成年後見人の利益相反行為とは

成年後見制度
  1. 自己契約・双方代理となる場合

民法第108条では、「同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者 双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、 債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない」として、 自己契約,双方代理を禁止しています。さらに第2項として、上記のほか、「代理人 と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。 ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない」とされます。 例えば、成年被後見人が所有している土地を成年後見人自身が購入する場合には、 これに該当することになりますので注意が必要です。

2.特別代理人等の選任

成年後見人と成年被後見人との間の利益が相反する行為については、民法第860条 において、民法第826条の親権者と子との利益が相反する行為と特別代理人の選任の 規定を後見人に準用するとし、後見監督人がある場合は、この限りでないと定めてい ます。したがって、成年後見人と成年被後見人との間で利益相反が生じ、カ 年後見監督人がいない場合は、特別代理人の選任が必要になります。なお、保佐の場 合で保佐監督人がいない場合は臨時保佐人(民法第876条の2第3項)、補助の場合で 補助監督人がいない場合は臨時補助人(民法第876条の7第3項)の選任が必要とな ります。

  1. サービス提供者とサービス利用者の場合

前記1、2は法律上も明らかに利益相反である場合を民法で規定しているものです が、以下に述べるのは法律上の問題ではなく、社会福祉士の倫理綱領の観点から、利 益相反関係となり、問題が生じているという認識が必要です。

例えば、施設職員・介護支援専門員などのサービス提供者が、当該サービス利用者

の 成年後見人等になる場合は、利益相反関係になると考えられます。 ●施設を 経営する法人あるいは法人に所属する職員などが、現に入所している利用者

利益相反関係に配慮して家庭裁判所 が判断を示すことになります。法人に所属する職員は、その法人と雇用契約を結び、 当然に法人側の利益のために法律行 の成年後見人等に選任されるか否かについては、 その法人および当該施 命令に従って職務を遂行しているわけですから、 為を行う立場にいるとみられます。入所者の成年後見人等は、 設に所属する者以外の第三者が選任されることが望ましいという 『介護支援専門員が、自ら

ことができます。 担当する利用者の成年後見人等になる場合も、同様に留意 介護支援専門員は居宅介護支援事業所に所属し、介護保険サービスを利 介護者本人の立場を最大限に尊重する責務があるのは当然ですが、サービス

要 事業所 本人のさとは相反する場合もあり ビスが複数あった場合、 自らの所属する事業所のサービスを使う方がコーディネート ほかのサービスと比較することを怠る可能性があります。また、自ら しやすいため、ほかービスが成年被後見人等に必要である場合に、をする事業所の サービスで間に合わせ、本当に必要な介護サービスが提供されないということが起こ ることも考えられます。また、サービス内容に疑問や不満がある場合でも、それを指 摘することを避けてしまうこともあり得ます。したがって、成年被

後見人等のケアプ ランを作成する介護支援専門員が成年後見人等になることは、利益相反関係であると

  1. 親族・家族間で留意を要する場合
  2. 親子など同居の近親者、あるいは推定相続人である親族が成年後見人等になった場

合でも、成年被後見人等と成年後見人等との間で利害が対立する場合があります。例 成年被後見人である親に代わって施設と入所契 えば、親の成年後見人となった子が、 約をして、その後、 成年被後見人所有の土地・建物を売却して代金を費消する、財産 を減らさないために必要な介護サービスを利用しない、また相続にあたって成年後見 人等が成年被後見人等の相続分を不利にするような遺産分割協議書を作成するなど、 前記2に該当する場合は、特別 問題は生じませんが、日常的な契約行為や身上保護にお 親族・家族間での権利侵害のケースが予想されます。 いて、本人の意向ではなく成年後見人等である親族の意向が優先されるという懸念が

生じる場合もあります。

また、第三者が夫婦双方や親子・兄弟等の成年後見人等になる場合なども、利益相 反関係であり、対応に苦慮する可能性を含むものとして留意を要する事例といえます。

それぞれの意思を尊重し、権利を擁護しようとするときに、利害が対立する場面が生 じることは起こり得ます。その場合に一人の成年後見人等が常に適切に対処できるか など、多くの問題点を内包しており留意が必要です。状況や個別の事情も勘案されま すが、それぞれに別の成年後見人等が選任されるよう検討してみましょう。

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