【市民法務:売買契約の内容証明】~行政書士試験合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は内容証明郵便の中でも売買契約について活用する場合を紹介したいと思います。この記事を読むことで、内容証明書の活用方法について知ることが出来ます。

売買契約を内容証明書で活用する場合

売買契約を解除するのに内容証明郵便を使うと、どんな理由でいつ解除を求めたかを証明する効果が得られます。
売買契約は、一旦成立させると、いつでも自由に解除できるわけではなく、一定の理由がある場合にしか解除することができなくなります。たとえば、買主が、買った物を受け取ったけれどまだ代金を支払っていない状態で、理由もなく売買契約を解除して、代金を支払わないとすることは認められません。しかし、受け取った物が壊れている場合などの理由があれば、解除が認められます。
ですから、売買契約を解除するためには、解除の理由をはっきりと書いた文書を内容証明郵便で送ることが効果的です。

売買契約で内容証明書を活用する事柄

今回は内容証明書が売買契約で活用される例をご紹介します。

商品代金の請求

商品を売ったのに、買主がなかなか代金を支払わないときに内容証明郵便で請求することになります。請求というのは、将来契約を解除するときの布石となる大事なことなので内容証明にしておくのが通例です。その際5日~10日前後の相当の猶予期間を定めておくといいでしょう。

欠陥商品についての請求

買った商品に欠陥があった場合、買主がその欠陥を知っていたという事情がない限り、買主は代わりの商品に取り換えるか、修繕を求めることができます。(瑕疵担保責任)
もし、売主に欠陥商品を渡した責任がある場合は、損害賠償の請求や契約解除をすることもできます。
ただし、契約の解除をするときは相当の猶予期間を定めて、修繕ないし代替品との交換を請求し、その期間内に、売主が応じなかったときでないとできません。
また、商売に関しては、商法526条:商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査し、検査により売買の目的物に瑕疵(欠陥)があることまたは、その数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵または数量の不足を理由として契約の解除または代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができないとあります。
売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合においても、6ヶ月以内にその瑕疵を発見したときも、同じと規定されています。ただし、売主がその瑕疵または数量の不足につき悪意があった場合には、適用されません。売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、売主は担保責任を負うこととされ、この責任を瑕疵担保責任と呼んでいます(民法 570 条 瑕疵担保責任による契約の解除または損害賠償の請求は、法律関係を早期に安定させるという趣旨から、買主が目的物に瑕疵があることを知った時から 1 年以内にしなければならないとされています。そのため、相手に内容証明書として通知することで担保責任を履行してもらいやすくなります。

クーリング・オフによる請求

訪問販売は、家に居ながらにして物が買えるなどの便利な面がある反面、欲しくない物まで買わされてしまうことがあります。
「アンケート調査」とか「消防署からの委託」などと言って、セールスマンの甘言や巧みな話術に乗せられて、物を購入したり、契約書もよく読まないまま契約を結んだりして後から後悔したりします。その時になって契約を解除しようとしても、業者は契約が成立していることを理由にして契約の解除を拒否し、よくトラブルが生じていました。そこで消費者を保護するため、特別商取引法が作られ、いろいろな規制や保護が認められるようになりました。このクーリングオフ制度も8日以内に相手に通知をする必要がありますので、内容証明書を活用することが望ましいでしょう。
しかし、クーリング・オフによる解約の場合、業者は損害賠償や違約金の請求はできません。また、訪問販売ではなく、営業所、代理店等でなされたものや、既に賦払金全部の支払いが終わったもの、消耗品で全部または一部を使用または消費してしまったものについては、クーリング・オフは適用されませんので、注意が必要です。

まとめ

今回は売買契約における内容証明書の活用場面についてご紹介しました。どんな内容を書くかについては、雛形を参考にしたり、専門家にご相談していただければと思います。

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