【連帯保証人になってはいけない理由】保証債務と連帯保証について~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
 保証とは債務者が債務を履行しない時にそれを肩代わりするという人的担保です。担保には物的担保と人的担保があり、保証人や連帯保証人は人的担保に当たります。なお物的担保は抵当権など土地や建物を担保にしたり、質権設定といって物を預けたりするものがあります。担保を簡単に説明すると「将来生じるかもしれない不利益に対して、それを補うことを保証すること」になります。
今回は人的担保の保証債務と連帯保証債務について説明します。
 この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

担保権とは

 担保権とは、お金を貸した際に不払いが生じた場合、担保した物を売却して債権を回収できる権利です。債権回収の確実性を高めるために設定されます。
 担保権は、基本は債務者や第三者が所有する財産に設定します。債務者が債務の履行をしなかった場合、債権者が裁判所に申立てを行って担保物を競売し、その代金を債権の弁済を充てることになります。
 担保権によって債権が保護されることにより、債権者が安心して取引を行えるようになるため債務者が借金をする際に、債権者に対して担保を差し入れれば、より多くの金銭を借り入れることができます。債権者としても、担保権によって債権回収が担保されていれば、債務者に対して安心してお金を貸すことができるといったメリットがあります。

保証債務

まずは基本の保証債務から説明します。保証契約とは、債権者と保証人との間で行います。主たる債務者がその債務を履行しないときに、保証人が主たる債務者に代わって履行することを合意をする契約です。

成立要件

主たる債務が債権者と主たる債務者との契約によって成立するのに対して、保証債務は債権者と保証人との間で保証契約をすることによって成立します。保証契約は書面でしなければ成立しません。保証人になる人は誰でも構いません。しかし、債務者が保証人を立てる義務を負う場合には①行為能力者であること(制限行為能力者はダメ)②弁済をする資力を有することが条件となります。

効力

保証債務の範囲は、特約のない限り、元本、利息、違約金、損害賠償と債務に従たるすべてのものを含みます。

保証人には抗弁権があります。抗弁とは「相手方の主張を排斥させるため、相手方が主張する事実と両立し得る新たな事実を主張することです。」

催告の抗弁
債務者が主たる債務者に請求しないでいきなり保証人に請求してきた場合において、保証人がまず主たる債務者に催告すべきことを請求できることを言います。もし、主たる債務者に催告を怠り、損害が発生した場合には、保証人はその損害を負いません。

検索の抗弁権
保証人は債権者が主たる債務者に催告した後であっても、①主たる債務者に弁済する資力があり、かつ②執行が容易なことを証明して、まず主たる債務者の財産について執行すべきことを主張できます。

その他債務者に生じた権利を援用できます。
例えば、同時履行の抗弁や重たる債務者が債権者に対して有する相殺権、取消権、解除権などを主張して債権者の請求を拒むことが出来ます。

影響力

主たる債務者に生じたこと
主たる債務者について生じた事由は原則保証人にも影響があります。しかし、主たる債務者が行った、保証契約後の債務の加重や抗弁の放棄、時効の主張の放棄は保証人には影響なく保証人は主張することが出来ます。

保証人に生じたこと
保証人について生じた事由は債務を消滅させる行為の他は、影響がありません。

情報提供義務

保証人が債務者の委託を受けて保証した場合は、保証人から請求があった時には債権者は残額等を情報提供しなければなりません。また主たる債務者が期限の利益を喪失した時は2か月以内にその旨を通知しなければなりません。

求償

保証人が主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)を請求することが出来ます。状況によって求償の範囲が違うため確認しましょう。

委託を受けた保証人の場合
支出した財産の額の求償権があります。弁済期前に行った場合は主たる債務者がその当時利益を受けた限度までしか求償できません。

委託を受けていない保証人の場合
委託を受けていなくても主たる債務者の意思に反していない場合は、主たる債務者がその当時利益を受けた限度までしか求償できません。
逆に主たる債務者の意思に反している場合は、求償時点での現存利益のみしか請求できません。

連帯保証

連帯保証とは保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する旨を合意した保証のことを言います。
保証債務との違いは催告の抗弁、検索の抗弁権がありません。これは主たる債務者にまずは請求してくれと言えずに有無を言わさず保証しなければならないということです。
また、分別の利益もないため「保証人」が複数人いる場合は、それぞれが責任を分割して負っていますが、連帯保証は複数人いても、全員が全額を保証する責任を負うことになります。

効果や影響力、情報提供、求償には保証債務と違いがありません。

まとめ

保証債務について細かく説明した後に連帯債務について説明しました。連帯債務は説明が短いですが、保証債務では保証されていたことが保証されていないのが連帯保証です。そのため、何かトラブルがあれば、主たる債務者に資力があっても関係なく請求されますし、他の連帯債務者が居ても一人に全額が請求されることになると言った怖さがあります。弁済すれば求償権があるため、債務者に返せと言う事が出来ます。保証人と連帯保証人似ているようで全く違うため注意しましょう。

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