【日常生活で意外と知らない債権・債務のルール】~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

日常生活の中で何かを依頼したり依頼されたり、何かを売り買いしたりと様々な債権債務のやりとりを行っています。債権債務にはさまざまなルールがあり、そのルールに乗っ取りやり取りを行っています。実は日常のやり取りが債権債務になっていることに、当然すぎて気づいていないのかもしれません。今回はそんな債権債務のルールをいくつか取り上げてみようと思います。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

債権・債務とは

債権や債務と言えば皆さんはどんなイメージを持ちますか??借金の債務整理などで何となく聞いたことがあるかもしれません。まず債権債務について説明いたします。

債権とは

特定の人が別の特定の人に対して一定の行為を請求することが出来る権利のことを言います。例えばお金を貸した時の返還を請求する権利だったり、買い物を行った時に買った物をもらう権利だったりします。

債務とは

債権とは逆で債務とは、特定の人が別の特定の人に対して一定の行為をすること又はしないことを内容とする義務を言います。例えばお金を借りたため返還をする義務だったり、売ったものを渡す義務だったりします。債務を怠ると不履行責任が起こります。

このように債権債務は表裏一体の関係です。そして債権を有している人を債権者、債務を負っている人を債務者と言います。

債権の種類

引渡債務の目的物には特定物債権と種類債権があります。それぞれのルールについて説明します。

特定物債権

当事者がその個性に着目した物の引き渡しを目的にした債権です。例えば、中古車、土地などです。
①善管注意義務が発生します。目的物が決まっているため、渡すまでは管理しておかなければなりません。
②引き渡しは引き渡しすべき時の状態で渡すことになります。これは時計が契約時は動いていたがが引き渡し時に切れてしまっていたら電池を交換してから渡しましょう。また、引き渡す場所を決めていない時は「その行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。」となります。
③所有の移転は契約時に移ります。

種類債権

当事者がその個性に着目せずに種類と数量のみに着目した物の引き渡しを目的とした債権です。例えば新車やお米などです。
①調達義務があります。
②種類債権が準備されれば特定債権となります。特定した時に所有権が移ります。

債務不履行

債務者が債務を履行しない時に債務不履行とみなされます。債務不履行には3種類あります。

履行遅滞

期限を過ぎても履行されていない状態です。①確定期限がある場合はその期限到来時です。②不確定期限の定めがある場合は請求を受けた時又は期限到来を知った時のいずれか早い時③期限の定めがない場合は請求を受けた時です。

履行不能

履行が不能で、債務者の責めに帰すべき事由がある状態です。最初から不能だった場合と後日不能になることがあります。

不完全履行

履行がされたが不完全で債務者の責めに帰すべき事由がある状態です。

債務不履行の場合

債務被履行があった場合には①履行の強制②損害賠償:金銭賠償が原則です。③解除ができます。損害賠償には過失相殺が必ず行われます。またあらかじめ損害賠償額を定めたり、特別の事由を予見できる場合にはその額を含めた計算がされます。

受領遅滞

債務者が履行の提供をしたが、債権者が受領を拒み、または受領できない場合のことです。例えば車の売買契約があり、車の引き渡しのために買主の自宅まで約束通りに運んで行ったところ、買主に正当な理由なく車を引き取ろうとしない場合です。この場合は、債務不履行の履行遅滞にはあたりません。
債権者は受領遅滞によって生じる不利益や負担は債権者が引き受けることになります。受領遅滞中に損害が発生した場合は債権者の責任となります。

危険負担

売買契約など双務契約が成立した後に、債務者が責任のない事由で履行できなくなった場合のリスク(危険)を債権者と債務者のどちらが負担するかというルールです。

売主が買主に家を売買する契約で、いずれにも責任のない事由で家が火事で滅失した場合です。債務者主義では、買主が売主に代金を支払う債務(反対給付債務)は消滅します。
しかし、債権者に履行不能の帰責事由がある場合や受領遅滞の場合は「債権者の責めに帰すべき事由」として代金を支払う債務(反対給付を請求)することができます。

まとめ

今回は日常生活で多く行われている売買契約などの債権債務についてご紹介致しました。債権にもさまざまなルールがあり、債務にも履行を怠るまたはできない状態になると損害賠償などを負わなければなりません。契約に不履行が生じた時に債権者・債務者のどちらが、どのうように負担や損害を負うのか民法でルールが決まっています。この記事を読んで民法のさらに知識を深めてもらえたらと思います。

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