【普通養子縁組と特別養子縁組の違い】~行政書士試験合格者が詳しく解説~

民法

行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
 今回は民法の親族法の部分、特に普通養子・特別養子について記事を書きたいと思います。皆さんは養子・特別養子って聞いたことありますか??養子と言えば跡継ぎ問題が生じたときに養子をもらうなどのイメージがあると思います。特別養子はドラマなどで聞いたことがあるかもしれません。今回は普通養子と特別養子について説明していきます。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

養子縁組とは

養子縁組には、実の血族と親族関係を存続させたまま養子となる「普通縁組」と実の血族と親族関係を終了させる「特別養子」があります。

普通養子

普通養子縁組は実の血族と親族関係を存続させたまま養子となります

成立要件

普通養子縁組が成立するためには、養親と養子になる者の意思が必要になります。その上で、戸籍の届出をすることで成立します。
なお、養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人がその者に代わって縁組の承諾が必要になります。また、養親又は養子に配偶者がいる場合には、原則として、その配偶者の同意が必要です。

養子縁組の障害事由

養子縁組は取消となることがあります。

養親となるものは20歳に達している必要があります。また養親の尊属(親等の上で,基準となる人より先の世代の血族)または年長者(自分よりも年齢が上の人)であってはなりません。

②後見人が被後見人を養子とする場合には家庭裁判所の許可を受けることが必要です。

未成年者を養子とする場合には、家庭裁判所の許可を受ける必要があります。しかし、自己または配偶者の直系卑属(子や孫)を養子とする場合は家庭裁判所の許可は不要です。例えば再婚した相手の連れ子を養子とする場合です。

④配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、夫婦がともに養親になることが必要です。

⑤配偶者のあるものが縁組をする場合には、その配偶者の同意を得る必要があります。養親、養子ともに同じ規定が適用されます。

縁組の効力

養子縁組により縁組の当事者間で養親子関係が生じます。縁組の日から養親の摘出子の身分を取得することになるため、縁組の日以前に遡りません。これは、相続の際に養子になる前の子と養子になった後の子で相続の対象が変わることになるため注意が必要です。養子になる前に子がいる場合は、相続の対象になりません。しかし、養子になった後に子が出来た場合は血族関係があるため養親の相続対象になります。

また、養子は実親との関係が継続するため、実親と養親の双方の相続人になります。

養子は養親の氏を称するのが原則です。しかし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間はその氏になります。つまり、婚姻した後、配偶者の一方が養子となっても氏は変わりませんが、離婚した場合は養親の氏を称することになると言うことです。

離縁

離縁とは養親子関係を解消することです。協議離縁と裁判離縁の種類があります。

協議離縁は当事者間の同意と戸籍の届出によって成立します。協議離縁をする場合、養子が15歳以上であれば自ら協議して離縁することが出来ますが、15歳未満である時は離縁後に法定代理人となるべき者との協議が必要です。養子の実父母が離婚している場合は協議でどちらかが親権をもつことになります。

裁判離縁は当時者の一方が離縁の訴えを提起し、離縁の判決が確定することによって直ちに離縁の効果が生じます。裁判離縁の原因は、他の一方から悪意の遺棄、他の一方の3年以上の生死不明、その他縁組を継続し難い重大な事由がある時などがあります。なお、当事者の一方が死亡した場合には生存者が家庭裁判所の許可を得て離縁することがでます。

離縁が成立すると養親子関係が終了し親族関係も終了します。また、氏も縁組前の氏に復します。縁組の日から7年を経過した後に離縁した場合は離縁の3ヵ月以内に届けることで離縁の際に称していた氏を称し続けることが出来ます。

特別養子組

特別養子縁組とは、実の血族との親族関係が終了します。

成立要件

養子の利益保護を目的としており、父母による養子となる者の監護が著しく困難または不適当であることその他の特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認める時に成立します。例えば児童虐待のため親から離さないといけない状況などです。

養親となる者の要件
養親となる者は配偶者のある者でなければならず、かつ、原則として夫婦がともに養親になる必要があります。また、夫婦に一方が25歳以上、もう一方が20歳以上でなければなりません。

養子となる者の要件
養子となる者は15歳未満でなければなりません。しかし、15歳から17歳までの間であれば、①本人の同意がある②15歳に達する前から養親となる者に監護されている③やむを得ない事由で15歳までに縁組の申し立てが出来なかったという要件があれば可能です。また、実親の同意を必要とします。その他、6ヵ月以上の期間監護した状況を考慮する必要もあります。

手続き

特別養子縁組には家庭裁判所の審判が必要になります。

効力

養子縁組により縁組の当事者間で養親子関係が生じます。また実の血族との親族関係が終了します。

離縁の制限

特別養子縁組には協議離縁と裁判離縁は認められていません。例外的に養親の虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由が存在するときの2つともある場合には家庭裁判所は離縁させることができます。

里親との違い

未成年養子縁組と似た制度として里親制度があります。里親が、法律上の親子関係を生じさせるものでないのに対し、養子縁組は養親と養子との間に法律上の親子関係を生じさせるという違いがあります。つまり、養子縁組は、養親が親権者となり、養子の養育に対して法的に責任を負うことになります。

まとめ

今回は養子縁組について説明しました。養子縁組にはさまざまな要件があります。また、特別養子縁組には子どもの保護を目的とした制度であるため、厳しい要件があります。行政書士試験でも問題に出されやすい部分であるため違いを理解しましょう。

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