【民法とは??基本原理】①公共の福祉②信義則③権利の濫用について~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

今回から行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法や行政法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。今回は民法の基本原理をご紹介しようと思います。この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

民法とは

民法とは【私人間の関係を規定する私法において基本となる一般法を定めた法律】です。
民法には大きく分けて①総則②物権③債権④親族⑤相続の5つがあり、総則・物権・債権を財産法、親族・相続を家族法といいます。財産や家族といった日常生活に関する国民同士の関係について定めた法律となっています。

例えば売買契約が有名です。物を購入した時、買った時から壊れていたらどうでしょう?民法ではそんなトラブルが起きた際にどう対応するのかが決められています。今回の例で言えば、

民法562条

  1. 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
  2. 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

とあります。そのため買った物を売主に直してもらったり、交換してもらうことが出来ます。また、場合によっては代金の減額請求をすることもあります。民法は身近な日常生活を支える法律となっています。

民法全体の基本原理

ではそんな民法を勉強する中で判断の基準となる基本原理について民法第一条に書かれています。
1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

では一つずつ解説していきます。

公共の福祉とは

人権と人権のぶつかり合いを公平的に調整することです。
例えば、表現の自由が挙げられます。自分の表現の自由を求めるあまり、他人に迷惑をかけるような表現の仕方をするとします。そうすると他人に迷惑をかけることを認めるわけにはいきませんので、ある一定の制限が加わる訳です。その制限をすることを公共の福祉と言います。もっと具体的にいうと、国道などの公の道路上で、集団がデモ行進することは「合法」ですが、公安条例では、デモを制限しています。制限の内容は、デモを行うときは、公安委員会に届け出て許可を得なければならないというものです。これは、デモが人々の安全を脅かす恐れがあるからです。ただし、デモの制限といっても、行政機関は、正当な手続きを踏んでいるデモを中止させることはできません。このように人権は大切ですが、他人に迷惑をかけてまで守り抜くことは出来ず、一定の制限がかかるということです。

信義則とは

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。を略して信義則と呼びます。私的な取引においては、当事者はお互いに相手方の信頼を裏切らないように行動すべきであるということです。法律行為の解釈基準となっており、信義則に反するような権利行使は認められません。例えば背信的悪意者を登記の欠缺を主張する正当な利益を持つ第三者から排除した判例があげられます。背信的悪意者とは、相手の損害を出させようとして嫌がらせ目的であえて先に登記を行う者の事です。このよな信頼を裏切る行為は契約が成立したとしても、無効とされています。

権利の濫用

濫用的な権利行使は行えません。権利を持っている者がその権利を行使するのは原則として自由ですが、それによって他の人の権利や利益を著しく害する場合には、権利の行使も一定限度の制限を受けることになります。例えば企業が工場の操縦するのは営業の自由の一環としての権利行使ですが、それによって周辺に公害を生じさせ、他者の生命・身体の安全を脅かすような時には、被害者に足して損害賠償をしなければならなかったり、操業停止を命じられたりすることがあります。このように権利があるからと言って他人に害することがある場合には制限されます。

まとめ

今回ご紹介した民法の基本原理は民法の事案や判例を考えるうえで重要な判断基準だったり、解釈基準となっています。民法では個人の財産や家族関係のルールとなっていますので、トラブルがあった際には民法の様々な条文による解釈がなされますが、その基盤となっているのが今回ご紹介した①公共の福祉②信義則③権利の濫用の禁止です。民法の事案だけでなく、社会生活を送る上でも大切な概念ですので、是非覚えていただきたい言葉です。では次回から民法を活用したさまざまな事例を含めてご紹介していきます。

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