【借金返済を滞納するといつまで請求されるの?】時効について~行政試験合格者が分かりやすく解説~

民法

時効って言葉を聞いたことはありますか??刑事事件ドラマなどでは時効だから罪にできないといったことを言ったりします。時効には2種類あり、取得時効と消滅時効があります。刑事事件ドラマでの時効は消滅時効です。今回はそんな債権債務の時効についてご紹介したいと思います。この記事を読むことで時効を主張し債務から逃れられるかもしれません。
今回も行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

時効とは

時効とはある出来事から一定の期間が経過したことを主な 法律要件 として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する 権利 または法律関係が存在すると扱う制度、あるいはそのように権利または法律関係が変動したと扱う制度です。
時効には2種類あり、取得時効と消滅時効があります。取得時効は権利はないが一定期間権利のあるような事実上の状態を継続することで権利を取得することができます。消滅時効は権利を行使しない状態が一定期間経過することで権利を消滅させることができます。

時効の効力の発生

時効は完成すると起算日と呼ばれる日に遡って効力が発生します。取得時効の場合だと起算日に遡ってその権利を持っていたことになります。消滅時効の場合は始めからなかったことになります。例えばお金を借りる契約をして、返済せずに消滅時効となった場合には、始めから返済する必要がなかったこと(賃金債権の消滅)になります。

時効の援用

時効の援用とは時効の利益を受ける旨を意思表示することです。この援用がなされないと時効が完成しても時効の効力は発生しません。

時効の利益を放棄

時効の利益の放棄とは時効の利益を受けない旨の意思表示をすることです。例えば、お金を借りて時効を主張できる状態だが、お金を返しますということで時効の利益を放棄したことになります。この時効の利益を放棄することはあらかじめ放棄することは出来ません。なぜなら、高利貸によって無理やり時効の利益を放棄させられることを防ぐためです。

取得時効

取得時効とは権利者らしい状態が一定期間継続することによって権利取得の効果が得られます。
取得時効には所有権の取得と所有権以外の財産の取得が可能です。要件を見ていきましょう。

所有権の取得時効

所有の意思をもって、平穏にかつ公然と他人の物を占有し、時効期間を経過すること。時効期間は占有を始めた時に他人の物であることを知らなかった場合には10年、それ以外の場合には20年です。この時効の期間は前の占有者を承継することも出来ます。例えば前占有者が自己に所有権がある土地だと信じて売却し、売られた人が他人の土地だと知っていたとしても、占有期間を前占有者と合算して10年で取得時効を主張できます。これは合算するか選択することが出来ます。

所有権以外の財産権の取得時効

自己の為にする意思をもって平穏に公然と他人の財産権を行使し、時効期間を経過することです。時効期間は所有権と同じです。

賃貸借権の時効取得

建物を賃貸しており、時効取得を主張しても建物の所有権は取得することは出来ません。なぜなら借りているだけだからです。しかし、賃貸借する権利は取得することが出来ます。言わば建物を借りる権利そのものを取得していることになるのです。

消滅時効

消滅時効とは法律上は権利を行使することが出来るにも関わらず、権利者が権利を行使しない状態が一定期間継続した場合にその権利を消滅させます。
消滅時効の対象は債権と債権又は所有権以外の財産権です。所有権や占有権は時効の対象にならないため注意が必要です。消滅時効の要件を見てみましょう。

①債権者が権利を行使することが出来ることを知った時から5年間行使しないとき
②権利を行使できるときから10年間行使しないとき

例外

不法行為による損害賠償:主観的起算点①3年、客観的起算点②20年
人の生命又は身体の侵害による損害賠償:主観的起算点①5年、客観的起算点②20年
定期債権:主観的起算点①10年、客観的起算点②20年
判決で確定した権利:主観的起算点①なし、客観的起算点②10年
詐害行為取消権:主観的起算点①2年、客観的起算点②10年
相続回復請求権:主観的起算点①5年、客観的起算点②20年
相続承認・放棄の取消権:主観的起算点①6か月、客観的起算点②10年
遺留分侵害請求権:主観的起算点①1年、客観的起算点②10年

消滅時効の起算点は状況によって変わるためまとめておきます。

・確定期限の定めのある債権・不確定期限の定めのある債権・期限の定めのない債権:①権利を行使することが出来ることを知った時②権利を行使することが出来るときです。
・債権不履行による損害賠償請求権:本来の債権について履行請求できる時
・契約解除による原状回復請求権:契約解除時
・不法行為に基づく損害賠償請求権:①損害および加害者を知った時②不法行為の時
・返還時期の定めがない消費貸借:債権成立後、相当期間経過後

時効の猶予・更新

時効の猶予とは時効の完成を一定期間猶予することです。催告したときはその時から6か月を経過するまで時効は完成しません。再度の催告は猶予の効力を有しません。

時効の更新とは既に経過した時効期間をリセットして新たに時効期間の計算をし直すことです。なので4年経過していても0から計算されます。例えば債権が5年時効で4年経過しており、時効が完成する前に支払いを少額でも行うと時効の完成が更新され再度5年間時効が完成しなくなります。

まとめ

今回は時効についてご紹介しました。時効は援用することができると土地の権利を取得したり、債権を消滅させ支払わなくてよくなったりとすごい効果があります。債権が発生したときは、時効の計算を行ってみましょう。消滅時効の考え方は債務者側に重きを置いておりますので、分からなくなったら債務者にとって有利な方はと考えてください。

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