【不法行為:様々な事例を紹介】~行政書士試験合格者が分かりやすく解説~

民法

前回の記事で民法上の不法行為責任についての要件や不法行為が認められた際の損害賠償について説明したしました。不法行為とは民法「「故意または過失によって他人の権利や利益を侵害する違法な行為 」を言います。不法行為をした者は、不法行為によって生じた損害を賠償する責任があります。今回は前回に引き続き民法上の不法行為について説明をしようと思います。この記事を読むことでトラブルに巻き込まれた際の損害賠償請求の考え方が分かります。なお、行政書士は行政書士は争いのある法律行為は行えませんのであしからず。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

不法行為とは

不法行為とはある者(加害者)が他人(被害者)の権利、利益を違法に侵害した結果、他人(被害者)に損害を与えた場合において、被害者の加害者に対する損害万象請求権を発生させることを言います。不法行為の趣旨は被害者の救済及び損害の公平な分担にあります。なお、不法行為の規定は一般不法行為と特殊な不法行為に分けられています。今回は特殊な不法行為のみを説明します。

特殊不法行為

監督義務者の責任:子どもが他人に損害を負わせた場合、監督義務者である親は不法責任を負うのか。

 責任無能力者(子ども)がその責任を負わない場合、その責任無能力者(子ども)を監督する法的義務を負う監督義務者(親)がその責任無能力者(子ども)が第三者に加えた損害賠償を負います。もっとも監督義務者(親)がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきときであったときは免責されます。
 なお、子供の年齢がおおむね小学校卒業程度を超える場合責任弁識能力があると判断される傾向にあり、子どもの不法行為に対して損害賠償が認められることになります。

使用者責任:職場の営業マンが外出しており、自動車事故を起こし通行人を怪我させてしまった。会社にも責任があるのか。

ある事業のために他人を使用する者(会社)は、被用者(職員)がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。これを使用者責任と言います。もっとも使用者が被用者の選任及び事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責されます。
なお、会社が被害者に損害賠償を支払った場合、被用者(職員)に求償することが出来ます。この求償は損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に制限されます。また被用者が損害賠償した際には被用者から使用者(会社)へ求償することも可能です。

工作物責任:賃貸物件の設備が壊れて通行人に怪我をさせた場合、誰に責任があるのか。

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じさせたときは、その工作物の占有者(賃借人)は被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。これを工作物責任と言います。もっとも占有者(賃借人)が損害の発生を防止するために必要な注意をしたときには免責されます。その場合、所有者(賃貸人)が二次的責任を負います。所有者は占有者と異なり、必要な注意をしても免責が認められません。

動物占有者の責任:飼っていた犬が嚙みついて他人に怪我をさせた場合は損害賠償が生じるのか。

動物の占有者(飼い主)はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います。もっとも、動物の種類・性質に従い相当の注意をもってその管理をした時には免責されます。

共同不法行為:自分の車と他の車が衝突事故を起こし、通行人に怪我を負わせた場合はどうなるのか。

数人の共同の不法行為によって他人に損害を加えたときには。各自が連帯してその損害を賠償する責任を負います。これを共同不法行為と言います。共同不法行為には過失の割合に応じた求償が認められています。

効果

前回の記事の不法行為と同じです。おさらいしておきます。

賠償の方法原則金銭賠償です。

請求権者基本は損害を受けた本人が行います。しかし、被害者が亡くなった場合には相続の対象となります。また、胎児の場合は損害賠償請求権について既に生まれたものとみなされます。損害賠償には損害賠償請求権と慰謝料請求権があり、近親者が行うことが出来ます。

損益相殺:不法行為と同一の原因によって被害者が利益を受けている場合に、これを加害者の賠償すべき損害額から差し引くことを言います。

過失相殺不法行為の際には被害者側にも過失が存在する場合があります。そこで損害の公平な分担の見地から被害者の過失を考慮してかぶった損害額から合理的な減額をした金銭をもって加害者が現実に賠償義務を負うべき額とする過失相殺があります。過失相殺は減額に止まりゼロにすることは出来ません。また、債務不履行責任とは違い、不法行為は必ずしも過失相殺を行う必要はありません。これを裁量的判断とされています。

期限

不法行為による損害賠償の請求権も前回の記事と同様です。

被害者又はその法定代理人が損害および加害を知った時から3年行使しない時、又は不法行為の時から20年行使しないときは時効によって消滅します。
生命・身体侵害の損害賠償請求権は被害者又はその法定代理人が損害および加害を知った時から5年行使しない時、又は不法行為の時から20年行使しないときは時効によって消滅します。

まとめ

今回はさまざまなパターンによる損害が発生した場合について説明しました。未成年の子が起こした損害や動物が噛みついた等日常でもありそうな状況ですよね。さまざまな状況で言えるのは、危険を予測し注意をしていたと証明できれば免責される可能性があるため、日々注意を怠らないことが大切ですね。

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