【市民法務:契約書の作成/賃貸借契約書後半】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回も前回に引き続き契約書の中で最も良く使われている賃貸借契約について記事を書きたいと思います。今回で賃貸借契約書は最後となります。

賃貸借契約書の具体的な条項

解除

第15条 乙が次の各号の一に該当するときは、甲は何等の催告なくして、本契約 を解除することができる。

(1)第2条に定める使用目的を遵守しなかったとき。

(2) 賃料、共益費並びに消費税及び地方消費税の支払いを2か月分以上怠ったと き。

(3) 本契約に定める条項に違反したとき。

(4) 賃貸物件を3か月以上使用しないとき。

(5) 支払停止又は支払不能の状態に陥ったとき、又は手形若しくは小切手が不渡 りとなったとき。

(6)差押、仮差押、仮処分、若しくは競売の申立て、又は公租公課の滞納処分を 受けたとき。

(7)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立 てを受け、又は自ら申し立てたとき。

(8) 監督官庁より、営業許可の取消し、停止等の処分を受けたとき。

(9) 資産又は信用状態に重大な変化が生じ、本契約に基づく債務の履行が困難に なるおそれがあると認められるとき。

(10) 信頼関係が破壊されたと甲が判断したとき。

(11) その他前各号に準じる事由が生じたとき。

解除する場合の条項を作ることで適切に賃貸借物を使用してもらう事が出来ます。

原状回復

第16条 乙は、本契約が終了したときは、賃貸物件に自ら設置した造作及び設備 並びに乙所有の動産を自己の費用をもって収去し、賃貸物件を原状に復して甲 18 に明渡さなければならない。

2.乙が、前項に基づく原状回復の処置をとらなかったときは、甲は、乙の費用負 担において原状回復の処置をとることができるものとし、乙はこれに異議を申し 立てない。

3.第1項に基づく明渡し後において、賃貸物件内に乙が残置した動産があるとき は、甲は、乙が所有権を放棄したものとみなして任意にこれを処分することがで き、乙はこれに異議を申し立てない。

原状回復については返還時に揉めやすいところですので、契約書に明記しましょう。

造作買取請求権等

第17条乙は、賃貸物件の明渡しに際し、その事由又は名目の如何にかかわらず、 甲に対し、賃貸物件内の造作及び設備について支出した費用の償還請求をする ことはできない。

2 乙は、賃貸物件の明渡しに際し、甲に対し、移転料、立退料、権利金、営業補 償等一切の金銭請求をすることはできない。

3 乙は、賃貸物件内に自ら設置した造作及び設備等の買取を甲に請求することは できない。

賃借人から賃貸人に行使しないことを定める条項です。

損害賠償

第18条 乙は、賃貸借期間中、乙が賃貸物件内に設置した造作及び設備等につい て火災事故等による損害を補填するため、その費用負担において、損害保険を 付さなければならない。

反社会的勢力の排除

第19条甲及び乙は、相手方に対し、自ら及び自らの役員(取締役、執行役、執 行役員、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が次の各号に該当することを表明 し、かつ将来にわたって確約する。

(1)暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力 団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴 力集団その他これらに準ずる者(以下総称して「反社会的勢力」という)では ないこと

(2) 反社会的勢力が経営を支配していると認められる関係、及び経営に実質的に 関与していると認められる関係を有していないこと

(3) 自ら若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的 をもってするなど、不当に反社会的勢力を利用していると認められる関係を 有していないこと

(4) 反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をし ていると認められる関係を有していないこと

(5) 反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有していないこと

2 甲及び乙は、自ら又は第三者を利用して、相手方に次の各号に該当する行為を 行わないことを確約する。

(1) 暴力的な要求行為

(2) 法的な責任を超えた不当な要求行為

(3) 脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為

(4) 風説を流布し、偽計又は威力を用いて信用を毀損し、又は業務を妨害する行 為

3 甲又は乙が、前2項の表明又は確約に反することが判明した場合、相手方は、 何らの催告を要することなく、本契約を解除することができる。

4 前項に基づき本契約が解除された場合、解除された者は相手方に対し、相手方 の被った損害を賠償するものとする。

5 第3項に基づき本契約が解除された場合、解除された者は相手方に対し、解除 により生じる損害について一切請求しないものとする。

連帯保証

第20条 連帯保証人は、本契約に基づき乙が負担すべき一切の債務について、乙 に連帯して保証するものとする。

誠実義務

第21条 本契約の解釈に疑義が生じたとき、又は本契約に定めのない事項が生じ たときは、甲乙誠実に協議の上、これを解決する。

合意管轄

第22条 本契約に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意 管轄裁判所とする。

まとめ

長くはなりましたが、賃貸借契約書の具体的な条項について解説してきました。イメージは着きましたでしょうか?もし、賃貸物件にお住まいの方は、一度契約書を見てみると分かりやすくかもしれません。

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