【相続財産を調査しよう!!不動産の調べ方】~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も、相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
ではさっそくですが、前回の記事で戸籍を調査し法定相続人が確定するまで説明していきました。次は被相続人にどのような財産があるのかを確認していく必要があります。財産といってもさまざまあり、その種類によって調査する方法が変わってきます。主な相続財産といえばプラスの財産(不動産、預貯金財産、生命保険等)とマイナスの財産(借金)があります。今回の記事では不動産について調査する方法をご紹介します。
この記事を読むことで被相続人の不動産(土地・建物)の有無と所在、価格を知ることが出来ます。

不動産の有無

まず不動産で考えられるのは、被相続人が住んでいた住居です。これが持ち家であったりした場合は、不動産があることになります。持ち家と言っても、土地を借りて建物を建てている場合もあるので、注意が必要です。
自宅以外にも、思ってもいないところに不動産が見つかることがあるため、調査方法を知る必要があります。
先祖代々相続されてきたが、相続登記を怠っていた田舎の土地、所有しているが、他人に貸したまま長期間が経過したマンション、駐車場、倉庫などに利用したまま放置していた土地、愛人用に購入したまま放置していた別荘地等々さまざまです。

遺言書の記載から探す

まずは遺言に不動産財産が記載されていないか確認を行います。相続人の全く知らなかった不動産が、遺言に書かれていたことで発見できる場合があります。遺言に記載されている不動産は、全て登記簿謄本を取得し、所有者を確認する必要があります。

預貯金の取引履歴を確認

次に預貯金の取引履歴を手がかりにしましょう。不動産を有していることは、次のような預貯金の動きに表れるので、過去の通帳を細かくチェックしていきます。①住宅ローンの貸付、返済履歴がある②賃料の入金が記録されている③固定資産税の支払いが記録されているなどです。
口座のある銀行などの持つ情報から、法務局や市区町村役場に照会し、被相続人所有の不動産の詳細を判明させることができます。通帳は、亡くなった方のあらゆるお金の流れを知れる重要な資料なので、真っ先に調査する必要があります。

権利証を探す

不動産の所有権を示すのが、権利証です。権利証は、所有権を取得し、登記した際に発行され、再発行はされません。現在は登記識別情報がその代わりになっていますが、従来からあった権利証が保管されている場合もあります。
権利証や登記識別情報は、登記を任せた司法書士が預かっていることもあるので、被相続人とつながりのある司法書士に連絡することで遺産が判明することもあります。

固定資産税通知書

被相続人が不動産を所有していたかどうかは市町村役場から毎年4月に送られてくる「固定資産税の納税通知書」で調べることが出来ます。固定資産税通知書には被相続人が所有している大半が記載されており、所在地番まで確認を行うことが出来ます。
 ただし、不動産を所有していても、納付すべき税額が発生しない場合は、一般的に納付書などの書類は届きません。また、共有不動産については、通常、共有者を代表する一人に納付書などの書類が送付されます。従って、書類が見つからないからといって所有不動産がないとは限りません。
そうした場合は、相続人であれば請求できる被相続人名義の固定資産評価証明書「名寄帳」を取得すると、非課税のものも含めた保有物件を確認できます。
単独所有のもの、共同所有のものを漏れなく取得しましょう。固定資産評価証明書は不動産の所在する市区町村役場窓口で請求でき、郵送でも取得できます。複数の自治体に保有不動産がある場合は、各自治体で取得が必要です。
なお固定資産評価証明書「名寄帳」は固定資産税評価(3年に1回更新)があり、おおよその価格を知ることができます。
その他にもローン返済の明細書(銀行など金融機関から届きます。)や、運用履歴の明細書(信託銀行・証券会社から届きます。)など郵送物でも確認ができる場合があります。

法務局で登記簿謄本を取得する

固定資産税関連の書類などを発見したら、そこに記載された不動産の住所をもとに、法務局で登記簿謄本を取得し、所有者を確認します。登記簿謄本はデータ化されており、オンラインでも申請可能です。登記簿謄本は、「表題部」「甲区」「乙区」に分かれており、甲区の部分に所有者が記載されます。なお、遺産に債務が含まれる場合には相続放棄が適している場合もありますが、借金があるかどうかは、登記簿謄本に抵当権の記載があるかどうかによっても知ることができます。

まとめ

不動産財産の調査順序としては遺言書や通帳履歴、郵便物を通じて不動産の有無を確認し、権利書を探します。権利書がなければ、市町村役場で固定資産評価証明書を取得し被相続人の不動産を確認します。その際に固定資産税の評価額が分かります。固定資産評価証明書には未登記の不動産も記載されています。不動産の住所等が分かれば所有者や抵当権がないかを法務局で登記簿謄本を取得することで確認します。その際の法務局は最寄りの場所で全国の登記簿謄本が取得可能です。そうして所有権を確認し、不動産財産を確定させましょう。

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