【成年後見人の業務って何??】~行政書士試験合格者が解説~

成年後見制度

今回の記事も成年後見制度についての知識について書いていきます。成年後見事務知識の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、成年後見業務に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
今回の記事は、成年後見人の業務内容について解説します。少し話は前後するかもしれませんが、成年後見人の役割について改めて理解してもらえたらと思います。
今回の記事を読むことで成年後見人の業務について知ることが出来ます。

成年後見人の業務

まずはじめに、成年後見制度とは,ある人の判断能力が十分でない場合(認知や記憶等に障害のある方,知的障害者,精神障害者など)に,本人を法律的に保護し,支えるための制度です。たとえば,本人が,預金の解約,福祉サービスを受ける契約の締結,遺産分割の協議,不動産の売買などをする必要があっても,本人に判断能力がほとんどなければ,そのような行為はできませんし,判断能力が十分ではない場合にこれを本人だけで行うと,本人にとって不利益な結果を招くおそれがあります。そのた
め,本人の判断能力を補うために援助する人が必要になってきます。そのため、成年後見人が本人に代わって財産の管理や身上監護を行い、財産を保護する役割を担う制度となっています。
では、改めて成年後見人の業務について解説したいと思います。成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があり、さらに法定後見人が成年後見人・保佐人・補助人に分類されることは以前まで記事でご紹介しました。以下では、法定後見人の中で最も権限がある成年後見人の職務・役割について解説します。

成年後見人の職務

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う。その際、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態および生活の状況に配慮する義務を負う(身上配慮義務、858条)。

財産に関する事務

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産行為について被後見人を代表する(859条)。被後見人の財産上の利益の保護は、成年後見人の基本的任務である。

財産管理の適正を期するため、後見人は就職してすぐに被後見人の財産を調査し、財産目録を作成する(853条1項)。

成年被後見人の居住用不動産を処分するためには、家庭裁判所の許可を要する(859条の3)。成年被後見人の生活に重大な影響を及ぼすおそれがあるからである。

後見人・被後見人間の利益相反行為についても、親子の場合と同様の制限がある(860条本文・826条)。もっとも、後見監督人がある場合は、後見監督人が被後見人を代表するので(851条4号)、特別代理人の選任は不要である(860条ただし書)。

と規定されています。今回は簡単に以下3つに分けて解説します。

  • 財産管理
  • 身上監護
  • 職務内容の報告

成年後見人は、本人の利益になる範囲であれば、本人の財産を支出することが可能です。たとえば、本人が住んでいる家の修理が必要であれば、被後見人の財産から費用を捻出して修理することは正当な範囲です。あるいは、長らく空き家で無駄なコストばかりかかっている家・土地を売却することも妥当です。自分の利益のためではなく、本人の利益のために財産管理を行うことが必要です。

本人のための財産処分行為

成年後見人には、被後見人が所有する家屋の取り壊しや財産の売却といった処分行為が可能です(成年被後見人の居住用不動産の処分には、事前に家庭裁判所の許可が必要になります)。ただし、処分行為も、必ず本人の利益にならなければなりません。

本人が行った法律行為の取消

被後見人が、不当な契約により損害を受けるのを防止するためにあるのが、成年後見人の取消権です。取消権とは、日常生活に関する行為(通常の買い物など)を除いて、本人が判断能力がないため行ってしまった法律行為を取り消す権限です。取り消した行為は、最初からなかったものとになります。

【成年後見人の財産管理の事例】

・預貯金および現金の入出金の管理や口座解約
・不動産の管理や処分
・税金の申告と納税
・年金の申請や受け取り
・遺産分割協議への参加
・保険金の受け取り
・契約の締結や取り消し
・訴訟手続き 等

身上監護は、生活、療養看護に関する事務を指しています。「ご本人の生活を維持するための仕事や療養看護に関する契約 等」を指し、具体的には、「ご本人の住居の確保及び生活環境の整備,介護契約,施設等の入退所の契約,治療や入院等の手続」があります。しかし、成年後見人は、直接、本人の介護をしなければならないわけではありません本人の介護が必要な場合は、介護してくれる人や適切な介護施設を探して依頼するところまでは義務を負いますが、実際に介護をするのは別の人や介護施設になります。

【成年後見人の身上監護の事例】

・医療に関する契約や支払い 
・介護等に関する契約や支払い
・介護保険の認定申請
・住居の賃貸契約や更新、支払い 等

成年後見人は「財産管理」と「身上監護」をおこなうことが役割となりますが、適切に職務をおこなっていることを家庭裁判所に報告をすることも大切な役割のひとつです。
成年後見人は、原則年に1回、家庭裁判所に対して自主的に事務の報告をおこないます。報告には、後見等事務報告書・財産目録・預貯金通帳のコピー・本人収支表の4つを提出する必要があります。

まとめ

今回は成年後見人の職務についてご紹介しました。民法で定められている職務を具体例を使い解説させていただきました。イメージはつきましたでしょうか??参考になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました