病院に行って診察を受けるとお金がかかる、万が一入院となったら高額な支払いをしないといけないと不安に思ったことはないですか?
実は公的医療保険には通院や入院時の医療費に対して「これ以上医療費を支払う必要はないですよ、支払っても後からお金を返しますよ」といった限度額を適用する高額療養制度があります。
この高額療養制度は社会保険組合や市役所で手続きを行う必要があるのですが、知らずにいると診療を受けた日から2年過ぎるとお金が返ってこなくなるため注意が必要です。 この記事では分かりやすく入院時のお金の不安を解消できる高額療養制度と注意点について解説していきます。この記事を読むことであなたやご家族が、もしもケガや病気で入院した時のお金の不安が軽減されます。
高額療養制度とは
高額医療費とは、同一月(1日~末日まで)にかかった医療費(通院・入院・薬局)の自己負担が高額になった際に一定の金額を超えた場合、一定の金額を払い戻されるという制度です。一定の金額という自己負担の上限は、年齢や所得によって定められています。
イメージ図
年齢別・限度額
上記表のように年齢や前年度の所得によって限度額が変わります。
払い戻しのタイミング
高額医療費が払い戻されるタイミングは、申請書類や病院の診療報酬明細の確認に時間を要するため、申請してから約3~4ヶ月後になります。
自己負担の限度額を超える部分は一度自身で立て替える必要があるため注意が必要です。
そのため高額医療制度の事前申請をしておきましょう!!
対象とならない費用もあります
高額医療制度は患者やが支払った保険診療が対象となります。そのため生活するうえで必要な個室代や食費、保険適用外の治療は対象とされません。
・個室ベッド代
・先進医療費(保険適用外)
・居住費
・食費(多数該当は可能)
実は出産時にも適用される
出産は基本的には保険適用ではないのですが、帝王切開や異常分娩による出産の場合は、医療行為に当たるため高額医療制度の対象となります。出産時に高額医療制度の対象となる可能性がある事例は以下の通りです。
・帝王切開
・鉗子分娩
・流産・早産
・吸引分娩
事例以外にも適用できる可能性があるため医療機関に相談してみましょう
限度額適用認定証について
高額療養制度は基本的には自己負担限度額を超えて支払った医療費が後から払い戻される制度です。しかし、申請後3~4ヶ月後に払い戻されては経済的に大きな負担となってしまいます。そのため高額医療制度を事前に利用できるよう限度額を事前に証明する書類として「限度額適用認定証」というものがあります。
・限度額適用認定証
限度額認定証は、会社員であれば「協会けんぽ」や「組合健保」、自営業者やフリーランス、75歳以上の後期高齢者医療適用者であれば、「市町村役場」に申請することで発行してもらえます。限度額認定証を医療機関に提示することで自己負担以上の請求はされなくなります。
・多数回該当
高額療養制度には限度額をさらに減額する仕組みがあります。それが「多数回該当」です。直近の12か月間に、すでに3回以上高額医療制度を適用されている場合、負担上限がさらに引き下がます。また、入院が継続し多数回該当になると、医療機関に提示することで食費が減額されることがあります。
・世帯合算
おひとりの医療費の自己負担では高額医療費の対象とならなくても、複数の医療機関の受診や同じ世帯にいる方の受診をひと月単位で合算することが出来ます。合算額が限度額を超えた場合は超えた額が返ってきます。(合算するには同じ公的医療保険に加入している必要があります。)
申請・手続き方法
高額医療制度の申請方法には2種類あります。
事前
限度額適用認定証でも述べましたが、事前に「協会けんぽ」や「組合健保」、「市町村役場」に申請し「限度額適用認定証」を医療機関へ提示すれば医療費の立て替えが不要になります。
事後
「協会けんぽ」や「組合健保」、「市町村役場」に申請が必要になります。申請に必要な書類は状況によって異なるため担当窓口で確認が必要です。
高額医療制度以外に使える制度
・医療費控除
年間の医療費の自己負担が10万円を超えた場合に超過分と同じ額が所得税や住民税の課税となる所得から控除されます。例えば1年間に入院により医療費が12万円かかり、通院交通費1万円、薬代が5万円かかった場合、合計18万円から10万円を引いた8万円が所得税・住民税から軽減されます。その際には確定申告が必要になります。
医療費控除に該当する例
・通院交通費
・医薬品代・治療目的でのマッサージ、指圧師、鍼灸、柔道整復師の施術
・訪問看護、訪問リハビリ
精神通院や透析患者などの場合は自立支援医療や更生医療
また、自治体では子ども医療やひとり親医療制度、重度障害者医療証
といった医療費の自己負担を軽減する制度もあります。
まとめ
今回は医療費の自己負担がひと月の間に高額となった場合に申請できる制度について紹介しました。専門的な用語が多く、知らない言葉がたくさんあると思いますが、「万が一」に備えて事前に情報を知ることで、経済的負担や不安が少しでも解消出来ればと思います。また、分からない時は病院の事務員や市町村役場、「協会けんぽ」「組合健保」の担当者にお尋ね下さい。
次回は万が一病気や怪我で働けなくなった時の収入の不安を解消する傷病手当について説明していきます。
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