【市民法務:内容証明書を出さない方がいい場合】~行政書士合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。前回の記事に引き続き、内容証明書について記事を書いていきたいと思います。今回は内容証明書を出すことが返って悪い方向へ働いてしまう、そんな事例を紹介します。この記事を読むことで、内容証明書の意義について知ることが出来ます。

内容証明書を出さない方が良い場合

内容証明郵便を利用するのは、将来トラブルが発生するのを防ぐためや、現に発生しているトラブルを解決するためです。金銭の請求、建物の明渡し請求、契約の解除の通知等に内容証明郵便を使ったりします。「内容証明郵便は宣戦布告の手紙である」といわれることもあります。そのため、内容証明郵便を出してはいけないときがあります。

相手に誠意がみられるとき

借りた金を一度に支払えないけれど、毎月1万円ずつ返済する、あるいは2か月後にまとめて支払いますからそれ まで待ってくださいと言ってきているときに、あらためて内容証明郵便を出してはいけません。なぜなら、相手がせっかくその気になって返済しようとしているときに内容証明郵便を出すと、水をさすことになります。感情を害し、素直に支払ってもらえない可能性もあります。
相手が誠意を示しているときは、 本来の約束より多少不利な解決案で も、内容証明郵便を出したりせず、相手の案にのり、解決する方が得策なこともあります。相手の案を承諾するときには、その案を相手に文書化させ、後々の証拠にするといいでしょう。

トラブル解決後も親しくつきあいたいとき

肉親、隣り近所の人、職場の上司、同僚その他親しい関係の人とのトラブルになるとやっかいです。そのトラブルが解決したあとも、 つきあわないわけにはいきませんから、上手に解決しないと大変です。たとえば、貸した金を返さないので内容証明郵便で請求したとします。
貸主は約束を守らないから当り前と思っても、相手の方では、今までこんなに親しくつきあってきたのに、攻撃をしかけてくるのは非常識だといって、お金を返したあとでも、従来のような親しい関係には戻らないかもしれません。 また肉親、近隣の人、職場の人というのは、お互い迷惑をかけたり、 かけられたりしますので、何か別の機会に大きな仕返しをされないとも限りません。
これからも今までどおりのつきあいをしていきたい、あるいはしなければならない人に対しては、内容証明郵便を出したり、訴訟を起こしたりせず、ねばり強く話合いで解決すべきです。

こちらに弱味があるとき

相手が一方的に悪いと思っていたケースでも、トラブルの原因を調べると、こちらに大きな弱みがあることもあります。たとえば売掛金が未回収であるけれど、すでに時効が完成しているとか、不良品であるなどです。
こういう場合は、売掛金請求を内容証明郵便で出すのは控えるか、 出すとしても注意を要します。うかつに内容証明郵便を出すと、相手は身構え、弁護士を頼んだり、こちらの弱点に気づかれたりで、ヤプヘビのことがあります。
内容証明郵便など出さないで、相手を警戒させず、平和裡に交渉を進め、ある程度譲歩してでも話をまとめます。そしてまとまったら、ただちに文書にして取りかわすことも一つの策です。

相手が倒産しそうなとき

相手が倒産しそうな場合、売掛金を支払えとか、貸した金を返せと内容証明郵便で請求していたら、相手は急いで財産を隠したり、夜逃げする可能性があります。内容証明郵便など出さず、ただちに相手の財産に仮差押えをして、財産を隠したり、売却できないようにする方がいいでしょう。

相手が不渡りのとき

手形を取立てにまわし、不渡りになって戻ってきたときは、内容証明郵便を出しても、ほとんど効果はありません。振出人が手形を不渡りにするのは、契約不履行とか、詐取その他それなりの理由があると判断しているか、または金がなくて倒産を覚悟したときです。したがって、内容証明郵便が来たくらいでは支払いをしません。他の方法を考えましょう。

まとめ

内容証明書を専門家が出すと、後に大きなトラブルになる可能性もあります。しかし、内容証明書を活用することで上手くことが運ぶこともありますので、慎重に判断して進めていく必要があります。今回は、こんな場合はトラブルに発展しやすいといったものをご紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

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