戸籍の仕組みを知ろう!~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も、相続にまつわる知識について書いていきます。今回からは実務により近くなるような記事になります。今回から戸籍法とその読み方について書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
ではさっそくですが、今回は相続が発生した際に相続人を確定するために、戸籍で親族関係を調査することになります。そこで戸籍の読み方を知ることが重要となります。今回も前回に引き続き戸籍についての必要となる基礎知識について説明していきます。

戸籍の基礎知識

戸籍について必要な仕組みについて説明します。

戸籍の編製について

つの戸籍に記載できるのは、「夫婦と氏を同じにする子供」だけです。また、「親と子」までしか同じ戸籍に入れないため「子が結婚する配偶者」や「子供の子(孫)」は原則入れません。そのため、子が結婚する時や、夫婦が離婚する場合はその戸籍から出ていく(除籍する)ことになります。これを三代戸籍禁止の原則と言います。

戸籍が新しく作られる(編製)されるタイミング

戸籍に記載できる範囲は「夫婦と氏を同じにする子供」だけとなります。そのため、この範囲を離れるときに戸籍が新たに戸籍作ることとなります

創作的届出と報告的届出

戸籍の異動があった場合、届出年月日と入籍・除籍年月日の片方もしくは両方が記載せれている場合があります。これは戸籍の届出が創作的届出と報告的届出に分かれるためです。

創作的届出・・・届出を出すことによって身分関係が発生・変更・消滅するような届出。戸籍の届出日がそのまま入籍・除籍日になります。
例:婚姻届、協議離婚届、普通養子縁組届、協議離縁届、認知届を言います。

報告的届出・・・すでに発生した事実や裁判により確定した身分関係の変更を報告する届出。入籍・除籍日はあらかじめ決まっているため、届出日より過去の日付となります。
例:離婚(家庭裁判所の手続による離婚成立後の離婚届)、調停離婚・訴訟離婚・和解離婚、離縁(家庭裁判所の手続による離縁成立後の離婚届)調停離縁・訴訟離縁・和解離縁、認知(強制認知後の認知届)審判・判決による認知、特別養子(特別養子縁組の届出、家庭裁判所が認めることが前提です。)

除籍について

婚姻や離婚、死亡等によって記載されている者がその戸籍からいなくなることを「除籍」といいます。除籍されると除籍された日付からの記録は一切記載されません。また、転籍届によって本籍地を他市町村に移した場合等すべての者が除籍になる場合は、その戸籍全体が除籍となり、以降その戸籍に入ったりする等、内容を変更されることが出来なくなります。

改製原戸籍について

戸籍は法律の改正や省令によって何度か改製されています。改製される前の戸籍を「改製原戸籍」といい、そこに記載されている内容は、改製されるまでの記録で止まります。現在までに大きく改製されたのは「昭和32年法務省令第27号による改正」と「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項」によるものです。簡単に言えば「旧戸籍の表記から現戸籍法の表記へ移行した際の編製」「縦書き戸籍から横書き電子化へ編製」と変わりました。

現行の戸籍法と旧民法による家制度の戸籍との違い

現在の戸籍を編製するための法律(戸籍法)は昭和23年に施行されましたが、それ以前は民法に定められた家制度という形で戸籍が編製されていました。違いを確認していきましょう。

戸籍の主

旧戸籍…戸主(住民票の世帯主)
現戸籍…筆頭者

戸籍主になれる者

旧戸籍…その戸籍に入っている者、または縁故者
現戸籍…婚姻した夫婦のどちらか、親子の親

戸籍主の変更

旧戸籍…家督相続をして変更
現戸籍…編製されてから変わらない

戸籍の基本単位

旧戸籍…家単位。親族であれば入ることができる。
現戸籍…夫婦と配偶者のいない子まで可能。

新たな戸籍を作成する

旧戸籍…家督相続、分家・一家創立・廃絶家再興などの場合
現戸籍…婚姻、離婚、分籍などの場合

戸籍の消滅(除籍)

旧戸籍…家督相続、廃家、絶家した場合
現戸籍…戸籍に属する者が全員除籍した場合

以上のように家族単位や筆頭者といった考え方が時代の流れとともに変化し、戸籍の編製がされました。

戸籍の届出の種類

戸籍の内容を変更する場合は、届出の提出が必要となります。戸籍の届出の種類を確認していきましょう。

認知届:父の名前がない子供を認知する場合の届出です。
出生届:子供を戸籍に登録するた届出です。出生届が受理されると、子どもが生まれたことが認められます。
死亡届:人が死亡した場合に行います。死亡届によりその者は除籍されます。
婚姻届:別戸籍の男女が婚姻の意思を持ち新たな戸籍を作成する届出です。
離婚届:夫婦が離婚をする際に提出する届出です。
養子縁組:養子縁組は、養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出す届出です。
入籍届:父または母の氏を名乗るために籍を移します。主に離婚した時に子供の戸籍を動かすために使用されます。
転籍届:本籍地を変更する場合に行います。
分籍届:ある者が戸籍を抜けて新たに戸籍を作る届出です。
就籍届:戸籍のない者が新たに戸籍を作る場合の届出です。
77条の2の届出:離婚した際に婚姻していた氏をそのまま名乗る時に使用される届出です。

このほかにも様々な届出があるため次回さらに詳しく届出を解説していこうと思います。

まとめ

今回は戸籍の仕組みについて簡単に解説していきました。結婚や子供が生まれたり、家族の誰かが亡くなったりと家族にとって何かあった場合に戸籍法に定められた届出を行う必要があります。届出をすることで身分を取得したり、失ったりと生活するうえでは欠かせないものとなっております。この戸籍を読み解くことで家族にどんなことが合ったのかも知ることができ、自分の戸籍を遡ってみると面白いかもしれませんね。

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