【相続財産を調査しよう!!デジタル遺産の調べ方】~行政書士試験合格者が詳しく解説~

相続

今回の記事も相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
ではさっそくですが、以前までの記事で戸籍を調査し法定相続人が確定するまで説明していきました。次は被相続人にどのような財産があるのかを確認していく必要があります。財産といってもさまざまあり、その種類によって調査する方法が変わってきます。主な相続財産といえばプラスの財産(不動産、預貯金財産、生命保険等)とマイナスの財産(借金)があります。
今回の財産調査は意外と見落としがちなデジタル遺産についてをご紹介します。この相続財産を調査するシリーズは次回で一旦終了します。
この記事を読むことで被相続人のデジタル遺産を見逃さずに確認することが出来ます。

デジタル遺産とは

インターネットなどを使ってオンライン上に存在する個人のデータや資産のことを言います。具体的には

・SNSアカウント
・デジタルの著作物
・ネットバンク
・仮想通貨
・各種ポイント
・電子マネー

などさまざまです。SNSなどの個人情報ももちろん重要ですが、近年仮想通貨や電子マネーに財産が隠れている可能性もあります。相続人がデジタルの知識に乏しいとスマホを解約してしまい、データ等が取り出せないといった事態にもなりかねないので注意が必要です。

デジタル遺産の種類

先ほどのデジタル遺産を詳しく解説します。

SNSアカウント

SNSとは、人と人との社会的な繋がりを維持・促進する様々な機能を提供する、会員制のオンラインサービスです。Webサイトや専用のスマートフォンアプリなどで閲覧・利用することができ、被相続人の家族への思いなど遺品として残すことが出来ます。

デジタル著作物

パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末を用いて、音楽や画像、動画などの著作物を制作する人が増えています。
著作物には著作権が認められ、その訴求力などに応じて財産的価値が生じます。たとえば未公表の音楽データは、それを公に配信した際に得られる収益などを基準に財産的価値が認められます。

ネットバンク

ネット銀行やネット証券の口座残高も、デジタル遺産に含められることがあります。オンライン上で残高を管理したり把握したりする点では、確かにデジタル遺産としての側面を持っていると言えます。

仮想通貨

仮想通貨とは、情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続するブロックチェーン技術を用いて保管および取引されるデジタル遺産です。近年ではビットコインやイーサリアムなどが有名です。
仮想通貨は、主に暗号資産交換業者を通じて取引され、相場の乱高下が起きやすいのが大きな特徴です。銘柄や時期によっては高値で取引される場合があります。

各種ポイント

クレジットカードを利用すると、利用額に応じてポイントが加算されることがあります。クレジットカードのポイントも、デジタル遺産にあたります。

電子マネー

キャッシュレス化に伴い、電子マネーを利用したお金を管理する人が増えました。電子マネーもデジタル遺産と言えます。
直近では①QRコード決済ができる電子マネー(PayPay、d払い、楽天ペイなど)、②交通系電子マネー(Suica、PASMOなど)が代表的です。

放置しているとリスクがある

デジタル遺産を放置していると様々な問題が生じる可能性があります。

プライバシーの侵害

SNSアカウントは個人情報が含まれていることがあり不正アクセスやウイルスにかかるとプライバシーが侵害される恐れがあります。

感情的な負担

遺族にとって大切な思い出の写真やメッセージ、記録が失られると喪失感や後悔が生じることになりかねません。

価値の喪失

知らせていない貴重な情報(デジタル著作物)や財産(仮想通貨や電子マネー)が含まれている場合があり、適切に整理されていないとその価値が見落とされてしまう可能性があります。

デジタル遺産の調べ方

デジタル遺産は目に見えないため、遺品整理などの際に発見することは簡単ではありません。デジタル遺産の所有者が亡くなると、相続人には探す方法がなくなってしまうこともよくあります。
デジタル遺産の把握漏れが生じると、税務調査の際に追徴課税を受ける可能性があり、本税に加えて過少申告加算税などが課されてしまうことがあるため注意が必要です。

では可能な範囲でデジタル遺産の調査方法をご紹介します。

被相続人が使用していたスマートフォンなどのアプリを確認

被相続人が使用していたスマートフォンやタブレット、パソコンなどにインストールされているアプリを確認することでデジタル遺産を発見することができます。

メールやブックマークしていたサイトを確認

被相続人のよく使うサイトを登録しているブックマークや、取引に関する情報をやりとりしているメールを確認しましょう。
メールやブックマークしていたサイトを確認し、取引があることが分かった場合には本人が亡くなったことを連絡すればデジタル遺産があるか問い合わせできます。

カードや銀行の口座明細を確認

クレジットカードや銀行の口座明細がある場合、これらを確認することでデジタル遺産の存在に気がつけるかもしれません。
取引や月額料金の払い込みはオンラインで行っていても、銀行などを経由していればデジタル遺産に関するやりとりが明細などに記載されている可能性があります。

パスワードがわからない場合は専門の業者に依頼

スマートフォンのロックが解除できない場合やアプリやブックマークされたサイトは見つけたものの、IDやパスワードが分からずにログインできない場合があります。
専門業者に依頼すれば、デジタル機器の内部に残されたデータの取り出しや、アカウントの解除が可能です。ただし費用が10万円程度 と高額なケースも多いため、業者選びは慎重にする必要があります。

被相続人のアカウントへのアクセス・消去方法

次に被相続人が利用していたサービスの中には、アカウントへのアクセス方法を示しているサービスもあります。今回は利用している方も多いAppeIDとGoogleアカウントのサービスについてアカウントへのアクセス方法や消去方法を紹介します。

AppleID

iPhoneやiPad、MacBookといったApple社の製品を使っている方が登録するのがApple IDです。こちらのサービスでは、死後に故人のアカウント内のダウンロードしたアプリなどのデータにアクセスできる人物を生前のうちに設定することができます。ただし、Apple IDで購入したサブスクリプションなど部の情報にはアクセスできないため、注意してください。データにアクセスするには、管理先を設定したときに生成されるアクセスキーと故人の死亡証明書が必要になります。
またアカウントを完全に削除したいという場合には、ご自身と削除を希望する故人のApple IDと法的書類を用意し、申請することが可能です。

Googleアカウント

AndroidのスマートフォンやGmailなどの利用に必要となるGoogleアカウント。こちらのサービスでは誰が故人の情報にアクセスできるか、さらにアカウントの削除を希望するかを生前のうちに設定できるアカウント無効化管理ツールが用意されています。
引き継ぐデータの内容や、アカウントにアクセスが無かったらアカウントを削除する期間も好みで設定できるので、Googleアカウントを使用しているのであれば事前に手続きしておきましょう。
またアカウントの管理について知らせないまま亡くなってしまった場合にも、家族や代理人と連絡を取り、慎重な審査のうえで適切だと判断されると故人のアカウントを閉鎖することが可能です。

まとめ

近年増加してきたデジタル遺産。今後資産形成がデジタル化していくことでさらに重要性が出るかもしれません。デジタル遺産は被相続人が管理しているパスワードなどが重要であるため、遺言書やエンディングノートなど記録してもらえると相続人が把握しやすいのでお願いしたいところですね。

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