【身近な契約行為・売買契約について】~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
普段の買い物に売買契約として民法をイメージしている方がどれくらいの数いるでしょうか。人によっては日常的過ぎて法律に規定されているなんて知らなかったと思う方もいるでしょう。買い物で何かあればクーリングオフ制度や消費者センターをご存じの方もいるかもしれません。そういった売買契約時のルールやトラブルに対しての対応を民法で決められています。今回はそんな民法における売買契約についてご紹介します。
 この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

売買契約とは

売買契約とは当事者の一方(売主)がある財産権を相手方(買主)に移転することを約束し、これに対して買主がその代金を支払うことを約束することによって効果を生ずる契約をいいます。売買契約が成立すると売主と買主それぞれに義務が生じます。

売主の義務

権利を移転する義務
売主は買主に対して目的たる財産権の移転をしなければなりません。他人の権利を売却目的としたときは、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います。その義務が果たせなかった場合は、売主は債務不履行責任を負うことになります。
対抗要件を備えさせる義務
売主は買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負います。
権利の移転に必要な行為をする義務
権利の移転のためになんらかの行為が必要な場合には売主はその行為をしなければなりません。
引渡義務などの占有を移転する義務
売主は目的物を引き渡すなど目的物の占有を移転しなければなりません。
果実引渡義務
目的物から生じる果実の引渡しと代金の利息の支払を簡潔に処理するため、果実と代金の利息を相殺的に処理する旨を定めています。引渡し前に目的物の引渡日から代金の利息支払義務を負います。
担保責任
担保責任とは売買の目的物に契約不適合がある場合や移転した権利に契約不適合がある場合に売主が買主に対して負う責任をいいます。これは、売主の不完全な履行がなされたことに対する不履行責任の特則です。

担保責任

目的物の契約不適合
目的物の不適合とは「引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないもの」のことを言います。
この場合は①追完請求権②代金減額請求権③損害賠償・解除権を行えます。
ただし、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは買主はその不適合を理由として請求権等をすることが出来ません。ただし、売主が引き渡しの時にその不適合を知り又は重過失によって知らなかった時には売主に責任があるわけなので、1年以内に通知しなくても請求可能です。契約不適合時の請求権について詳しく説明します。

①追完請求権
買主は売主に対して、目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しによる履行の追完を請求することが出来ます。売主は買主に不相当な負担を課すものでなければ買主の請求した方法以外の方法と異なる方法で履行の追完をすることが可能です。当然ですが、買主に帰責事由がある場合は追完請求はできないので注意が必要です。

②代金減額請求権
買主が相当の期間を定めて履行の追完を催告したにも関わらず期間内に応じない場合にはその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することが出来ます。例外的に催告する必要がないもあります。①履行の追完が不可能なとき②売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に示しているとき③特定の期日に履行しなければ目的が達成されないのにその期間を経過したときには催告の必要なく代金の減額請求できます。

③損害賠償請求・解除権
買主は追完請求、代金減額請求をする場合であっても、債務不履行責任に基づく損害賠償請求及び契約の解除をすることが出来ます。

買主の義務

買主側の義務について説明します。

代金支払義務
代金の支払期限や支払い場所は契約ないし慣習により定められますが、目的物の引渡しに期限がある時には代金支払にも同じ期限が定めれられていると推定されます。
利息支払義務
買主は目的物の引渡しを受けるまで代金に利息をつける必要はありません。また引き渡しを受けても代金の支払い時期がそれ以降に約定されているときは、その期限が到来するまで代金に利息を付ける必要はありません。

同時履行の抗弁権

売買契約などの双務契約時には相手方の債務の履行の提供をするまで自己の債務を拒絶することができる権利があります。例えば10万円の時計の売買契約をした時に時計の受け渡しと、代金の支払いを同時にするということです。しかし、時計の引渡しがまだなのに、先に支払いを請求された時には同時履行を主張し時計の受け渡しと同時に支払いすることが可能です。

まとめ

普段何気なく行っている売買契約にも民法が規定されており、日常生活に法律が溶け込んでいることが分かります。契約不適合時に代金を減額してもらったり、返品して新しい物に代えてもらうなどの権利は民法の決まりがあるから行われていたんですね。このように民法にはさまざまな契約についても定めがありますので今後ご紹介していきます。

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