【市民法務:賃貸契約の内容証明】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は内容証明郵便の中でも賃貸契約について活用する場合を紹介したいと思います。この記事を読むことで、内容証明書の活用方法について知ることが出来ます。

賃貸契約関係の内容証明郵便

内容証明郵便の活用方法やメリットについては前回までの記事で十分ご理解いただけたと思います。今回はそんな内容郵便を賃貸契約の場合にどのような場面で活用できるのかについてご紹介します。

家賃滞納時の督促

数日遅れている場合は手紙やメール、口頭などで揉めないように解決した方が得策ですが、可能な限り「いつ、誰が、誰に対して、どのように督促したのか」を記録に残しておきましょう。それでも払ってもらえない場合などは内容証明で督促を検討することになります。
「いつまでに家賃を払ってください」と督促するだけの場合もありますが、内容証明を使用する場合は「いつまでに家賃を払ってくれないと契約解除します」と強い内容にすることが多く、「停止条件付解除通知」を送ることになります。このように内容証明を活用すると履行させる要素が強くなりますが、必要な場合には活用しましょう。

契約違反による賃貸借契約解除の予告・通知

借主が契約違反を犯した場合、家賃滞納と同じように揉めないように解決を図りますが、それでも契約違反を続ける場合には内容証明を検討します。契約違反で内容証明を送るときは、契約違反をやめさせるというよりも、「いつまでに違反行為をやめないと契約を解除します」と「停止条件付解除通知」を出して、契約を解除させる方向になることが多いです。
なぜなら、普通に注意してもやめないということは、借主は自分のやっていることは違反ではないと認識していることが多く、家主も「こんな人と契約は継続したくない」と関係性が崩れていることが多いからです。

定期借家契約の契約満了の事前通知

定期借家契約(定期建物賃貸借契約)では、契約期間満了日の半年前から1年前までに契約が終了することを借主に対して書面で通知しなければ、契約期間が満了した際に契約が終了したことを借主に対抗できなくなります。ただ、悪質な入居者だった場合に再契約せず契約を終了させる場合は、後から揉めないために内容証明で送った方が無難です。

賃貸借契約解除の内容証明郵便のポイント

上記内容の場合に内容証明郵便を活用することになります。その中で、今回は契約解除の内容証明郵便を書く際のポイントについてご紹介します。

遅滞状況を明記

まずは、遅滞している期間と金額を具体的に、かつ正確に記載します
例えば、「私はあなたに、下記の内容にて建物を賃貸中でありますが、あなたは令和6年6月から令和6年11月分までの3か月分の賃料計金12万円の支払いを怠っております。」 のように具体的に示しましょう。

支払いの催告を行う

次に、支払いの請求をします。例えば、 「本書面到達後1週間以内に上記滞納賃料金額をお支払いくださいますよう、ご請求申し上げます 。」のように記載します。一般に、賃貸借契約を解除するための催告には事前に1週間から10日ほど支払い期間を設けることが必須になります。

契約を解除を通知

支払いがない場合は契約を解除することを明示します。
例えば、 「上記期間内にお支払いがない場合は、あらためて契約解除の通知をすることなく、上記期間の経過をもって、あなたとの本件建物賃貸借契約を解除することを御了承ください。」となります。このように、記載しておけば期間が経過すると解除の効果が生じます。

封筒の書き方

最後に郵便を出す際は、「契約解除通知書」などと封筒に書かないことをおすすめします。もし、書いてしまうとその封筒をみて、相手が受け取り拒否をする可能性があるためです。受け取り拒否をされてしまうとなかなか相手に受け取らせることが今後難しくなるため、「親展」などだけ書いて送るほうが良いでしょう。同様に、内容証明郵便送りますなどと事前に伝えない方が得策でしょう。

まとめ

今回は内容証明書郵便の活用方法を賃貸契約の場合を参考に具体的な形でご紹介しました。賃貸契約の場合は契約の解除や契約内容の変更などで内容証明郵便の活用するケースが多いと思われます。
次回も具体的な活用方法についてご紹介しますので是非ご覧ください。

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