【成年後見制度を利用できない人】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回は成年被後見人に該当しない場合についての記事を書いていきます。

成年後見制度を利用出来ない人

まず初めに「成年被後見人(せいねんひこうけんにん)」とは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあり、成年後見制度を利用して保護または支援を受ける人(本人)を指します。一方、支援する側を「成年後見人」と言います。今回は成年被後見人に当たらない人ということについての説明となります。

1.浪費家(ギャンブルなど)

成年後見・保佐・補助を開始するには「精神上の障害により」「事理を弁識する能力(判断能力)」に問題があることが条件となっています。つまり、病気等ではないのだけど本人の性格に問題があり浪費やギャンブルをしてしまう、という場合には利用することができません

例えば、息子が浪費家で手元にあるお金を全て遊興費やギャンブルに使ってしまうとか、父が気前が良過ぎて色んな人に事あるごとに財産をあげてしまうといったケースでは、成年後見制度を利用することはできません。
本人の判断能力に障害がないならば、単に性格上の問題を理由に本人から財産管理権を取り上げることはできないのです。
成年後見制度を利用出来ませんが、ギャンブルに対して依存症や計画的金銭管理に問題があり、支援が必要であると判断される場合には厚生労働省の事業の一つである「日常生活自立支援事業」を利用して財産管理契約を結ぶことができます日常生活自立支援事業では金銭管理についての計画指導も行われます。日常生活自立支援事業を利用については、まずは、お住まいの市町村の窓口に相談下さい。

2. 身体が不自由な人

事故や病気が原因で身体が不自由であったり、入院治療中のため外出がままならないといった状態であっても、判断能力に問題がないならば成年後見を利用することはできません。また日常生活自立支援事業の対象でもありません。
ただし、この場合は「財産管理等委任契約」を締結することが可能です。財産管理委任契約とは、財産の管理や療養看護に関する事務手続きを委任する契約です。民法上の委任契約をベースとしており、任意代理契約、事務委任契約と呼ばれることもあります。
財産管理委任契約によって委任できる内容は、財産管理と療養看護に大別されます。
財産管理の具体例は次の通りです。

  • 銀行から預金引き出しや振込の手続きをしてもらう
  • 賃貸不動産の家賃収入を管理してもらう
  • 家賃水道光熱費などの支払いを代行してもらう
  • 納税手続きをしてもらう

など
また、療養看護の具体例は次の通りになります。

  • 要介護認定の申請をしてもらう
  • 病院や介護施設への入所手続きをしてもらう
  • 介護サービスの選定や契約、費用の支払いなどをしてもらう

など
以上は、財産管理委任契約で委任できる行為の一例です。契約によって上記以外の行為も委任でき、契約内容は公序良俗に反しない限り基本的には自由となっています。ただし、医療行為の同意は委任できません。医療行為に同意できるのは原則的に本人だけであるためです。

3. 任意後見契約を締結している人

任意後見契約を締結すると(まだスタートしていなくても)その旨が登記されます。任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は「本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り」後見(または保佐・補助)を開始できます。つまり、特別な理由のない限り任意後見が優先されるということになります。
まずは任意後見人がいるにも関わらず、後見人を選任する必要があるのはなぜかというところですが、たとえば、特別な理由として、特定の親族が任意後見人として本人の財産を囲い込んでいるとか、任意後見契約で取り決めた代理権には含まれていない行為を代理する必要が生じた、といった事が考えられます。この場合はまず、裁判所に監督処分の申立をしましょう。この申立書で後見人がどのような対応をしたのか詳細に説明をすることにより、裁判所は業務状況の調査を行い、内容に応じた注意、指導をします。裁判所からの指導があれば、状況が改善する可能性は高いでしょう。
それでもなお改善されない場合で、任意後見監督人が選任された後(つまり任意後見がスタートした後)に後見(または保佐・補助)が開始すると、任意後見契約は終了してしまいます。

まとめ

以上1〜3に該当する方は家庭裁判所に成年後見の申立てを行っても、後見人は選任されず却下となります。今回の該当者は成年後見制度が利用できない場合として、日常生活自立支援事業や財産管理委任契約という方法も紹介させていただきました。それぞれ、法的な拘束力や取り消し権はありませんが、金銭を管理してもらえるといった点では共通してます。是非一度ご確認してもらえたらと思います。

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