【相続人になれないってどういうこと??】~行政書士試験合格者が解説~

民法

今回から行政書士試験の民法の知識に加え、実務で使えることを記事にしていこうと思います。当初よりこのブログはインプットした知識をアウトプットする場と考えていました。
今回行政書士試験に合格したため、行政書士としての実務を勉強し、その知識を記事に残していければと考えています。今月は行政書士試験の中でも出題の多い、相続について記事にしていきたいと思います。
今回からの記事は、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今後とも宜しくお願いいたします。
ではさっそくですが、今回は相続における相続の欠格事由と廃除、相続の承認と放棄について説明していこうと思います。

相続欠格と廃除とは

相続人となるべき資格を有する者であっても、民法の定める一定の事由に該当するときは当然に相続人となることが出来ないことがあります。これを相続欠格といいます。また、被相続人の意思によって相続人の資格を失わせることができます。これを相続の廃除といいます。

相続欠格

当該相続関係に関しては当然に相続権を失うことになります。これは相続関係の秩序を適正に維持し、また違法行為に対する制裁を目的にしています。

①故意に被相続人または先順位・同順位の相続人を殺害し、または殺害を企てたことにより刑に処された者

②被相続人が殺害されたことを知りながら、告発または告訴をしなかった者
ただし、是非の弁別のない者や殺害者が自己の配偶者、直系血族であったときは、告訴・告発をしなかったとしても欠格者になりません。

③詐欺または強迫によって、被相続人に遺言させ、あるいは遺言の撤回、取消し、変更を妨げた者 

④相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

これらのものは要件を満たせば当然に効果が発生し相続を受けれません。この対象は相続関係における相続人全員に言えます。

相続人の廃除

遺留分を有する推定相続人に対し、被相続人が家庭裁判所に請求して、その者の相続資格を奪うことができます。

①被相続人に対して虐待をし、または重大な侮辱を加えたとき

②その他著しい非弁行為があったとき

相続人の廃除が決定した後において、被相続人はいつでも家庭裁判所に廃除の取消を請求することができます。相続の廃除には被相続人の意思が反映されることが特徴です。そのため廃除及びその取消は、遺言によってすることも可能です。

なお、遺留分を有する推定相続人とは被相続人の配偶者、子および直系尊属です。遺留分を有しない相続人である被相続人の兄弟姉妹は遺言だけで相続権は完全に失いますが、推定相続人は遺言だけでは遺留分の請求が可能なため、相続の廃除をすることにより遺留分の権利もはく奪することができるようになります。

相続の承認と放棄

相続財産のなかには不動産や動産、預貯金などのように価値のある資産だけでなく、借財のような負の資産も含まれます。そのため資産はあるが、それを上回る負債があることもあり、相続人がそれを負担することになりかねません。そこで、相続人となるべき者は、相続をするか否か、または相続するのは全部か一部かを選択することができます。つまり相続人は、被相続人の財産について相続を承認するか放棄するか、または承認するにしても単純承認するか限定承認するかの判断し選択することができます。これは相続人が自己のために相続のあったことを知った時から3ヶ月以内に判断する必要があります。なお、相続人が相続人になることを知った時からですので、相続人により期間が区々になります。また、未成年や成年被後見人である場合はその法定代理人等が事実を知ったときから起算されます。

単純承認

相続人が被相続人の負担していた債務を含めて無条件に相続することをいいます。

①被相続人が単純承認する旨の意思表示をしたとき

②相続人が限定承認・放棄をする前に相続財産の全部または一部を処分したとき

③被相続人が自己のために相続の開始があったを知った時から3ヶ月以内に限定承認・放棄をしなかったとき

④相続人が限定承認または放棄をした後でも、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、自己のためこれを費消し、または悪意でこれを財産目録中に記載しなかったとき

以上の事由がある場合は単純承認があったものとみなされます。これを法定単純承認といいます。

限定承認

相続人が相続によって取得する財産の範囲においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して承認することをいいます。つまり限定相続をした場合は、相続人の負担をしてまで弁済する必要がないことになります。もっとも、相続人が自己の保有する財産で被相続人の債務を弁済することも可能です。限定承認は相続人の責任の範囲を限定すると言うことでもあるためです。この限定承認は共同相続人の全員が共同して行う必要がありますので注意が必要です。

相続放棄

相続人が被相続人に属する一切のっ権利義務を承継しないことをいいます。相続を放棄するためには3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することが必要です。なお相続開始前に事前の放棄することはできません。また、相続人同士で合意しただけでは放棄の効果が生じないため注意が必要です。相続放棄が認められると相続開始の時点から相続人でなかったものとみなされます。

まとめ

今回は相続人になれない場合について欠格と廃除について説明しました。また、相続が決定した後の相続を承認するのか放棄するのかについても記事に書きました。この部分は相続の基本となる重要な部分です。特に相続の単純承認と放棄は色々な場面で出てきますので、覚えておいて損はないと思います。

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