【市民法務:内容証明書が届いたときの対応】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。前回の記事に引き続き、内容証明書について記事を書いていきたいと思います。今回は内容証明書を受け取った場合の事例について紹介します。この記事を読むことで、内容証明書が逆に届いたときの対応を知ることが出来ます。

内容証明書が届いたら

内容証明郵便を受け取ったら、落ち着いてよく読むことが重要です。ついつい普段と違う郵便物にびっくりしてしまい、慌てて対応してしまうと、あとで後悔することになります。ますはこちら側に内容証明郵便の指摘する約束違反がないかどうかを考えます。もし約束違反の点があったら、その約束を実行し、相手の出かたを待ちます。

返事は返すべきか

手紙をもらったら、返事を出すのが礼儀です。内容証明郵便を受け取った場合にも、すぐ返事を出す方がよいので しょうか。
内容証明郵便はトラブルを前提にした手紙です。友好関係にある場合の手紙とはちょっと違います。内容証明郵便が来たからといって、いちいち返事を出さなければならないものではありません。また返事を出さないからといっても、一般的には不利になるということもありません。
何か言い返さねば腹の虫がおさまらないのか、黙っていると相手の言い分を認めたことになると思い込んでいるのか、あわてて長い反論の手紙を出す人がいます。
金銭の請求や、物の引渡しの請求等の内容証明郵便に対しては、返事を出さなくても、相手の言い分を認めたことにはなりません。それに差出人側は、相手方が何を考えているのか、どんな証拠をもっているのかわからないとき、さぐりを入れるために内容証明郵便を出すケースもあります。そんな場合に、受取人が長々と返事を書いて出したら、差出人側の思うツボです
トラブルというのは、お互いに有利な材料と不利な材料の両方を持ちあっているものです。法律のしろうとが、言い返さなければ気がすまな いとばかり長々と書いて、かえって自分のマイナス材料を敵方に知らしめることがあります。返事は不要と書きましたが、金銭の請求や物の引渡しを請求する内容証明郵便の末尾に、次のような文句が書かれていることがあります。
「本書面到達後5日間以内に貴殿からの回答がない場合には、当方の言い分を承認したものとみなしますから、ご了承ください」
こんな内容証明郵便が来ると、返事を出さなければという衝動にから れます。しかし、そんなことを書いても、何の意味もありません。この内容証明郵便の受取人が返事を出さなかったとしても、別に差出 人の言い分を認めたことにはならないのです。

内容証明郵便を受け取っても返事を出さないというのは、一つの有効な作戦です。その作戦をとった場合、注意することが二つあります。

一つは、返事を出さないことと、何もしないで放っておくこととは違うということです。

「内容証明郵便が来たら、返事を出すか否かにかかわらず、自分の方に 内容証明郵便の指摘する約束違反がないかどうか確かめ、約束違反があれば、約束を実行しておくことが必要です。

もう一つは、返事を出さないでいると、差出人は最終的には裁判手続きをとるか、あきらめてしまうかのどちらかになるということです。弁護士が代理人になって内容証明郵便を出した場合には、返事を出さないでいると、たいてい訴訟に持ち込まれる可能性が高いです。差出人側に弁護士がついている場合には、受取人側も弁護士に相談し ながら、どのように解決すべきかの対策をたてるのがよいと思います。 プロにはプロをもって対抗するのが得策です。

返事を返した方が良い場合

非常にまれなケースですが、一定期間内に回答しない場合には法律上一定の効果が生ずることがあります。

①離れた土地の商人から契約の申込みがあったとき

②通常の商取引の申込みがあったとき

③制限能力者が能力回復後に、相手から請求を受けたとき

④無権代理人の相手から請求を受けたとき

➄抵当権消滅請求を受けたとき

⑥選択債権の選択を請求されたとき

⑦解除するかどうかの請求を受けたとき

⑧遺言に従うかどうかの請求を受けたとき

以上8つの場合には何らかの意思を表示するため、差出人に返事を書く方がいいでしょう。

まとめ

今回は内容証明書を受け取った時の対応についての記事を書きました。まずは内容をよく読み、どういった点が問題となっているのかを把握したうえで行動しましょう。場合によっては専門家に相談し対応方法を考えるほうが良い場合もあります。

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