【就労継続支援B型】送迎加算は赤字?要件・単位数と実地指導で狙われる「定員超過」を解説

こんにちは。 大阪・泉州地域(岸和田市、貝塚市、泉佐野市)で、障害福祉専門の事務所開業に向けて準備中の「くまくま相談事務所」です。
障害福祉サービス(就労継続支援B型)の経営者様は「送迎って、やったほうがいいんですか? ガソリン代や人件費を考えると、儲からない気がして…」と悩みをお持ちではないですか?
結論から言います。 現在の就労B型の送迎加算は、以前に比べて**単位数が厳格化(効率化)されています。 「戦略的に大型車両で運ばないと赤字になるが、集客のためには必須」という非常にシビアな加算です。
今回は、間違えやすい「新・算定要件」と、実地指導で最も指摘されやすい「車両管理の不備」について解説します。
この記事を読んで分かること
・【基礎】送迎加算(Ⅰ)21単位を取るための「10人ルール」とは?
・【経営】制度上はOKでも「ピストン輸送」だと赤字になる理由
・【防衛】運営指導はここを見る!「車検証」と「運行記録」の人数チェック


1. 就労継続支援B型の送迎加算とは?単位数・算定要件・対象者を解説

まずは基本を押さえましょう。 就労継続支援B型の送迎加算は、「一度にたくさん運ぶ(効率性)」が評価される仕組みになっています。
単位数(いくら貰える?)
就労継続支援B型の場合、主に以下の2種類があります。利用者を自宅や最寄り駅、集合場所などまで送迎した場合に算定できる加算です。 片道の送迎を1回、往復の場合は2回とカウントします。
※ 同一敷地内の他の事業所との間の送迎は70%を算定
| 区分 | 単位数(片道) | 金額目安(1回) |
|---|---|---|
| 送迎加算(Ⅰ) | 21単位 | 約210円 |
| 送迎加算(Ⅱ) | 10単位 | 約100円 |
送迎加算の算定要件(ⅠとⅡの違い)
どちらの区分になるかは、以下の「要件1(人数)」と「要件2(回数)」のクリア状況で決まります。
- 送迎加算(Ⅰ): 要件1と要件2の両方を満たす
- 送迎加算(Ⅱ): どちらか一方だけを満たす
〈要件1:平均利用人数〉 効率よく運んでいるかどうかのチェックです。
- 定員20人以上の事業所の場合:
- 1回の平均で10人以上が送迎を利用している
- 定員20人未満の事業所の場合:
- 1回の平均で定員の50%以上が送迎を利用している
〈要件2:頻度〉
- 週3回以上の送迎を実施している
2. 「軽自動車でピストン輸送」は経営的にアリ?ナシ?
ここが経営判断の分かれ目です。 「うちは大きな車がないから、軽自動車で何度も往復(ピストン)しよう」 こう考える事業所も多いですが、実は「利益」の観点で見ると大きな落とし穴があります。

制度上はOKだが、「人件費」で赤字になる
まず、ルールの確認です。 送迎加算(Ⅰ)の要件である「1日平均10人以上の利用」は、ピストン輸送の合計人数でもカウントできます。 つまり、軽自動車(4人乗)で3往復して計12人を運べば、高いほうの「送迎加算(Ⅰ)21単位」は算定可能です。
しかし、問題は「コスト」です。
【収支シミュレーション:1日12人を片道送迎する場合】 売上はどちらも同じですが、かかった「時間(人件費)」を見てください。
- パターンA(ハイエース等で一括送迎):
- 売上: 12人 × 210円 = 2,520円
- コスト: 運転時間 1時間(時給1,100円)+ガソリン代
- 利益: 約1,000円の黒字
- パターンB(軽自動車で3回ピストン):
- 売上: 12人 × 210円 = 2,520円
- コスト: 運転時間 3時間(時給1,100円×3=3,300円)+ガソリン代
- 利益: 約1,000円の赤字…
開業初期で「利用者が少ない時期」や「道が狭くて大きな車が入らない利用者」には軽自動車が有効ですが、経営が軌道に乗って人数が増えてきたら、「定員10名前後の車両(キャラバン・ハイエース等)で一括送迎」に切り替えないと、利益を残すのは難しくなります。
ピストン輸送の損益分岐シミュレーション表
🚐 送迎車両による収支の違い(1日12人送迎)
❌ 軽自動車(4人乗)
3往復ピストン輸送
- 💰 売上:2,520円
- ⏰ 時間:3時間(人件費増)
- 結果:約1,000円の赤字
⭕️ ハイエース(10人乗)
1回で一括送迎
- 💰 売上:2,520円
- ⏰ 時間:1時間(人件費減)
- 結果:約1,000円の黒字
3.実地指導で狙われる「定員超過」と車両の不整合
単位数の計算と同じくらい怖いのが、実地指導での車両管理の不備です。 行政書士としてチェックすると、送迎効率を優先するあまり「車両の座席数」と「送迎対象者数」のバランスが崩れているケースが見つかります。

危険な記録の例(アウト!)
- 使用車両: 軽自動車(乗車定員 4名)
- 送迎運行記録:
- 運転手:1名
- 同乗利用者:4名
- 合計乗車人数:5名(定員オーバー)
「近距離だし、詰めれば乗れるから大丈夫」と思われていませんか? これがアウトなんです。
【運営指導担当の視点】 実地指導では、必ず「運行記録(誰が乗ったか)」と「車検証(何人乗りか)」を突き合わせて確認します。 もし定員4名の車に5名乗っている記録があれば、それは単なるマナー違反ではなく「道路交通法違反」という犯罪行為です。
障害福祉サービスは公費(税金)で運営されているため、「違法行為(定員超過)を伴うサービスに対して、報酬は支払えません」と判断されます。 つまり、定員超過が常態化している場合、その送迎加算はすべて「不正請求」とみなされ、報酬返還を求められるリスクが極めて高いのです。
4. よくある質問(Q&A)

現場からよくいただく、実務的な質問にお答えします。

まとめ:送迎は「効率」と「コンプライアンス」が命

現在の就労継続支援B型の送迎加算は、甘くありません。
- 経営面: ピストン輸送は「加算Ⅰ」は取れても、人件費で赤字になりやすい。
- 運営指導面: 「車検証の定員」と「乗車人数」の不整合(定員超過)は返還対象になる。
- リスク面: ガソリン代徴収やマイカー送迎は法的な落とし穴が多い。
「うちは大丈夫かな?」「加算Ⅰが取れるか計算してほしい」という方は、ぜひ専門家にご相談してください。
安全運転はもちろん、「経営の安全運転」も心がけましょう!




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