【市民法務:契約書の作成/契約書の条項について】~行政書士合格者が解説~

市民法務関係

今回の記事も行政書士の市民法務業務について書いていきたいと思います。行政書士の業務には、権利義務に関する書類の作成とその代理・相談というものがあります。その権利義務に関する書類の中で、契約書の作成と内容証明書についての記事を書いていきます。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、市民法務分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。今回は前回に引き続き、契約の中身(条項)に記事を書きたいと思います。この記事を読むことで契約書の作成に必要な条項を作るにあたってのイメージをする出来ます。

条項の作り方について

契約書の始めに位置する「この契約において何をするのか」(当事者の履行 すべき内容)についての条項は、各契約において一番重要な部分です。
例えば土地の売買契約であれば、売主は土地を「渡す」という条項を記載することになり、買主は対価である売買代金を支払うという条項を記載することになります。また、土地を実際に引き渡す前にどちらかの当事者が測量を行い、その結果(判明した実際の土地の面積)に よって、売買代金を変動させるという条項を記載することもあります。
契約自由の原則により、契約当事者は合意することによって、履行すべき内容につきどのような内容であっても有効に定めることが可能となります。
契約書の条項の「書き方」について、 こう書かなければならない、というルールがあるわけではなく、明確に記載してあれば何も問題はありません。ただし、明確に記載するための1つの方法として、5要素ごとに作っていく方法があります。

この5要素で条項をつくるにあたり、 一番重要なことは主体の選択です。この主体の選択にあたっては、3つの ルールを守ることが重要です。
1、主体は必ず契約当事者である必要があることです。契約は契約当事者の間でのみ効力を有するもので すので、契約において契約当事者ではない第三者が「●●をする」と記載しても、何の効力も発生し得ないことに なります。
2、できる限り主体を単独で条項をつくることです。例えば、売買契約の履行の場面では、通常、目的物 の引渡しと代金の支払いが同時に行われます。このような場合には、売主は買主に対して目的物を引渡すという条項と、買主は売主に対して代金を支払うという条項を、それぞれ作成することを意味します。理由は、主体を複数にして条項をつくろうとすると、その 詳細についてどちらが責任をもって履 行するのかを明確に記載することが困難となるからです。
3、可能な限り義務者を主体とすることです。言い換えれば、条項は受け身の文章ではなく、能動態の 文章で記載するということです。「~する」という文言において、「~しなければならない」とか「〜 する義務がある」という表現にする必要はありません。契約書の条項として、 「~する」と記載すれば、〜する債務を負担することになります。

代金に関する条項の作り方

条項のうち、一番契約書でよく用いられているのが対価 (代金)を支払うという条項です。一般的に対価(代金)に関する条項は、「対価がいくらである」ということを明記する条項と、その対価をいつどのように支払うのかという条項の2つに分かれます。このうち後者の条項が、契約書においてもっとも多く用いられてい ます。

例:○○は××に対し、○○の売買代金を令和○○年〇月月末日限り、××の指定する口座に振り込む方法により支払う。

この対価の支払条項は、通常、法律の規定(任意規定)とは異なる内容を定めている条項となります。まず、支払期日を定めている点があります。仮にこのような条項を設けない場合には、法律上は原則として契約締結時に対価(代金)の支払義務が発生することになります。ビジネスにおいては、通常は対価(代金)は後払いにすることが多いため、契約書でそれとは異なる内容を定めている条項となります。
次に、銀行口座宛に振り込む方法により支払う旨を定めている点です。民法は、金員の支払いは持参払いであり、相手方の住所地に現金を持って行くなどして支払うことを原則として定めています(民法 484条1項)。しかし現在のビジネス実務においては、通常、銀行口座への振 込の方法がとられていることから、事業者間の契約では通常、法律の規定とは異なる支払い方法を定めています。
なお民法は、支払いに要する費用 (例えば、銀行口座への振込費用)について、支払いをする者が負担するという原則を定めています(民法485条)。 ただし、支払いを受ける側が負担することを合意することも可能です。

(供託)
第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
 債権者が弁済を受領することができないとき。
 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。
(供託の方法)
第四百九十五条 前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。
 供託所について法令に特別の定めがない場合には、裁判所は、弁済者の請求により、供託所の指定及び供託物の保管者の選任をしなければならない。
 前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。

まとめ

契約書の中身についてイメージはつきましたでしょうか。契約書の雛形などを参考にこの記事を読んでいただけるとよりイメージが付きやすいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました