【人から物を借りる際の民法的区分け/使用貸借、消費貸借、賃貸借契約を理解してますか??】~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
みなさんは何かを借りる時にどのようなイメージを持ちますか??お金を借りる、DVDを借りる、服や家電を借りる、車を借りるなど日常では様々な貸し借りを行っています。借りると言っても返す取り決めや時期、方法なども区々であり、一言で借りると言っても違いがある事が分かると思います。今回はそんな借りることについて民法上の定義とルールについてご紹介します。民法では借りる契約を3つの種類で分けています。①使用貸借契約②消費貸借契約③賃貸借契約です。消費貸借や賃貸借は聞いたことがあるかもしれません。お金を借りる場合は消費貸借契約ですし、家を借りる場合は賃貸借契約が結ばれす。このような契約の違いについて説明していきます。
 この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

消費貸借契約

消費貸借契約とは借主が貸主から金銭その他の代替物を借りて後日これと同様・同等・同様の物を返還する契約をいいます。まず書面で契約を行い、物を受け取ることで契約が成立します。この書面で契約し物を受け取る前であれば契約を解除することが可能です。具体例はお金を借りる契約です。お金を借りたらその分だけお金を返さなければなりません。また、借りたものを消費する点も消費貸借契約の特徴です。

貸主の責任
物を渡してから契約が成立する場合は貸主に貸す義務は生じませんが、書面を交わした後は物を貸す義務が生じます。また、貸したものに利息を付ける場合は売買契約と同様な担保責任が生じます。無利息の場合は貸す契約をした状態で引き渡すことになります。

借主の義務
借りた物を同種・同質・同量の物を返還する義務を負います。利息があれば利息を支払う必要もあります。

返還の時期
 借主はいつでも返還することが可能です。なお定めた日より前に返還し損害が発生した場合は損害賠償が生じる可能性があります。
 貸主は定めがある場合はその定めに従います。定めがない場合は貸主は相当の期間を定めて催告し返還を請求します。

使用貸借契約

使用貸借契約とは当事者の一方がある物を引き渡すことを約し相手がその受け取った物について無償で使用し収益をして契約終了した時に返還する契約です。具体例は運動会に撮影用のカメラを無償で借りるなどです。

貸主の義務
貸主は借主の使用・収益を受任する消極的義務があります。

借主の義務
借主は契約又は目的の性質によって定まった用法に従いその物の使用・収益をしなければなりません。また貸主に承諾を得なければ第三者に貸すことは出来ません。

返還時期
使用目的を定めた時はその目的が終わった時です。借主はいつでも返還できます。使用目的を定めていない時には貸主借主どちらもいつでも返還できます。また、借主が死亡した時には契約が終了します。

返還時の償還
借主は借りた物の通常の必要費を負担します。例えば電池が無くなったら交換するなどです。しかし通常の必要費以外は貸主に対して請求できます。例えばカメラのレンズにフィルターを付けたらより良くなったなどです。

賃貸借契約

賃貸借契約とは当時者の一方(賃貸人)がある物の使用・収益を相手にさせることを約し相手(賃借人)がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了した時に返還する契約です。例えば家の賃貸借契約などです。

賃貸人の義務
賃貸人は目的物を賃借人に対して使用・収益させる義務を負います。目的物に生じる必要費や有益費などの費用は賃貸人が負うことになります。使用貸借は無償であるため借主が必要費を負いますが、賃貸借は有償で賃貸人が負います。

賃借人の義務
賃借人は賃貸人に対して賃料を払う義務を負います。

返還の時期
返還の時期は契約によって定められます。なお借主が死亡しても契約は継続し、相続することも可能です。

借地借家法

借地借家法は民法とは別に借主側の保護を目的とした法律です。借地権と借家権があり、建物の所有を目的に土地を借りる権利と賃料を支払って建物を借りる権利があります。

借地権

借地権には普通借地権と定期借地権があり、普通借地は契約更新が出来ますが、定期借地は期限がくれば必ず返還しなければなりません。

借家権

借家権にも普通借家権と定期借家権があります。これも借地権と同様に普通借地は契約更新が出来ますが、定期借地は期限がくれば必ず返還しなければなりません。

まとめ

一言で借りると言っても様々な借り方があり、その貸し借りに応じて返還のタイミングや必要な費用が発生した時の負担を借主がするのか貸主がするのか決まっています。契約書にはこういった「こんな場合どうするのか」と言ったことを定めて契約しています。一度借りる前に民法の知識があれば契約書を見直すことが出来るかもしれません。不当な契約はないとは思いますが、民法の知識があればそういった契約を結ばなくて良くなるかもしれませんね。

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