【相続財産を調査しよう!!負債の調べ方】~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
ではさっそくですが、被相続人にどのような財産があるのかを確認していく必要があります。財産といってもさまざまあり、その種類によって調査する方法が変わってきます。主な相続財産といえばプラスの財産(不動産、預貯金財産、生命保険等)とマイナスの財産(借金)があります。
今回の財産調査はマイナスの資産(借金)の調査方法についてご紹介します。この相続財産を調査するシリーズは今回で一旦終了します。
この記事を読むことで被相続人の負債を確認することが出来き、相続するか放棄するかの判断材料になります。

マイナスの相続財産

被相続人に借金がある場合、その借金も相続として扱われます。被相続人に借金があったかもしれないといった場合には、しっかりと調べた上で相続するのかを決定しなければ、多額の借金を被相続人に代わり支払わなければならないといったことになりかねません。

相続対象となる借金

相続対象となる借金について一部を紹介します。

・消費者金融やクレジットカード、カードローンの負債
・個人からの借金
・家賃の滞納
・水道光熱費や通信費、スマホなどの滞納
・税金の滞納
・連帯保証債務
・事業のローン

などがあります。住宅ローンや奨学金については支払いが免除されることがあります。

負債の調べ方

借金や滞納があるか調べ方についてご紹介します。

自宅を調べる

まずは自宅に残されている書類を調べましょう。例えば①契約書(金銭消費貸借契約書、借用書、賃貸契約書など)②請求書、督促状(家賃の滞納や税金、光熱水費の支払いが滞っている場合、請求書や督促状が届きます)③手帳などの記録などを確認しましょう。

郵便受けの確認

借金や負債を調べる際には、郵便受けを確認しましょう。支払いが滞納したら債権者から督促状が届くことになります。督促状が確認出来たら、その業者に問い合わせることで負債額を知ることが出来ます。

電話の留守番電話を確認する

被相続人の固定電話や携帯電話に督促の電話がかかっていることがあります。督促状を郵送する前にも電話をかける業者があるため確認しておきましょう。

通帳を調べる

通帳の取引履歴に家賃の引き落とし状況や消費者金融への返済がないか取引履歴を調べましょう。通帳残高がなく、家賃の引き落としが滞っている場合や、消費者金融に定期的に支払っている場合は、債権者に連絡し滞納額や借金額を調べましょう。

信用情報機関へ情報開示請求する

消費者向けローンについては、「信用情報機関」へ情報開示すると調べることが出来ます。
信用情報機関とは、個人のローンやクレジットの利用履歴を登録している専門機関のことです。その人がどこの貸金業者や金融機関からどのくらいの借り入れをしているかを詳細に把握しています。
信用情報機関には以下の3種類があるので、すべてに対して情報開示請求しましょう。

JICC
郵送またはアプリ、窓口申請で受け付けています。郵送やアプリで申請すると10日前後で開示書類が送られてきます。
CIC
郵送またはWEB上での申請、窓口申請により受け付けています。郵送で申請した場合には10日前後で開示書類が送られてきます。WEB申請の場合、その場で閲覧可能です。
KSC
郵送のみで申請を受け付けています。

【必要書類】
信用情報の請求手続を行う際には以下の書類を用意しましょう。

●開示請求の申請書
●相続関係を証明する戸籍謄本類
●被相続人の除籍謄本や住民票除票
●相続関係説明図
●申請者の本人確認書類

【費用】
窓口申請なら500円、その他の場合には1000円がかかります。

連帯保証債務

連帯保証債務の場合、主債務者が返済している限り保証人のもとへ督促が来ません。しかし、主債務者が払わなくなったとたんに相続人へ請求が来るので、相続人が困ってしまうことになります。相続人が負債の存在を知るきっかけがなく見過ごされてしまう可能性が高い負債です。連帯保証債務がないか自宅の書類や記録がないか確認しましょう。

相続の承認と放棄

以前の記事で相続財産のなかには借財のような負の資産も含まれ、プラスの財産を上回る負債があることもあり、相続人がそれを負担することになりかねないため、相続人となるべき者は、相続をするか否か、または相続するのは全部か一部かを選択することができるとご紹介しました。
相続人の単純承認・限定承認・相続放棄について改めて説明します。
相続人が自己のために相続のあったことを知った時から3ヶ月以内に判断する必要があります。なお、相続人が相続人になることを知った時からですので、相続人により期間が区々になります。また、未成年や成年被後見人である場合はその法定代理人等が事実を知ったときから起算されます。

単純承認

相続人が被相続人の負担していた債務を含めて無条件に相続することをいいます。そのためプラスの相続財産とマイナスの相続財産の両方を相続することになります。

限定承認

相続人が相続によって取得する財産の範囲においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して承認することをいいます。つまり限定相続をした場合は、相続人の負担をしてまで弁済する必要がないことになります。もっとも、相続人が自己の保有する財産で被相続人の債務を弁済することも可能です。限定承認は相続人の責任の範囲を限定すると言うことでもあるためです。この限定承認は共同相続人の全員が共同して行う必要がありますので注意が必要です。

相続放棄

相続人が被相続人に属する一切の権利義務を承継しないことをいいます。相続を放棄するためには3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することが必要です。なお相続開始前に事前の放棄することはできません。また、相続人同士で合意しただけでは放棄の効果が生じないため注意が必要です。相続放棄が認められると相続開始の時点から相続人でなかったものとみなされます。相続放棄することで、被相続人の借金は負担する必要がなくなります。借金等の負債が多額の場合は相続放棄をした方がいいかもしれません。

まとめ

今回はマイナスの資産、借金や滞納金の調査方法についてご紹介しました。相続というと財産をもらえるイメージが強いですが、負債を調べないと借金を背負ってしまうことになるため注意が必要です。
今回の記事で資産の調査する方法はある程度網羅しているとは思います。この他にもこんな資産はどう調べたらいいのかなどありましたら気軽にコメントいただければ幸いです。

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