【市民法務:契約書の作成/契約書にのせる一般条項】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は、契約書で最後に書かれている一般条項について記事を書きたいと思います。この記事を読むことで契約書の作成の仕方が分かります。

一般条項とは

契約の種類や具体的な内容に関係なく、多くの契約書において定められることの多い標準的な条項を(契約書に おける) 一般条項といいます。多くは契約書の一番最後の部分に記載されて います。
広義では契約の効力に関する条項や、契約の履行に問題が生じた場合に備える条項を含みます。狭義の一般条項は定めている内容はほぼ共通・類似しており、理解しておけば多くの種類の契約書において使える法的知識となります。ほとんどの一般条項は、日常で想定していない事態や望ましくない事態が生じたときに適用されるものです。常に契約の履行に用いられる条項に比べると役立つ機会は少なく、契約書の最後に記載されていることもあって、軽視されがちです。しかし、いざ適用される場面になると、当事者に重大な影響をもたらす可能性があります。

一般条項の内容は類似しているとはいえ、契約によりさまざまな内容のパ ターンが存在します。多く契約書をつくる会社では、自社にとってもっとも 望ましい一般条項の定め方(パター ン)を決めている場合もあります。ほかには、契約書の内容の一部が無効とされる場合であっても他の条項は分離して合意として有効とする条項(分離可能性に関する条項)、戦争や災害等により債務不履行が生じた場合であっても免責される旨を定める条項(不可抗力に関する条項)、契約の各条項のうち一部の条項には法的拘束力がない旨を定める条項(契約書の法的拘束力に関する条項)などがあります。

広義の一般条項

1 契約期間(有効期間) を定める条項
2 中途解約を定める条項
3 契約の解除を定める条項
4「反社」条項
5 履行の担保に関する条項
6 契約不適合責任に関する条項
7 契約当事者間における損害賠償についての条項
8 第三者からのクレーム等に備える条項

狭義の一般条項

9 合意管轄条項
10 仲裁条項
11 契約の変更に関する条項
12 権利等の移転を禁止する条項
13 契約終了時の措置等に関する条項
14 完全合意条項
15 秘密保持に関する条項
16 準拠法条項
17 分離可能性に関する条項
18 不可抗力に関する条項
19 契約書の法的拘束力に関する条項
20 通知に関する条項
21 契約締結等にかかる費用に関する条項
22 誠実義務を定める条項

民法における一般条項

契約書に設ける条項とは別に法律上の一般条項もあります。法律に定められる各条項をそのまま適用したのでは不都合な結果が生じる場合があり、そのような不都合を是正する役割があります。広く民間の法律関係に適用される民法の一般条項を紹介します。

信義誠実の原則

民法第1条第2項の規定は「信義誠実の原則(信義則)」と呼ばれます。権利の行使、義務の履行にあたっては相手方から一般的に期待されている信頼を裏切ってはならず、誠実に行動しなければならないということを意味しています。一般条項ですので、民法に規定されている債権法や物権法、家族法など、分野を問わず守らなければならない基本となる規則として機能します。

権利濫用の禁止

「権利濫用の禁止」については、民法第1条第3項に規定が置かれています。この条項は、形式上は法律上認められた権利の行使であるものの、具体的事情を考慮すると当該権利本来の目的から逸脱する不当性を有している場合は、権利の行使を認めないということを意味しています。権利濫用にあたるかどうかは権利者の目的である主観的要件、そして権利者が得る利益と相手方に生じる損害を比較考量する客観的要件で判断されます。

公序良俗違反

公序良俗に関しては、民法第90条に規定が置かれています。ここでいう「公の秩序」は国家・社会の一般的秩序を、「善良の風俗」は社会の一般的道徳観念を意味します。公序良俗は社会的妥当性を意味しているのであり、例えば基本的に私的自治が認められる契約締結の場面であっても、暴利行為(異常に高額な違約金の定めなど)にあたる特約を設けることは公序良俗に反するとして無効になります。

まとめ

契約書作成における一般条項は法的知識が必要な部分となります。次回からの記事では一般条項の一部についてご紹介していきます。

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