虐待の種類と通報先一覧をご紹介 「児童・障害・高齢者」についてそれぞれ解説

虐待と聞いた時に児童や高齢者の虐待が思い浮かぶ方は多いのではないでしょうか?児童虐待といえば母から子への虐待をイメージしますが、障害児の施設で起きた職員からの虐待は障害者虐待防止法が適応されます。
そのほか高齢者の虐待は高齢者虐待防止法ですが、高齢者施設で起きた虐待は介護保険法の施設になるため管轄部署が分かれている可能性があります。
このように虐待の出来事によっても通報先や管轄が変わるので注意が必要です。市民の方は通報先を知らなくても構いませんが、児童・障害・高齢等福祉業界に従事している場合は、通報先を知っておくことが、誰かを救うために必要な知識といえます。
この記事を読んでわかること
・虐待の種類を知れる
・虐待の通報先が分かる
・通報に必要な知識が分かる
虐待とは

虐待とは児童・障害者・高齢者それぞれに法律で定義が決められています。虐待行為の類型はどれも基本的には同じですが、それぞれの法律や取り扱う担当部署で判断が変わります。主な虐待類型は以下のとおりです。
- 身体的虐待
身体的虐待とは、暴力的行為によって身体に傷やアザ、痛みを与える行為や外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為のことを言います。具体的には、殴る、蹴る、つねる、突き飛ばすなどの暴力的行為ですが、「身体拘束」も、身体的虐待の1つです。 - ネグレクト
ネグレクトとは、必要な育児や介護サービスの利用を妨げる、世話をしない等により、児童・障害者・高齢者の生活環境や身体的・精神的状態を悪化させることを言います。具体的には、食事を与えない、掃除、洗濯等の身の回りの家事をせずに放置し、掃除をしない部屋で過ごさせる、何日も同じ服を着せたままにする、入浴させないなどの行動が考えられます。また、必要な医療サービスを制限したり使わせない状況も、ネグレクトの1つです。 - 心理的虐待
心理的虐待とは、脅しや侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせ等によって精神的に苦痛を与えることを言います。具体的には、怒鳴る、罵る、悪口を言う、侮辱を込めて子供のように扱う、無視する、などの行為があります。 - 性的虐待
性的虐待とは、本人が同意していない、性的な行為やその強要を言います。具体的には、キス、性器への接触、性行為の強要、性器や性交を見せる、ポルノビデオを見せる、被写体にする、などが考えられます。 - 経済的虐待
経済的虐待とは、本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人が希望する金銭の使用を理由なく制限することを言います。具体的には、日常生活に必要な金銭を渡さない、本人の自宅や財産を無断で使用する、年金や預貯金を、本人の意思、利益に反して使用する行為などが考えられます。
※児童虐待には経済的虐待といった考えはありません。
虐待の法令と通報先
虐待を見たり、聞いたりした際には通報する義務があります。児童・障害者・高齢者それぞれの法令と通報先をご紹介します。
児童虐待

児童虐待はどの家庭でもあらゆる要因が重なることで起こりえます。親が「しつけ」だと思っていても、その行為が子どもの心身を傷つけるものであれば「虐待」です。
早期発見するために
虐待を受けた子どもは、何らかの不自然なサインで知らせようとしています。児童虐待は、どこにでも起こりうるという認識に立ち、親や子どもが発する小さなサインを見逃さないことが大切です。以下のような状況を発見したら通告しましょう。
親が不自然
- 子どもの状態に関し、説明が不自然である
- 説明内容がよく変わる
- 人との関わりを避けようとする
- 子どもに会わせようとしない
- 挑発的態度が見られる
- 転居歴が多い 等
子どもが不自然
- 攻撃的、乱暴である
- 落ち着きがない
- 身体接触を極端に嫌う
- 節度なく甘える
- 表情が乏しい 等
親子関係が不自然
- 親の子どもを見る目が鋭い
- 子どもに罵声を浴びせかける
- 子どもへの態度が冷淡
- 互いの視線を合わせようとしない 等
障害者虐待

障害者虐待防止法において「障害者虐待」とは
- 養護者による障害者虐待
障害者の身辺の世話や金銭の管理などを行う、障害者の家族、親族、同居人等です。また、同居していなくても、現に身辺の世話をしている親族・知人などが該当する場合があります。 - 障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
障害者福祉施設または障害福祉サービス事業等に係る業務に従事する人です。 - 使用者による障害者虐待
障害者を雇用する事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする人です。この場合の事業主には、派遣労働者による役務の提供を受ける事業主なども含まれます。
虐待防止の取り組み
障害者虐待防止法では、施設等での虐待を防止するため障害者総合支援法との連携が行われています。令和4年から虐待防止するための体制や研修を実施するよう義務化がされました。
障害福祉サービス事業所において、(1)から(3)までの基準を満たさない場合に減算が適用されます(いずれか1つでも満たさない場合は減算になります。)
(1)虐待防止委員会を、定期的(少なくとも1年に1回以上)に開催するとともに、その結果について従業者に周知
徹底を図ること。(※1,※2)
(2)従業者に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること。
(3)上記の措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
高齢者虐待

高齢者を65歳以上の者と定義した上、高齢者虐待の種類を以下の通り分けて定義付けしています。
- 養護者による高齢者虐待
「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のもの」で、同居の親族を指します。 - 養介護施設従事者等による高齢者虐待
養介護施設従業者等とは、老人福祉法及び介護保険法に規定する「養介護施設」又は「養介護事業」の業務 に従事する職員を指します。
高齢者施設での虐待防止のための取り組み
高齢者施設でも障害者同様に虐待防止に関する取り組みが行われています。
・虐待防止検討委員会を定期的に開催し、その結果を従業者に周知徹底すること。
(少なくとも1年に1回は開催することが必要です。)
・虐待の防止のための指針を作成すること。
・従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
(施設は1年に2回以上、通所及び居宅は1年に1回以上に加え、新規採用時には必ず実施して下さい。)
・虐待防止のための担当者を置くこと。
DV相談

虐待ではないですが、児童・障害・高齢者の虐待に関連するトラブルとしてDVが挙げられます。児童虐待では、両親が喧嘩することで、心理的負担となり面前でのDVが心理的虐待と判断されます。障害者虐待と高齢者虐待は、配偶者からの虐待によってDVとの連携が必要となります。配偶者から暴力やネグレクト、精神的な負荷をかけられたなど、配偶者への理解を求めるためDV教育が必要になる場合があります。
まとめ

今回は児童・障害・高齢それぞれの虐待の種別や通報先をまとめてみました。虐待を発見したら疑いの状態でも通報が可能です。また、通報者は守られるよう法的に保護されています。匿名でも構わないので、早期発見のためにも各相談窓口に連絡しましょう。




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