【相続人がいない財産はどうなるの??】相続財産管理人について~行政書士試験合格者が解説~

相続

今回の記事も相続にまつわる知識について書いていきます。相続実務の記事になります。行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、相続分野に興味がある方に向けて記事を書いていきます。
前回は遺言書がない場合に相続人が話し合い相続分を決定する遺産分割について解説しました。今回は相続人がいない場合、債権者はどうしたらいいのかについて解説していきたいと思います。相続人がいない場合は、家庭裁判所に相続財産管理者を選任し、財産の処分を依頼することになります。
この記事を読むことで相続財産管理人について知ることができます。

相続財産管理人は、相続人がいない場合に相続財産を管理して清算を行う人のことを言います。相続財産管理人は、家庭裁判所が選任することになります。
相続財産管理人を選任する場合は①法定相続人に該当する親族がいない場合や②相続人が全員相続放棄した場合に必要となります。
さらに債権者や受遺者などに支払いをする場合には選任の必要となります。
また、相続人全員が相続放棄した場合でも、空き家など遺産の管理は、相続財産管理人に遺産を引き渡すまで相続人の義務として残ります。

相続財産管理人は相続手続きを円滑に進めるための行為や債務の弁済などの保存行為を行います。
例えば…

①相続人をさがす
②受遺者への支払い
③負債の支払い
④内縁の妻などの「特別縁故者」への支払い
⑤残った財産を国庫に帰属させる

などの役割を追うことになります。。

相続財産管理人の選任申立を行える人

相続財産管理人は債権者が財産を処分してもらう必要があるため家庭裁判所で選任の手続きを行うものです。主に債権者や財産を処分してほしい人が行えます。

被相続人に金銭の消費貸借を行っていた人や家賃の滞納がある場合の家主など、被相続人の債権者は相続人がいない状態のままでは支払いを受けられません。そのため、相続財産を清算し、負債を支払うために相続財産管理人の選任が必要です。

特別縁故者とは、被相続人と特別深い関わりのあった人です。遺言がない限り、原則として、法定相続人以外は遺産を相続することはできませんが、特別縁故者と認められれば財産の全部または一部を受け取れる可能性があります。ただし、特別縁故者が遺産を受け取れるのは、あくまで「相続人がいない場合」に限られます。

相続人が全員相続放棄すると相続財産を受け取れなくなりますが、「相続財産の管理」を継続しなければなりません。適切に管理していないと債権者から損害賠償される可能性もあります。そのため相続放棄者が遺産の管理義務を免れるに、相続財産管理人の選任が必要となります。

特定遺贈を受けた人が自分で負債の清算を進めることはできないので、相続財産管理人の選任を申し立て清算手続きを行ってもらう必要があります。

相続財産管理人の選任に必要な手続きと流れ

相続財産管理人の選任に必要な手続きとその流れについて解説します。

  • 相続が発生した後、債権者等が相続財産管理人の選任の申立てを行います。
  • 相続財産管理人の選任の申立ての際に、申立人は必要書類を家庭裁判所へ提出します。
  • 家庭裁判所は、所定の審理を経てから、相続財産管理人の選任を行います。家庭裁判所は、申立てに適切な理由があるのか、申立て自体が適法であるかなどを審理します。
  • 相続財産管理人の申立てに基づく審理が全て終わり、申立てが適切かつ適法であると判断できれば、家庭裁判所は申立てから1~2ヶ月を目安に相続財産管理人の選任の審判を下します。

相続財産管理人の選任に必要な書類

上記で説明した②の相続財産管理人の選任申立ての際に、家庭裁判所所定の申立書のほかに次のような書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。

  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票、または戸籍の附票
  • 被相続人の子(被相続人の子が死亡している場合は、被相続人の孫など、直系の子孫のすべて)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の父母の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合は、兄弟姉妹の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の甥又は姪が亡くなっている場合は、それぞれの死亡の記載がある戸籍謄本
  • 財産があることを証明するための資料(不動産の登記事項証明書、預貯金なら、預金、通帳など)
  • 利害関係人が申立てる場合は、利害関係があることを証明する資料(金銭消費貸借契約書のコピーなど)
  • 相続財産、管理人の候補者推薦する場合は、その候補者の住民票、または戸籍の附票

相続財産管理人選任にかかる費用

相続財産、管理人の選任にかかる費用は①収入印紙(800円)、②郵便切手③官報公告料(5,075円)④予納金(相続財産管理人の報酬を含む)です。
なお、予納金は原則として相続財産から支払われます。

相続財産管理人が相続財産を管理するために、又は相続財産管理人がスムーズに手続きを進めるために必要と判断された場合などには、家庭裁判所の指定する金額を予納金として収めなければなりません。
なお、予納金の金額は財産の価格によって異なりますが、20〜100万円の範囲で決定されるのが一般的です。

まとめ

今回は相続人がいない場合の財産処分について解説しました。高齢単身者が賃貸借マンションで亡くなった場合、大家さんはが勝手に亡くなった方の荷物を処分するわけにはいかず、相続財産管理人を裁判所に選任してもらうことになります。しかし、亡くなった方が財産がない場合は費用がかかることになります。そのため、生前から処分について同意を得るなどしておく方が後々のトラブルを防ぐ対策になります。

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