【後見人になったらすること】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
前回までの記事は成年被後見人の種類や手続き方法について説明してきました。今回は実際に成年後見人に選任された後、どんなことをするのか?について解説したいと思います。
今回の記事を読むことで成年後見人の業務について知ることが出来ます。

成年後見人の選任通知が届く

家庭裁判所が審判をすると、それを告知するため、「審判書」という書面が特別送達郵便で成年後見人(保佐人・補助人)に送達されます。この時点ではまだ確定してないため注意してください。
成年後見人に審判書が送達されたとき(保佐や補助の場合は、本人と保佐人・補助人の両方に送達されたとき)から2週間が経過すれば審判が確定します。審判が確定した段階で、正式に後見人等に就任したことになります。

後見人に正式に就任したら

正式に後見人(保佐人・補助人)に就任したら、面談を通じてご本人の生活の状況や今後の生活上の希望等を確認します。また金融機関等へ必要な届出を行い、後見等事務の方針を立てた後、財産目録及び収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。順に説明します。

後見申し立ての記録を確認する

後見人は、家庭裁判所にある後見手続きの記録を見ることができます。この記録には、被後見人の財産、「医師の鑑定書」や「裁判所調査官が、関係者から聞き取った報告書」なども含まれています。「後見の申し立てに関与していない方」や「申立人ではあったが、専門家や協力者へ手続きをまかせっきりで内容を把握できていない方」は、こちらの記録を読み、これまでの経緯と当面の課題を把握することが出来ます。

本人やその関係者と話合いをする

本人に実際に会い、病歴や通院歴、利用している介護サービス、支払いが滞っているものはないか、普段、どのような生活をしているのかなどを確認しましょう。また、本人から聞き取れないことは関係者(本人の身の回りの世話をしている人、ケアマネージャー、施設に入所していれば職員など)に確認するとより詳しく把握することができます。

本人(または親族)から財産の書類や印鑑を引き渡してもらう

財産を管理するために預かります。財産の書類は財産目録の作成に必要となります。印鑑は本人の病院や施設への入所、不動産契約の際に不可欠です。あらかじめ、書類や印鑑を本人から貰っておくと様々な手続きの際に二度手間にならなくて済むので用意をしておきましょう。 

法務局に登記事項証明書の発行をしてもらう

財産の引き渡しが終わった後に法務局へ行き、登記事項証明書の申請を行なってください。この登記事項証明書があれば銀行などの手続きを、本人の代わりに行うことができるようになります。また、郵送で申請することもできます。(東京法務局のみ可能)

銀行や保険会社などに成年後見人になった届け出をする

成年後見人に就任したことを銀行、保険会社、年金事務所、税務署に届け出をしましょう。

財産目録を作成して家庭裁判所へ提出する

成年後見人に選任されてから1ヶ月以内に、家庭裁判所へ財産目録を提出しなければいけません。(財産目録は財産の状態を記録したものです)
例え家族であっても、家庭裁判所は成年後見人による財産の使い込みを防ぐために、財産の状況を確認しておく必要があります。書式は特に決まっていませんが、記入する内容はある程度決まっています。ご自身でExcelなどを利用して作成することもできます。

生活プランを立てて収支予定表を作成する

生活費が月にどのくらいか、税金は年間でいくら支払うかなどを詳細に収支予定表に記録します。収支予定表はある程度の生活プランを立てるためにも必要なことなので、本人と相談をしましょう。作成後は財産目録と一緒に家庭裁判所へ提出します。

市区町村役場へ送付先変更の手続き

後見人は、被後見人が年金やその他の収入を受け取れるように、そして、病気やケガなどの際には、病院で受診できるように配慮する義務があります。そのため、国民年金現況届、障害者医療証、健康保険証などを、被後見人に代わって後見人が受け取れる体制を整えましょう。また、郵送先の変更の手続きも忘れずに行いましょう。

後見等事務の報告について

家庭裁判所は、必要に応じて成年後見人等に後見等事務の状況の報告を求めており、この報告により、成年後見人等が適切に事務を行っているか確認します。
現在、成年後見人等は、一般的には1年に1回、(後見監督人等が選任されている場合には求めに応じて)決められた時期に後見等事務の状況を報告するよう求められています。

まとめ

今回は、成年後見人に就任後すぐに行わなければならない業務について説明しました。成年後見人は被後見人をサポートする仕事です。そのため、財産状況を正確に把握し、本人の希望に沿った収支の把握を行っていく必要があります。そのため、本人との面談はかかせないでしょう。また、被後見人のための手続きを行っていくことになるため、登記簿を取り寄せ、銀行や市役所、郵便局などに手続きを済まておくと事務がスムーズに運ぶはずです。

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