【成年被後見人の相続事務】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事も、成年後見人の業務内容について解説します。成年被後見人が高齢者だといずれ問題になるのが相続事務だと思います。
今回の記事を読むことで成年後見人の業務の一つ成年被後見人が亡き後の相続業務について知ることが出来ます。

本人が死亡すると成年後見業務は終了する

本人の死亡は成年後見制度の終了事由です。成年後見制度は、本人保護の制度です。
本人が死亡した以上、成年後見制度を継続させる必要はありません。

成年被後見人が死亡後の事務

成年後見人等であった者は「管理計算業務」「相続人への相続財産の引渡し業務」を行うこと「のみ」が義務として残ります。
なお、管理計算業務とは管理の計算というのは、後見人に就任していた期間の収入と支出について計算し、財産の変動と現状を明らかにすることで、具体的には、収支をまとめたうえで終了時の財産目録を調製し、それをご本人の相続人等に報告することを言います。後見が終了後、2か月以内にその管理の計算をしなければならないと定められています。

本人死亡後の事務は次の流れになります。

1.財産目録と収支計算書を相続人に交付する。
2.法務局に後見終了登記を申請する。
3.家庭裁判所に終了報告を行う。
4.相続人に財産の引継ぎを行う。
5.引継ぎ書を家庭裁判所に提出して成年後見業務を完了する。

つまり、預金の払い戻しや分配は成年後見人の業務ではありません。成年後見人から引き継いだ相続人が行うことです。もちろん、遺体の引き取りや葬儀は成年後見人の権限でも義務でもありません。相続人が行う必要があります。
ただ、本人の親族が誰も対応しない場合に、成年後見人等であった者が、病院や施設の求めにより善意で対応することなります。

相続人が複数いる場合

相続人が複数いる場合には、『代表者』に財産を引き渡します。特定の相続人に財産を引き渡すとトラブルになる可能性があるので、他の相続人の同意をとっておくといいでしょう。

相続人がいない場合

被後見人に相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合には、財産を引き渡す相続人がいません。この場合には、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをし、選任された相続財産管理人に財産を引き渡します。

相続人が行方不明の場合

相続人が行方不明で引き渡しができないケースもあります。この場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、不在者財産管理人に引き渡しを行います。

成年後見人には応急処分が可能

民法改正により、後見が終了した後の成年後見人の権限について規定が設けられました。この改正で、本人が死亡した場合において、必要があるときは、相続人が本人の財産を管理することができるに至るまで、①特定の財産の保存に必要な行為、②弁済期が到来している債務の弁済、③遺体の火葬や埋葬に関する契約を締結その他本人の財産の保存に必要な行為、をすることができることになりました。ただし、相続人の意思に反することが明らかなときは、上記の行為をすることができませんので注意が必要です。③の行為には、葬儀を執り行うことは含まれていません。また、③の行為をするには家庭裁判所の許可を得る必要があります。そのため、①②の行為をするために、預金口座から払い出しを受けるには、家庭裁判所の許可が必要になります。
ただ、家庭裁判所の許可が必要な行為であっても、事務管理や応急処分義務の要件を満たす場合には、家庭裁判所の許可がなくても行うことができます。

保佐人、補助人、任意後見人は除外

応急処分は、成年後見人のみを対象としており、補助人や保佐人、任意後見には適用されません。補助人や保佐人、任意後見人に本人死後の権限を認めると本人の生前よりも強い権限を持つことになりかねないからです。本人の生前のときの代理権の範囲内で、本人の死後の権限を与えることにすれば、その権限は明確であり、補助人や保佐人、任意後見人についてもその権限を与えても不都合は生じません。
なお、後見が終了した後の成年後見人の権限が定められましたが、あくまで後見終了後の成年後見人の権限を定めたものであり、その義務を定めたものではありません。したがって、後見終了後の成年後見人が必ず応急処分をしなければならないものではありません。

まとめ

成年被後見人が死亡すると、成年後見人の役割は終了します。しかし、相続人が居ないときには、ある一定の事務処理をしないと成年被後見人の関係者が困ることになります。そのため、応急処分が行えるように民法が改正されました。民法が改正されても義務ではないので、ある意味善意での行為となります。また、民法改正されても、成年被後見人の死後のトラブルは多いと聞きますので、今後も法の改正がされるかも知れません。

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