【妊婦さん必見!】事前に準備して経済的負担を軽減。出産一時金について~現役福祉職公務員が分かりやすく解説~

社会保険

 出産時って医療保険が使えないため、病院の入院費用や自宅出産が全額自費負担となり多額の費用がかかります。そんな費用を軽減するための制度が「出産一時金」です。
 前回は働いている方の出産のため仕事を休んだ時の収入保障として「出産手当金」を紹介しました。今回は働いている方も、そうでない方も受けとれる出産時の一時金について紹介いたします。働いている方は健康保険組合等に申請をしますが、働いていない方は国民健康保険(市町村)で申請をすれば、受け取れる金銭給付になりますので、是非ご活用頂ければと思います。

くまくまさん
くまくまさん

出産費用は全国平均48.2万円するそうです

出産一時金とは

出産育児一時金とは、出産前後の経済的負担を軽減するために、保険組合から給付されるお金のことです。健康保険または国民健康保険に加入している方が申請することで利用できる制度です。

 出産育児一時金の支給額は、胎児1人当たりにつき50万を支給されます。双子などの多胎分娩の場合は、胎児の人数分だけ支給額が乗算されます。

支給要件

出産育児一時金の支給対象者は、基本的に健康保険または国民健康保険の被保険者です。つまり、健康保険または国民健康保険の加入者本人、もしくはその扶養に入っている方が対象となります。

対象となる出産は、妊娠期間85日以上での出産です。ただし、妊娠22週未満での出産などの場合、受け取れる給付金は減額されます。なお、ここでの「出産」には早産、死産、流産、人工妊娠中絶が含まれます。

出産育児一時金と実際に支払った出産費用に差額がある場合はどうなる?

出産育児一時金は一定額での支給なので、実際の出産費用が支給された出産育児一時金の金額と上下する場合があります。たとえば、無痛分娩で出産したり、個室に長期間入院したりした場合は出産費用が支給額を超えることが多いです。

もしも実際の出産費用が出産育児一時金より高額だった場合、その分の差額は自己負担しなければいけません。反対に、実際の出産費用が出産育児一時金を下回った場合は、その差額を受け取れます。そのため、出産する医療機関で必要とされる費用を調べたうえで、自分で支払うべき出産費用の金額を把握しておくことが重要です。

くまくまさん
くまくまさん

病院、クリニック、助産所などでも金額に違いがあるようです

産科医療保障制度

医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

申請方法

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、健康保険から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)がありますので、その場合、出産費用としてまとまった額を事前に準備する必要はありません。
なお、直接、医療機関等に出産育児一時金が支払われることを希望しない場合は、出産後に被保険者の方から健康保険に申請した上で、出産育児一時金を支給することも可能です。

山口県国民健康保険団体連合会参照

※直接支払制度では、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設(年間の分娩件数が100件以下または収入に占める正常分娩にかかる収入の割合が50%以上で、厚生労働省へ届け出た診療所・助産所)については、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る「受取代理」制度を利用することができます。

出産費貸付制度

出産費用に充てるため、出産育児一時金(家族出産育児一時金)の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。
対象者は、健康保険の被保険者または被扶養者で、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、出産予定日まで1ヵ月以内の方、または妊娠4ヵ月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方です。貸付の申込は、出産費貸付金貸付申込書に必要な書類等を添えて健康保険にご提出ください。

くまくまさん
くまくまさん

出産一時金が間に合わない場合は、職場か病院に相談してみよう

資格喪失後の出産一時金

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。資格喪失後、被扶養者となった場合は、資格喪失後の出産育児一時金または家族出産育児一時金のどちらかを選択して受けることとなり、二重に受けることはできません。また、被保険者の資格喪失後にその被扶養者だった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません。

まとめ

出産時の病院の入院費用や自宅出産費用は治療には当たらないため医療保険では適用出来ず全額自己負担となり思ってもみない高額な請求が来ることもあり注意が必要です。しかし、出産一時金を申請すれば実際にかかった費用に関わらずに支給されるため、自分のあった医療機関や出産状況を選択できるのは嬉しいですね。
なお、出産時に帝王切開等の手術を受けた場合は治療に当たるため医療保険が適用され別途費用が嵩むことになりますので、高額医療制度を申請する必要があります。出産前には高額医療制度の申請も含めて準備すれば万全な状態で安心して出産当日を迎えれるのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました