【戸籍の見方を知ろう!!】~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も、相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
ではさっそくですが、今回は相続が発生した際に相続人を確定するために、戸籍で親族関係を調査することになります。そこで戸籍の読み方を知ることが重要となります。戸籍にどんなことが書いてあるのかについてお伝えしようと思います。また、戸籍の取得方法も載せてますので参考にしてください。
この記事を読むことで戸籍の見方の仕方が分かり、自分で請求した戸籍を読むことができます。

戸籍について

平成6年からは、戸籍を「紙」ではなく「データ」として記録できるようになりましたさらに書き方も

  • 「縦書き」から「横書き」へ
  • 「文章形式」から「項目形式」へ

と変わりました。この改製が平成に行われたことから、それ以前のものが「平成改製原戸籍」と呼ばれるようになりました。

このようなデータ化が行われたことで、平成6年以前に生まれた方は、少なくとも

  • 平成改製原戸籍
  • 今現在の戸籍

の2種類が存在しています。

戸籍の基礎知識

平成改正原戸籍と現戸籍の共通項目である基礎知識について確認しておきましょう。

■本籍と筆頭者
戸籍は、「本籍」と「筆頭者氏名」で表示されます。

【本籍とは】
・戸籍の所在場所のことです。その戸籍ができた時点での実際の地番または住居表示の街区番号まで(○丁目○番まで。○号の表示はありません)で表示します。
・本籍と住所は一致している場合もありますが、全く別のものです。居住している証明が必要な場合は、住民票を取る必要があります。

【筆頭者とは】
・戸籍の1番最初に記載してある人のことです。筆頭者は死亡しても変わりません。
・婚姻の際に、夫の氏を名乗ることとした場合は夫が、妻の氏を名乗ることとした場合は妻が戸籍の筆頭者となります。

■戸籍謄本と戸籍抄本

【戸籍謄本】
戸籍簿に記録されている全員について証明したものです。現在のコンピュータ化後の戸籍では「戸籍全部事項証明」といいます。

【戸籍抄本】
戸籍に記録されている一部の人について証明したものです。現在のコンピュータ化後の戸籍では「戸籍個人事項証明」といいます。

現戸籍について

現戸籍は見たことがある方が多いかもしれません。まず、本籍欄には戸籍住所が記載され、戸籍の筆頭者の名前があります。その次に、戸籍に入っている夫、妻、子が書かれています。戸籍に入っている人の名とその父母の名前が載っています。また、父母からみた続柄が記載されています。身分事項欄には婚姻した日と婚姻した配偶者名が載っています。その配偶者がどの戸籍から入ったのか、従前戸籍が分かります。この従前戸籍と筆頭者を確認することで、以前の戸籍を請求することが出来ます。
この戸籍に載っている方が、死亡や婚姻した場合は、「除籍」となります。

死亡時には①除籍とされ、身分事項に死亡と記載されます。死亡日時と死亡した場所。死亡届が提出された日と届出人が記載されます。

婚姻し別戸籍へ転出した場合の戸籍です。これも除籍とされ、身分事項に婚姻と記載されています。婚姻日と配偶者氏名、新戸籍が分かります。必要に応じて新戸籍を請求することで、戸籍の後を追うことが出来ます。

平成改正原戸籍について

改製原戸籍とは、法改正前の戸籍を指しており、直近では平成6年にコンピュータ化の改製があったため、それ以前の戸籍が改製原戸籍です。

まずは本籍とその筆頭者が書かれています。戸籍の筆頭者とその戸籍に入っている人が別のことがあるので注意してください。例えば戸籍筆頭者が亡父「くま太郎」だったとして、夫の名は「くま次郎」というように筆頭者が亡くなっても従前戸籍では残っていることがあります。
戸籍事項欄には戸籍が出来た日時が書かれています。例えば昭和50年に婚姻により作成されたということがわかります。
次に身分事項には夫から書かれています。父母の名と生年月日が書かれ、文章では夫がいつどこで生まれ誰の筆頭者戸籍に入籍したかが書かれています。その後、婚姻した場合は、婚姻日とその配偶者が何処の住所戸籍で誰が筆頭者かが書かれています。
夫の次に妻、子といった順番で書かれています。

戸籍に記載された方が婚姻や死亡した場合は除籍となります。文章で死亡日時や婚姻の日時、婚姻相手の名前や何処の戸籍に入籍したのかが書かれます。除籍したことが分かりやすいように名前の部分にバツとついています。戸籍を見るだけで除籍していると分かります。

戸籍の取り方

では実際に戸籍を取得してみましょう。
戸籍の取得方法は4つあります。

①本人が直接市町村役場に行き請求する
②代理人が請求する
③郵便で取り寄せる
④コンビニで発行する

では一つずつ説明していきます。

本人が直接市町村役場に行き請求する

現在の住まいや勤務地の近くなど、最寄りの役所に出向いて申請します。役所に置いてある交付申請書に、名前・本籍地・必要枚数などを記入して提出します。
【用意するもの】印鑑(認印でOK)、請求者の本人確認書類 (運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・住民基本台帳カード(顔写真つきのもの)など)、受け取りの際には、手数料が必要です。

メリット
その場で戸籍を確認することが出来ます。市役所職員に戸籍謄本・抄本など必要なものを確認したうえで発行を請求できます。
本人であれば、戸籍住所でなくてもお住まい等の近隣市町村役場で請求することができます。
デメリット
市役所が空いている時間にしか受け取ることが出来ません。土日が休みのことが多いため、人によっては仕事を休んで手続きに行くことになるかもしれません。また、待ち時間が一定時間必要になります。

代理人が請求する

戸籍謄本の交付申請は、本人や家族以外でもできます。本人がやむを得ず役場に出向けない場合などに、委任状を書いて代理人にお願いする方法です。その場合は、委任状に使用目的を明記する必要があります。申請は、本人の本籍地のある役所の窓口で行ます。
【用意するもの】印鑑(認印でOK)、本人からの委任状(代理人が本人と同じ戸籍に属する場合は不要です。)、代理人の本人確認書類 (運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・住民基本台帳カード(顔写真つきのもの)など)、受け取りの際には、手数料が必要です。

メリット
本人が忙しく市町村役場で手続きができない時に代わりに受け取ることができます。急いで戸籍を取得する必要がある時には代理人が申請する必要があるかもしれません。
デメリット
代理人に依頼するためには委任状が必要です、また使用目的を代理人に伝える必要があります。代理人に本人確認の書類が必要になります。事前に準備するものが多くなります。

郵送で取り寄せる

直接役所に出向くことが難しい場合、郵便での請求・取り寄せが可能です。本籍地の役所宛に、必要書類を揃えて送付します。(送付先の住所は役所のホームページなどで確認ができます。)
【用意するもの】請求書(請求書は、戸籍謄本の申請書のフォーマットを役所のホームページからダウンロードができるので、印刷して記入をします。印刷ができない場合、便箋に必要事項を記載することで請求することができる役所もあります。その際は、必要事項の記入漏れがないように注意をしましょう。)
本人確認書類の写し(代理人が請求する場合は代理人のもの)、手数料(手数料分の定額小為替を郵便局で用意します)切手を貼った返信用封筒(返信用封筒の宛名に、自分の住所と名前を書いておきます。)委任状(代理人が請求する場合のみ)

メリット
本人が市町村役場に行く時間がなく、代理人に頼むことも出来ない場合に、郵送で戸籍請求を行うことが出来ます。
デメリット
返信用封筒など支払う金額が増えます。また、郵送でのやりとりになるため、多少の時間が必要となります。

コンビニで発行する

戸籍謄本は、コンビニ交付を導入している市区町村であれば、コンビニでも発行することができます すべての市区町村で導入しているわけではないので注意してください。
マイナンバーカード・住民基本台帳カードがあれば、コンビニのマルチコピー機で証明書が取得できる、とても便利なサービスです。
【用意するもの】「マイナンバーカード」、手数料
マイナンバーカードの場合、電子証明書を搭載してあれば、電子証明書の暗証番号だけで利用できます。

お住まいの市区町村と本籍地の市区町村が異なる場合

現在の住所地と本籍地が異なる場合は、事前に本籍地の市区町村へ、利用登録申請を行う必要があります。
利用登録申請もコンビニのマルチコピー機によって申請が可能です。
マルチコピー機のガイドに従って、本籍地の利用登録を完了させます。
もしくは、ICカードリーダーがついたパソコンであれば、インターネット経由で利用申請を行うことができます。コンビニのマルチコピー機や、インターネットからの利用登録申請後、すぐに戸籍謄本が発行できるわけではありませんあくまで申請を依頼した段階なので、「利用可能」にステータスが移るまで、数日かかることがあります。
利用可能になったかは、戸籍証明書交付の登録申請サイトより確認ができます。

メリット
24時間いつでも戸籍を受け取ることが出来ます。また、市町村役場の窓口より手数料が安く手に入れることが出来ます。
デメリット
すべての自治体が利用できるわけではありません。また、事前登録が必要など事前の手続きが必要になります。マイナンバーカードの暗証番号が必要で3回間違えると、暗証番号の再登録を市町村役場で行うなど時間がかかることになります。

取り寄せた戸籍謄本の期限

取り寄せた戸籍謄本や抄本の有効期限は、提出先の判断で変わります。
有効期限を定めている場合は、多くが戸籍謄本を発行した日から3ヵ月以内もしくは6ヵ月以内となっています。
婚姻届けの際に提出する戸籍謄本は有効期限が決められていないこともあります。
戸籍謄本の有効期限が過ぎてしまうと使えないので、改めて戸籍謄本を取り寄せないといけなくなります。

まとめ

戸籍を知るためにはまず自分の戸籍を取得し、そこから戸籍に書いてあることを読み解き、その戸籍が次に何処の戸籍に異動したのかを辿ることが出来ます。また、従前戸籍を調べることで親の戸籍やその以前の戸籍を遡って調べることが出来ます。次回は戸籍のたどる際のポイントについて詳しく解説していこうと思います。

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