【代理・委任・使者の違いって知ってる??】〜行政書士合格者が分かりやすく解説

民法

誰かの代わりに何かを行うことを代理や委任、使者といったイメージがあると思います。この言葉は同じ意味なのでは?と思われる方もいるかもしれません。民法では区別されており、また代理と委任については細かな区別もされています。なお、代理は3者間のやり取りであるのに対して、委任は2者間のやり取りです。本人⇒代理人⇒相手方と委任者⇒受任者の関係を表しています。
 今回も行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

委任とは

委任契約とは、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約のことです。委任契約には原則無償で行われますが、特約があれば有償になります。

受任者の義務

1善管注意義務
善良な管理者の注意義務」と言い、義務を負う人・会社が、「ちゃんとしなければならない」義務をいいます。
2報告義務
委任者の求めに応じいつでも事務処理状況を報告し、委任終了後には遅滞なくその経過及び結果を報告しなければなりません。
3受託物等の引き渡し・取得権利の移転義務
委任事務を処理するにあたり取得した金銭・果実を委任者に引き渡さなければなりません。
4金銭を消費した場合の責任
委任者に引き渡すべき金銭を自己の為に費消した場合には受任者の過失の有無に関わらず、その費消した日以降の利息を払う義務を負います。

委任者の義務

1費用前払い義務
事務を処理するために必要な費用がある時はその費用を前払いしなければなりません。
2費用償還義務
前払いの逆で後で返還することです。
3代弁済又は担保提供義務
事務を処理する際に必要な債務を負担した時は委任者に対して自己に代わってその弁済を請求することができます。また、弁済期になければ相当の担保を供させることになります。
4損害賠償義務
受任者が事故に過失なく損害を受けたときには、委任者に賠償請求することができます。委任者の故意過失は問いません。
5有償委任の報酬義務
委任事務を遂行後に請求することができます。途中で契約が解除された場合には履行の割合に応じて報酬を請求することができます。

委任契約の終了

委任者・受任者どちらからでも、いつでも解除することができます。ただし、相手に不利な時期に解除したときはやむを得ない事由がない限り侵害賠償が発生するため注意が必要です。

代理とは

代理とは代理人が本人に代わって意思表示を行い、その効果が直接本人に帰属することです。
代理には法定代理と任意代理があります。法定代理は未成年の親権者です。任意代理は本人と代理人で行う授権行為です。代理には様々なルールやパターンがあるためご紹介します。

顕名

代理人が代理行為を行う際には本人のためにすることを相手方に伝える顕名が必要になります。

復代理人

代理人が自分の権限内の行為を行わせるため自分の名で更に代理人を選任して、本人を代理させることを復代理といいます。こういった代理人がさらに代理人に依頼することもあるんですね。

無権代理

代理人として代理行為をした者に代理権がない場合をいいます。その場合は代理行為は本人には帰属しません。ただし、本人が追認(後で認めた)場合には有効になります。

表見代理

無権代理であっても、外観上、行為の相手方に本人に、本人と無権代理人との間に代理権が存在することを信じさせるだけの事情がある場合に有権代理と同様の効果を生じさせることです。

使者とは

使者とは本人が既に決定している意思を相手方に表示、または本人の意思表示を相手方に伝達する人のことです。そのため、意思決定の自由は無く、意思能力や行為能力も不要です。

例えば、AさんがBさんに車を90万円で購入してきてほしいと依頼し、Bさんがディーラーに90万円で車を買いますといったところ、ディーラーが100万円でしか売れないと言われた場合Bさんは交渉する権限がないため一度Aさんに伝える必要があるという状況です。Aさんの意思決定が重要になります。

行政書士業務は??

行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て代理事務を業として行うことが出来ます(行政書士法第1条の3)
これは代理です。そのため、業務を依頼する時は委任契約を結ぶことが多いです。また、許可申請やその他の書類取得のため委任されていることを証明する委任状を替わすことも多いです。

まとめ

今回は誰かに依頼することの違いについてご紹介しました。同じ誰かに依頼することに委任・代理・使者とさまざまな定義があり、民法上で決まりがあります。こういった決まりがあるため、トラブルになる前の事前予防が出来、また何かあった際の判断基準になります。誰かに依頼された時には、自分がどんなことをすれば事前にトラブルが防げるか考えてみてくださいね。

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