定できなかった日中支援加算(Ⅱ)が、初日から算定可能になりました。これにより、体調不良等で急に欠席した場合でも、適切な支援と記録があれば収益を確保できます。特に大阪府や大阪市でも、実地指導において日中支援の『記録』は重点的にチェックされる項目の一つです。今回は算定要件と、返戻を防ぐ記録方法について解説します。
この記事を読んで分かること
・日中支援加算の概要
・日中支援加算の算定方法と注意点

令和6年改定の変更点(初日からOK)

これまでは、日中支援加算(Ⅱ)「日中活動を予定している利用者が急な体調不良等でGHに残る場合」、1日目・2日目の支援には加算がつかず、3日目以降からしか算定できませんでした。しかし、令和6年度の報酬改定で「日中支援加算(Ⅱ)」が初日から取れるようになりました。「当日朝に体調を崩した」「急に通所が中止になった」そんな突発的な支援にも対応できる、実態に沿った制度になったと言えます。
日中支援加算(I)と(II)の違い

日中支援加算とは、障害福祉サービスの中でも「共同生活援助(グループホーム)」において、日中に外部の通所先(就労継続支援事業所、生活介護事業所など)を利用せず、グループホーム内で過ごす利用者さんに対して、適切な支援体制を確保している場合に算定できる加算です。
日中支援加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。
| 項目 | 日中支援加算(Ⅰ) | 日中支援加算(Ⅱ) |
| 対象者 | 高齢・重度障がいにより、日中もGHで過ごす人 | 体調不良や希望により、日中活動を欠席した人 |
| 算定日 | 毎日算定可能 | 欠席した日のみ(初日からOK) |
| 人員配置 | 常勤換算で1:1など手厚い配置が必要 | 必要な支援ができる体制があればOK |
| 届出 | 必要(体制届) | 原則不要(※指定権者による) |
日中支援加算Ⅰ
| 日中支援対象利用者数 | 単位数(1日あたり) |
| 1人 | 539単位 |
| 2人以上 | 270単位 |
条件
障害者グループホームで算定できる日中支援加算(I)は、日中支援が日々想定される、重度障害の利用者への日中支援が算定要件です。
・65歳以上の高齢者、または、区分4以上の重度の障害者
・日中に外出困難な方に限定される。
・基準人員以上の支援従事者を加配
・個別支援計画に基づいて平日の日中にグループホームにて支援を行うこと
※重度訪問介護/同行援護/行動援護の支給決定を受けていないか確認する。
日中支援加算Ⅱ
| 日中支援対象利用者数 | 区分 | 取得単位数 |
|---|---|---|
| 1人 | 区分4・5・6 | 539単位 |
| 区分3以下 | 270単位 | |
| 2人以上 | 区分4・5・6 | 270単位 |
| 区分3以下 | 135単位 |
条件
障害者グループホームで算定できる日中支援加算(II)は、日中活動を予定している利用者が急な体調不良等でGHに残る場合、日中の追加支援を行うことで算定できます。
・日中活動サービスの支給決定を受けている利用者、または就労している利用者
・「日中活動の受給決定が下っているか」/「精神科デイや介護通所が個別支援計画に位置付けられているか」「雇用契約書があるか」を確認する。
・基準人員以上の支援従事者を加配
・個別支援計画に基づいて平日のグループホームにて支援を行うこと
※重度訪問介護/同行援護/行動援護の支給決定を受けていないか確認する。
介護サービス包括型について、本来は夜間支援であり、日中での支援は必要ありません。しかし、利用者の状況によって、日中に支援するといった通常よりも手厚い支援を提供している事業所は加算を利用できるようになっています。日中支援加算Ⅰでは、高齢者や重度障害者で日中活動できない人で算定できます。また日中支援加算Ⅱでは、体調不良などで急に通所できなくなった障害者への支援が加算の対象です。
ただ利益上昇を考える場合、職員の人件費を考慮すると、対象の利用者が1~2人では赤字になる可能性もあります。そうならないためにも、日中支援加算の対象利用者が3人以上のとき、人件費を考えながら日中支援加算を活用するかどうか検討しましょう。
加算の収益シミュレーション
日中支援加算は、その日に「何人がホームに残っているか」や「利用者の障害支援区分」によって取得できる単位数が変動します。 ここでは、具体的なケースを想定して、1ヶ月あたりの収益がどう変わるのかをシミュレーションします。
1. 日中支援加算Ⅰ(常時対応型)のシミュレーション
高齢化などにより、日中活動へ通わず常時グループホームで過ごす場合です。
- 対象者1名のみ: 539単位/日
- 対象者2名以上: 270単位/日(1人あたり)
| ケース | 計算式(1日あたり) | 月間単位数(30日) | 月間収益(概算) |
| A:1名のみが利用 | 539単位 × 1名 = 539単位 | 16,170 単位 | 約 161,700 円 |
| B:2名同時に利用 | 270単位 × 2名 = 540単位 | 16,200 単位 | 約 162,000 円 |
「1名」の場合と「2名」の場合で、事業所全体に入る報酬総額はほぼ変わりません(1日あたり1単位の差のみ)。 つまり、日中支援Ⅰの対象者が1人から2人に増えた場合、報酬総額は据え置きで、対応する人数(手間)だけが2倍になるという計算になります。
2. 日中支援加算Ⅱ(緊急・欠席時対応)のシミュレーション
体調不良などで、本来行くはずの日中活動を休んだ場合です。区分と人数によって単価が細かく分かれます。
【ケース別 1日あたりの収益比較】よくある3つのパターンで比較します。
① (区分5)が1名、休んだ
539 単位 × 10円 = 5,390円
手厚い支援が評価され、高い単価になります。
② (区分3)が1名、休んだ
270 単位 × 10円 = 2,700円
区分が低い場合、1名対応でも単価は半分になります。
③ インフルエンザ等で、1名(区分5)と1名(区分3)が同時に休んだ
(270単位 + 135単位)× 10円 = 4,050円
※ 1名ずつ別日に休めば合計8,090円(5,390円+2,700円)になりますが、同日に重なると「2名以上」の単価が適用されるため、総額が4,050円に下がります。
算定方法

日中支援加算を算定するための準備を確認しましょう。
- 対象者の選定
入居者の支援区分・障害特性を確認し、加算の対象条件に当てはまるかを確認します。「日中支援加算」はただ日中支援を行うだけでなく、対象者の障がいの重さや支援を必要とする状況を考慮する必要があります。
- 職員の配置を見直す
日中支援を行うためにスタッフが必要です。基準となる人員配置に追加して加配する必要があります。
基準人員を計算し、その基準を超えた日中の加配しましょう。業務委託契約で配置する場合は契約書に報告義務等を明記する必要があります。
- 記録の整備をする
「日中支援加算」は、その利用者が加算算定の基準の対象であることを書面で整理しておくことが大切です。
例えば、日中支援加算(I)は日中に外出するのが困難であることを説明する書類(ケアプラン、診断書)、日中支援加算(II)は日中活動の支給決定や通所利用の決定を証明する書類の他、日中活動ができなかったことを記録する書類(サービス提供記録、通所先の通所記録のコピー等)
その他、個別支援計画への記載も必要です。個別支援記録に「心身の状態やこれまでの傾向から日中支援が必要である旨」や「日中支援する際の健康上の管理」について記載します。
- 加算届出の提出
- 指定権者(都道府県や政令市)へ「加算届出書」等を提出
- 添付資料(職員体制表、利用者一覧)を用意する
日中支援加算の注意点
・ただ単に休んだ利用者に日中支援を行っても加算は算定されません
・日中支援サービス支援型は対象外
・土日、祝日は算定対象外
【実例あり】実地指導で指摘されない記録の書き方

日中支援加算(Ⅱ)は、「本来、日中活動サービス(B型や生活介護など)に行っているはずの時間に、グループホームで支援をした」ことに対する加算のため、記録の書き方が重要になります。
実地指導対策として、以下の2つのパターンについて「具体的な記載例」を紹介します。
- 体調不良で休んだ場合(身体的な理由)
- 精神的不安定で休んだ場合(メンタル・行きたくない)
体調不良で休んだ場合の記録
ポイント: 「休んだ理由」と「具体的なケア内容(時間・数値)」が必須です。
指摘されるNG例
10/5 体調不良のためB型事業所を欠席。自室で静養してもらった。昼食を提供した。
なぜNG?: 「体調不良」の中身が不明。「静養」といっても、職員が放置していたのか、見守っていたのか分からない。「支援の実態がない」とみなされる可能性があります。
実地指導に通るOK例
【状況】 6:30 起床時、本人より「頭が痛い、熱っぽい」との訴えあり。検温の結果37.8℃の発熱を確認。
【支援内容】
15:00 再度検温、37.2℃に解熱。顔色も良くなる。「少し楽になった」との発言あり。引き続き自室で見守りを行う。
07:00 日中活動先(B型事業所〇〇)へ欠席の連絡を入れる。
09:00 水分補給(ポカリ200ml)を促し、自室にて安息できるよう環境調整を行う。
12:00 食欲がないため、おかゆを提供。半分摂取。食後薬の服薬確認。
解説: 時間経過、バイタル(体温)、具体的な支援(連絡代行、環境調整、食事形態の変更)が書かれており、「日中支援加算に見合う手厚い支援」が行われた証拠になります。
2. 「行きたくない」で休んだ場合の記録(精神的不安定)
ポイント: 単なる「サボり」ではなく、障害特性による「不調」であることを記録し、相談援助を行った実績を残します。
指摘されるNG例
10/5 本人が「行きたくない」と言うので休ませた。一日リビングで過ごしていた。
なぜNG?: これでは「本人のワガママ」や「事業所の放置」と取られかねません。「なぜ休む必要があったのか(障害の状態)」「どう働きかけたか」が必要です。
実地指導に通るOK例
【状況】 7:00 朝食時より表情が険しく、独り言が多い状態。「今日は行かない!誰とも会いたくない」と強い拒否あり。無理な通所は不穏を招くと判断し、本人の意思を尊重して欠席とする。
【支援内容】
08:00 日中活動先へ連絡。本人の精神状態を共有する。
10:00 リビングにて職員が傾聴を行う。昨日の作業所でのトラブルについて不安を吐露される。「明日なら行けそうか」等、今後の見通しについて話し合う。
12:00 昼食提供。職員と一緒に食事を摂りながら、気晴らしができるよう会話支援を行う。
14:00 落ち着きを取り戻し、自室でテレビを見て過ごす。時折、職員が訪室し状態観察を行う。
解説: 「行かない」という行動の背景(障害特性)を記録し、それに対して職員が「傾聴」「関係機関との調整」「見守り」を行ったことが分かります。
【重要】個別支援計画書との整合性
| 項目 | 記載例 |
| 本人の希望 | 体調が悪い時や、気持ちが不安定な時は、無理せずホームでゆっくり休みたい。 |
| 支援目標 | 心身の不調時に、ホームで安心して静養し、早期の回復・安定を図ることができる。 |
| 支援内容 | ・体調不良時や通所先が休みの日は、本人の状態に合わせて、ホームでの安息、受診同行、相談相手等の支援を行う。 ・日中活動先と連携し、欠席時の連絡調整や情報共有を行う。 |
よくある質問


まとめ

障害者グループホームは本来、夜間支援であり日中での支援は必要ありません。
基本的には障害者グループホームに入所した利用者は近くの就労継続支援や生活介護などに通所して日中は出かけていることがほとんどですが、利用者は障害があることが前提であるため、状態によっては日中の支援が必要になる場合もあります。
また、障害者グループホームには入所期間がないため利用者の高齢化も進んでいます。高齢になると通所するよりも日中で過ごす利用者も出てくるため、障害者グループホームでの日中支援が必要な場合があります。
利用者の状況によって、日中に支援するといった通常よりも手厚い支援を提供している事業所は加算を利用できるようになっています。加算を活用し、より良い支援に繋げていきましょう。




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